珈琲屋の人々 (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
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本棚登録 : 1753
感想 : 220
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575515268

作品紹介・あらすじ

物語は「初恋」で始まり「再恋」で終わる-。東京のちいさな商店街にある喫茶店『珈琲屋』の主人・行介は、あることで人を殺した。当時、行介の恋人だった冬子は別の男性と結婚したが、行介が出所すると冬子は離婚していた。冬子に何があったのか…。商店街に暮らす人々が『珈琲屋』で語った人間ドラマを七編収録。情感溢れる連作短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 俺のこの右手が、人を殺した事を覚えている……
    東京の下町の商店街にある喫茶店「珈琲屋」に訪れる人々の物語を綴った7編の連作集です。
    宗田行介(こうすけ)37才は、7年余りの刑期を終えて実家に帰って来て、家業である珈琲店を再開します。そこに幼馴染で初恋の冬子が、客として来るところから物語は始まります。
    7編の短編の物語を音読でほぼ1日1話ずつ読んでいきました。後味はいいものではありませんでした。物語の中で「俺のこの右手が……と、右手を見て人を殺した事を覚えていると」いう決め台詞が出てきます。唯一の救いは、毎回幼馴染みで相思相愛の美しい冬子が珈琲屋の常連客として登場する事です。

    【音読】
    2021年10月09日から10月16日まで、大活字本を音読で読みました。この本の底本は、2012年10月発行の双葉文庫「珈琲屋の人々」シリーズ1作目です。本の登録も同本で行います。大活字本では、上・下巻に別れています。

    珈琲屋の人々(大活字本)
    2015.12発行。字の大きさは…大活字本。2021.10.09~16音読で読了。★★★☆☆
    初恋、シャツのぬくもり、心を忘れた少女、すきま風、9年前のけじめ、手切れ金、再恋、の7編の連作集。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    【バックナンバー】
    珈琲屋の人々シリーズのバックナンバーは、私の本棚より「タグ」→「タグの一覧を絞り込む」に「池永陽」と入力。または、その中から池永陽を探してください。そうすると著者池永陽さんの本が一覧表示されます。
    私は、本を登録するときには、著者名と登録した年(2021)で登録しています。たまにシリーズ名でも登録もします。例えば「風烈廻り与力・青柳剣一郎」などです。

  • 総武線沿いのちっぽけな商店街にある珈琲屋を舞台に、いろいろな事情を抱えた人達の人間模様が描かれている小説。読み終えた後に美味しい熱い珈琲が飲みたくなる。主人公の珈琲屋の行介にとっては服役しただけでは殺人という罪が償えるものではないと思って自分の犯した過去にあまりにも縛られ過ぎているというか背負いすぎているというか。それだけ自分の犯した罪に真摯に向き合っているということなんだろうが、前に進んでいってほしいと思う。幼馴染みの冬子との静かな大人の愛がすてき。サイフォン式のアルコールランプの橙色の炎を見ていると確かに心が落ち着く。サイフォン式で珈琲を淹れてくれるお店に行ってみたくなった。

  • 地上げ屋に反対していた店の娘がその地上屋に暴行されて自殺する。同じ商店街で珈琲屋を営む行介はその地上げ屋を殺してしまう。
    刑期を終えて出所し、珈琲屋を再開するが、訪れてくる客はそれぞれに問題や悩みを抱えていて、殺人歴のある行介と接することで考え直したり、立ち直ったりする。
    そうした、何でも悩みを打ち明けられるような場所があることはよいことかもしれないが、行介に背負わされた十字架が重すぎる気がした。

  • '23年1月28日、Amazon audibleで、聴き終えました。この作者さんの作品、初です。

    う〜ん…どうかなぁ、微妙。

    全7話からなる連作短編集ですが…好きな話もあったり、余韻があったりもしましたが、「尻切れトンボ」的な話もあって(⁠ ⁠・ั⁠﹏⁠・ั⁠)最後の「再恋」とかは、僕には「何だこりゃ」でした。

    「すきま風」「九年前のけじめ」の2話が、僕には「尻切れトンボ」でした。嫌味な言い方をすると、何だか「純文学的な余韻」を狙ったのかな?なんて思えてしまいます。

    「初恋」「シャツのぬくもり」「心を忘れた少女」の3編は、好きでした。

    シリーズ2作目に、期待します。

  • ある事情から殺人の前科がある珈琲屋の店主。店主と元恋人を軸に、店に相談にやってくる客たちのストーリー。犯した罪は服役して償った。せめて好きな人と結ばれることは許してやって欲しいと切に思う。次回作でどんな展開になるのか楽しみ。

  • NHKのドラマで見てから原作を読みました。
    ドラマより暗く、結末がわからないような展開にしている。
    全体的に人間のどろっとした部分を浮き出して、コーヒーの香りでふわっとごまかしてる感じ。
    それがいいのか悪いのかはわからないけど、
    痛快ではない。読むのが辛くなるけど、悪い本ではない。

  • 短編がそれぞれ少しずつ繋がっている作品。

    それぞれにドラマがあって面白いが
    ひとつの商店街にそんなドラマはないだろう、、、苦笑
    と突っ込んでみたくなる。

    それぞれのドラマに対して
    今日は香りの効いた味、酸っぱい味、苦い味といった
    コーヒーを出せると良いが、いつも熱いコーヒー。

    コーヒー好きにはやや物足りないが
    「常連になれる店を一つぐらい作りたいな」
    と思わせる作品でした。

  • 主人公の一言一言に深みがある。

  • 珈琲屋だけに、ほろ苦い大人の物語。
    ちょっと昭和の香り。
    そして、前科とか、償いとか…
    決して悪人ではないのだけれど、わけあって前科のある、珈琲屋のマスター行介と、バツイチの幼なじみの冬子の、押さえた恋愛を根底に、商店街の人々の様々な事情が描かれる。
    昨今、たくさん出されているお店物のようにミステリーではないのだけれど、日常の様々な悩みにマスターが一緒になって悩む、あるいは、マスター自身の屈託と絡めて、生きることのむずかしさ、小さな幸せをどう感じるか、悩みにどう折り合いをつけて行くかなど、立ち止まって考えさせてくれる。

  • 珈琲屋の人々(双葉文庫)
    著作者:池永陽
    発行者:双葉社
    タイムライン
    http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
    facecollabo home Booklog
    https://facecollabo.jimdofree.com/
    2014年に高橋克典さん主演でドラマ化されました。

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著者プロフィール

1998 年「走るジイサン」で第11 回小説すばる新人賞受賞。2002 年「コンビニ・ララバイ」で注目を集める。06 年「雲を斬る」で第12 回中山義秀文学賞受賞。その他著書多数。

「2021年 『おっさんたちの黄昏商店街 それぞれの恋路』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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