殺人症候群 (双葉文庫 ぬ 1-3)

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  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (711ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575510140

感想・レビュー・書評

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  • 特命チームのシリーズ最終巻。不条理な犯罪に巻き込まれた家族、心臓病の息子のドナーのために殺人を繰り返す母親、未成年や心身喪失で法で裁かれない殺人者を始末する殺人代行者、そしてそれぞれ思惑の違う特命チームの動き、、、とそれぞれの視点から物語が動いていく仕掛。この視点転換で小説四本分ぐらいあるため、分量はかなり長い。
    前作同様なのですが、極めて救いのない話。そして、子を持つ親にとっては辛過ぎる内容が続くため、没入して読まないと断念しそう。
    サスペンスとしては一級品で、息も吐かせぬ展開、最後は善悪、正義を問う内容になっているが、答えは出ないし、どちらが正義なのかもはっきりは描いていない。
    シリーズものの大団円に相応しい内容だが、一作目がいまいちなため読んでない人が多く、不当に評価が低いのでは?という解説の意見に同意できる。

    ちなみにミステリ的な仕掛けもあるのだが、これはなんとなくすぐ看破できるため、ご愛敬。

  • さすが貫井徳郎。復讐は正義か、という重いテーマを扱いながら、そのテーマよりも物語が前面に出ているため、読めてしまう。小説家の鑑。事件に、登場人物に、しっかり引き込ませながら読ませ、サブリミナルのようにテーマがある。杓子定規な正義に、感情移入してしまう悪。頭と心の分離。何が正しくて何が正しくないのか。考えさせられるようで、考える暇もないくらい物語に没入してしまう。好き。

  • すごく緻密に描かれたストーリーなのに、なぜか登場人物の気持ちがダイレクトには伝わってこない。特に手を下す役回りの渉の動機が、事実の列挙だけなのは致命的なのではないか?響子にはなぜ微塵も葛藤がないのか?和子の描写から読者は何を読み取ればいいの?それぞれのエピソードがうまく完結してない感があるので、全体としてぼやけている。雰囲気づくりがうまいだけに残念。

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  • 3部作のラストを締めくくるにふさわしい作品
    とても読み応えがあり、面白かった
    テーマも倉持の行動も、私の中ではスカッとした
    登場人物たちの覚悟がかっこいいとすら思った

  • 面白く読み終えたがタイトルからも分かる様にハッピーエンドではなく、未成年犯罪者へ厳罰化は昔から大分変わったんだと思うが、当時の被害者の悔しさや無念は救いようがない位に大変でその上に成り立った現行の少年法なんだろう。
    罪を犯したにも関わらず未成年だから罰せられないことに対する復讐は感情ではありだと納得出来る。
    だがそれが正ではない事も分かるのでやはり法律を変えるしかないんだろう。
    最後のシーンも寸止めで想像は出来るけど結果を出さなかったな。
    まあリーダーが正なんだろう。

  • 症候群シリーズ3作目にして完結編。
    まず前二作を合わせたよりも重厚なボリュームに、読む前から圧倒されました。

    そして、本作でスポットが当たるメンバーは、肉体労働者の倉持真栄(くらもち まさはえ)。
    あろうことか、本作での彼はチームが招集された任務を聞いて、その仕事は請け負えないとチームを離脱してしまうのです。
    その任務とは、「少年であったり精神鑑定の結果によってであったりの理由で、刑法上の刑に服していない者たちが、連続して殺害される事件の謎を追う」というもの。

    のっけから不穏な空気全開のまま読み進めていくと、明らかになる殺人者の存在と、その殺人者にその行為をさせるに至ったおぞましく残虐で卑劣な、人がやったとは到底思えぬ犯罪。
    (フィクションとはいえ、個人的に一番心を打ちのめされる犯罪が含まれてるんですわ)
    この辺りでだいぶん精神にきてへこんでくるんですが、それでも読み進めていくと…

    「もう、ほんまに容赦なさすぎやで、徳郎ーーーーーーっ!」っと慟哭です。
    たしかに「人を呪わば穴二つ…」って言うんですけど、もう思い返すだけで憂鬱になってくるような救いのなさ。

    でも、きっとこれが「殺人」と「殺人者」に対する作者の思いなんやろうなぁ。

  • うーん、長い。そしてやたらと難しい表現が多くて小説じゃなくて論文か何かを読んでいる気分になる。
    初めて読んだ貫井さんの小説が愚行録で、全て口語で書かれていたのが読みやすくて好きだったけど、これは同じ人が書いたと思えないな…。

    すべて三人称の視点で書かれているのも大きいと思う。その分登場人物への感情移入もしにくかった。

    出てくる少年犯罪者たちのことは全く理解できないし、許されるべきではないと思う。

    でもその一方で看護婦や警察官が平然と他人の命を奪っていることも理解に苦しむ…。かなりのサイコパスでは、、?あまり現実的な気がしない。
    警察官の方は結局自分は他の人殺しと一緒と自覚しているようだけど…。

    シリーズの一作目と二作目を読んでたらもっと違う感想になってたのかな?
    わかりやすく正義と悪がはっきりしている構図じゃないから読後のモヤモヤ感がすごい。

    暴力や憎悪が更にそれらを呼ぶ、負の連鎖という点で映画「アメリカンヒストリーX」を思い出した。
    暴力に暴力で応じても何も解決しない。

  • 2013/9/12長かったが着想は面白い。★5

  • 少年法の抱える問題、移植を待つ家族…。私はアレルギーっ子を育てたので、それとは別で少女の親が許せなくて涙がぼろぼろ零れました。親の立場では面白いと感じられる要素が全くなくて途中でやめたら二度と手に取らないと思い無理やり一気に読みましたがとにかく辛かったです。今回倉持は行動を共にしません。証拠をでっち上げてまで犯人を捕まえてきた環たちと倉持の選んだ道にどんな違いがあるのか、私には考えてもわかりません。社会派三部作として評価されるのはわかった気がしますがようやくたどりついたラストに残ったのは疲労感だけでした。

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著者プロフィール

1968年、東京都生まれ。早稲田大学商学部卒。93年、第4回鮎川哲也賞の最終候補となった『慟哭』でデビュー。2010年『乱反射』で第63回日本推理作家協会賞受賞、『後悔と真実の色』で第23回山本周五郎賞受賞。「症候群」シリーズ、『プリズム』『愚行録』『微笑む人』『宿命と真実の炎』『罪と祈り』『悪の芽』『邯鄲の島遥かなり(上)(中)(下)』『紙の梟 ハーシュソサエティ』『追憶のかけら 現代語版』など多数の著書がある。

「2022年 『罪と祈り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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