森に眠る魚 (双葉文庫)

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著者 : 角田光代
  • 双葉社 (2011年11月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575514643

森に眠る魚 (双葉文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 読了日2010/06
    過去に本当にあった事件を題材にして書かれた本。
    ママ友の微妙な関係を、女性の外には出したくない醜い内面をズバッと書いてあって、面白かった。
    そして、私も一応ママの端くれなんで、興味を持って読み進みました。

    他人の心の中なんてわかんないけど、女ってみんなこんな妬みや嫉妬でいっぱいなのかな・・ちょっとショックだった。
    憧れと嫉妬は紙一重だし、人を見下すといことを自分では気がつかないうちにやってしまってるのかもしれないなぁ。

    この本を、今からママになる人が読んだら、きっと恐ろしくなるだろうなぁ(笑)
    公園デビューだとか幼稚園ママのお付き合いだとか、メディアでも騒がれてた時もあったけど、
    世の中、ママ友関係でこれほど追いつめられてしまう母親がたくさんいるのかなぁと思うと怖くなるなぁ。。
    実際、友達は幼稚園ママ時代、リーダーママ主催のお茶会で、父親の年収順に席を座らされたり、お茶会の幹事を要領よくやらないと、母親として失格と言わんばかりの避難の嵐だったりと・・・壮絶な体験をしたらしい。。
    こんな世界が身近に本当にあるとは・・とビックリしました。

    子育ては孤独だから、ママ友を作ることは大切だけれども、子どもをそっちのけにして、ママ友の関係に執着しすぎて、そのことしか考えられなくなってしまって、子育ての悩みよりママ友との関係の悩みの方が大きくなってしまうなんてバカバカしいと思ってしまうけど・・

  • 1999年に起こった「文京区幼女殺人事件」(通称:お受験殺人事件)を題材にした小説であり、数年前のドラマ「名前をなくした女神」の原作になった小説。

    女同士のドロドロを描かせたら角田光代さんの右に出る者はそうそういない、といつも思う。
    探り合ったり、貶め合ったりしながらも、実際顔を合わせたときには何事もなかったように笑顔で振る舞う。崩れるギリギリのところで保たれる関係。
    その裏側にあるのは不安や嫉妬。というのは、学生時代から子どもを持つ親に変わっても、変化することはないものなのかもしれない。

    未婚で子どももいない私が読んだ第一の感想は、ママ友って面倒くさい…というものだった。自分自身だけの人間関係ならば多少孤独を感じても平気だけど、自分の振る舞いが子どもの人間関係にも影響を及ぼすと思うとそういうわけにはいかない。
    幼稚園や小学校の受験は田舎に住む私には身近ではないけれど、都会に住んでいて子どものお受験に励む母親というのは実際たくさんいるのだろうし、そんな中でママ友同士のトラブルというのもたくさんあるのだろう。
    幼稚園や小学校に通う立場である子どもは蚊帳の外で、実際は親同士の戦争であるというのが滑稽だとも思う。
    子どものためを思うから幼稚園から良い所に行かせたい。それは愛情なのかもしれないけれど、そのために子どもに苦しい思いをさせるのは果たして。自分が誇らしくありたいから子どもを良い所に行かせたいだけではないのか?
    そういう感情ってはっきりと線引き出来るわけじゃないから難しい。
    健康で育ってくれれば、とは思っていても、出来の良い子どもに育てば誇らしく思うのは当然だろうから。

    まだ幼い子どもを持つ5人の女性、それぞれの目線で描かれていく連作のようなつくりの小説。年齢も、立場も、生い立ちも、家庭の経済状況も、当然みんな違う5人。
    違うから子育てに対してもそれぞれ違う考え方を持っているはずなのに、関わり合うことで影響を受け合って、最初は友好的だった関係がだんだんと変化していく。
    ほんの少しのズレやすれ違いが思い込みに変わって、緩やかな雪崩のように関係が壊れていく恐ろしさ。大袈裟ではなく身近にありそうだからこそゾッと背筋が寒くなる。

    でもいつも思うのは、角田さんの小説には“ひかり”を感じる。
    ドロドロしていて痛々しくて恐ろしくても、その先にはまだ未来があるんだと思わせる不思議な力強さがある。
    実際は殺人事件にまで至ってしまった出来事が、小説では…。

    容姿、年齢、夫、経済状況、そして子どもの出来に至るまでが嫉妬の要素になる“ママ友”。その中で本当に信頼出来る関係を築くのは不可能なのだろうかと、考えてしまった。

  • 5人の幼子がいる母親が知り合い、ママ友になり、ずっと一緒に子育てをしていこうと約束するが、お受験、家庭の格差、様々な違いが5人それぞれが恨み妬み闇となって行く。何年か前の東京で起きた事件がモチーフなのは読めばすぐわかる。
    前回「砂漠(伊坂幸太郎)」のレビューの中で、女の友情は難しい、と言うようなことを書いたが、やはり今回もこの本を読んで思った。特に子供を通した、ママになってからのママ友は関係を深めたらあまりよろしくないのである。気持ちは同じ母として大変よくわかる。母親なんて我が子のことになれば、アホにでも鬼にでもなれるのだ。赤子の時から一挙手一投足に一喜一憂し見守ってきたのだから。目的が、子供の為、と言いながら自分の為に変わっていないか、迷走しながら母親は日々過ごしている。…かも。(笑)
    追記。個人的にママ友という言葉は好きではありません。

  • 前半までは5人のママ友達がそれぞれの個性はあるものの
    分け隔てなく楽しく過ごしているかのように見えて
    一瞬羨ましい関係のようにも思えました。
    ところがある一人の男の子の小学校受験をきっかけに
    それまで関心のなかったママ友達に異変が起き始める。
    そして受験だけでなく一人が妊娠したことによっても異変が起きはじめ
    徐々にグループ内の関係が崩れはじめます。
    楽しいママ友がいっぺんにして互いに比較したり、探り合ったり、
    憎しみあったりしてここまでも関係が崩壊していくのかと
    思ってしまいました。
    互いに比較して嫉妬の塊になっていき、
    しまいには自分で自分を苦しめてしまっている状態になり
    後半部分でのお祭りに行く女性の怪しい行動には狂気を感じ、
    女性の心理描写があまりにも鬼気迫る思いがして
    読んでいて苦しかったです。

    女性は物心ついた時から男性にはない独特の世界があり、
    それは学生時代だけのことだと思っていましたが、
    大人になってもいつの世代になっても抜けることはなく、
    それによって人間関係が難しいと思わざるおえなくなってしまいます。
    この中のママ友達も学生の時に苦い経験があるからこそ、
    また同じような経験はしたくないからそこそこの付き合いをと
    思っていたと思っていましたが、結局はまた同じようなことを
    繰り返されてしまったというのはやりきれなさを感じます。
    他人と比べると人は不要は不幸を背負いこむ。
    人は人、自分は自分、その線引きをしっかりさせて
    日々を送りたいと思っていても
    ママ友となると自分だけではなく子供を交えての交際となると
    難しいのだなと思いました。

    角田さんは以前の作品でも女性の心理描写やママ友達の会話が
    とても細かく表現されていて、特に今回も会話の部分では
    とてもリアルでまるでどこかの立場端でも聞いているかのような
    リアル感で吸い込まれました。

    登場人物のどの女性もそれぞれの過去に辛い過去があったり、
    今もなお人には言いたくても言えない悩みがあったりしても、
    ママ友の前に出ると明るく気丈に逞しくふるまってしまい
    それが余計にいらないトラブルの火種になってしまうのかとも思ったりしました。
    誰が悪いとかそうゆうことではなく、
    とにかく人と比べることでこんなにも苦しく辛くなってしまう
    人間関係というのは嫌だなと思っていまいました。

    核家族で少子化という昨今で同じ年頃の子どもを持つ主婦は
    同じような境遇の人と出逢えたらどれだけ心強いものかと思います。
    けれどせっかくのママ友も些細な事からどこかボタンを掛け違いで
    こんなドロドロとした人間関係になってしまって、
    親同士だけでなく子供まで嫌な思いをさせてしまうのは残念なことだと思います。

    私は子供がいないのでママ友付き合いという経験が無いですが、
    時にはそんな関係が羨ましくも思ったりもしましたが、
    このような事に巻き込まれしまうとしたら
    そんな経験をしなくて良かったのかなとも思えたり、
    女性の独特な世界感を改めて難しいなと思わされてしまいました。
    けれど自分の価値観と合ったり心地良い人と出会えることも
    あると思うので、そのような場合にはママ友という枠を超えて
    人生の友になれるかと思います。

    読みやすく現代の女性の心を鷲掴みしていて
    女性の日頃に対する本音も細かく描かれているかと思います。
    女性の心の深い闇を知るには読み応えがありお勧めな作品かと思います。

  • 東京の文教地区の町で出会った5人の母親。育児を通して心をかよわせるが、いつしかその関係性は変容していた。…あの人たちと離れればいい。なぜ私を置いてゆくの。そうだ、終わらせなきゃ。心の声は幾重にもせめぎ合い、それぞれが追いつめられてゆく。凄みある筆致で描きだした、現代に生きる母親たちの深い孤独と痛み。渾身の長編母子小説。

  • *東京の文教地区の町で出会った5人の母親。育児を通して心をかよわせるが、いつしかその関係性は変容していた。―あの人たちと離れればいい。なぜ私を置いてゆくの・・・心の声は幾重にもせめぎ合い、それぞれが追いつめられてゆく。凄みある筆致で描きだした、現代に生きる母親たちの深い孤独と痛み。渾身の長編母子小説*
    久しぶりに読み返しましたが、本当にこの方は女性のじわじわと追い詰められる過程を書かせたら天下一品ですね。一番の特筆すべき点は、あんなにも理解し、信頼し合えた女たちの気持ちが、どの時点ですれ違い、離れて、嫌悪感にまで至るのか、はっきりした境目がないこと。いつの間にか、気付いたら変わっている。白い絵の具に落ちた墨汁がグレーに、黒へとゆっくり変わっていくような。何度読んでも、そのリアル過ぎる情景には背筋がぞくぞくします。

  • 怖い怖い。小学校前の子の母親たちの日常。お受験、ママ友。価値観の違いや生活感の違い、どうしても他の子(他の母親?)と比べてしまう。でも誰かとつながっていたい。殺人とか窃盗とか犯罪がある訳じゃないのに、怖い世界。いつか楽になるんでしょうか?

  • うん。こういうの好きです。母になりここまでドロドロではないにしてもタイムリーにママ友問題に直面してるからかな。一気に読める感じがいい。

  • 女性特有のもがきなのだろうか。

    「仲良くしたい」という透明な気持ちが気が付けば「独占したい」と濁っていき、
    「良き母でありたい」という透明な気持ちが気が付けば「子を進学校へ入れたい」と濁っていき、
    「豊かな暮らしがしたい」という透明な気持ちが気が付けば「あれもこれも手に入れたい」と身分不相応に濁っていき、

    幸せになりたいという純粋な願いが、
    妬み嫉みや恨みつらみに変わっていってしまう。

    私の幸せとあの人の幸せは違っていて、
    私の幸せとこの子の幸せは違っていて、
    その当たり前のことに想いが至らずに他人にコントロールされて他人をコントロールしようとしてしまう。

    自分は自分だけを操れればあいのに。

    息苦しい生き方をしてしまうのは、同じだからなのだろうか。

  • 私にはママ友がいない。
    作ろうと思って出かけることもしたが、できなかった。
    じゃあ保育園で、と考えたが、皆忙しいので朝は一言。
    夕方もシーツ交換の時に少し長めに話すだけで、顔見知り程度だ。
    何の仕事をしているのかも、年齢も、名前も、どこに住んでいるのかも知らない。
    そのことを少し寂しく物足りなく思うが、長年の友人がそのままママ友になってきたし、会社に行けば子持ちの先輩もいるし、困らないからいいやと思うようになってきた。
    都会っ子はこれぐらいの距離感でいいのだ、と無理やり納得している部分もあるのかもしれないが。

    そんな私だが、本書に登場する母親たちの追い詰められ方には共感できる箇所も多くある。
    〇〇ちゃんのママ、という呼ばれ方しかされなくなって、子供がまるで自分の分身のようになっていけば、視野はどんどん狭くなる。
    自分の失敗をこの子にはさせまい、そう思って「この子のため」をやればやるほど、本来の「子供のため」から外れていく。
    実は全部自分のためで、もう一度過去をやり直そうという目標に変わっていく。
    その変化は決して他人事ではない。
    ちょっとしたはずみですぐ行ってしまう道なのだ。

    繭子、容子、千花、瞳、かおり。
    この5人は誰も私に似ていない。
    けれど全部自分のような気がする。
    私は子供に「お受験」をさせる気はないし、仕事という「〇〇ちゃんのママ」ではない呼び名(加えて旧姓で呼んでもらえる)を得られているし、ある種の逃げ場を持っている。
    だから彼女たちと同じ悩みを共有してはいないけれど、孤独の中にやってくる魔物の存在を私は知っている。
    健診の時に、ネットで調べた時に、本を読んだ時に、月齢にしては、同い年にしては、と我が子を他人と比べ、焦り、安心し、イラつき、頭を抱える。
    話し相手のいない中で、自分がちゃんとしていなければ、理想はこうでなければ、強迫観念に囚われ逃げ出せない。
    名もなき魔物はいつも私の心の中にいる。

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森に眠る魚 (双葉文庫)の作品紹介

東京の文教地区の町で出会った5人の母親。育児を通して心をかよわせるが、いつしかその関係性は変容していた。-あの人たちと離れればいい。なぜ私を置いてゆくの。そうだ、終わらせなきゃ。心の声は幾重にもせめぎ合い、それぞれが追いつめられてゆく。凄みある筆致で描きだした、現代に生きる母親たちの深い孤独と痛み。渾身の長編母子小説。

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