バイバイ、ブラックバード (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社 (2013年3月14日発売)
3.61
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本棚登録 : 10804
感想 : 983
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575515657

作品紹介・あらすじ

星野一彦の最後の願いは何者かに〈あのバス〉で連れていかれる前に、五人の恋人たちに別れを告げること。
そんな彼の見張り役は「常識」「愛想」「悩み」「色気」「上品」
これらの単語を黒く塗り潰したマイ辞書を持つ粗暴な大女、繭美。
なんとも不思議な数週間を描く、おかしみに彩られた「グッド・バイ」ストーリー。

感想・レビュー・書評

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  • 「僕は、来ない相手をずっと待ってる寂しさに詳しいんだ」
    飄々として、掴みどころがなくて、目の前で寂しそうにしている人がいたら、とりあえず声をかけてしまうだろう、五人の恋人を持つ星野ちゃん。
    そんな男と二ヶ月半強、見張り役としてともに行動していた繭美。
    彼女は星野ちゃんに対して「おまえは自分には大した価値はないと感じている」と指摘する。それはつまり「相手にとって自分は重要な人間じゃねえ」と思っていること。
    星野ちゃんて、可笑しいけど何だか悲しい。同じ空間にいるはずなのに何だか寂しい。そんな心情を抱いていた私は、繭美の言葉に納得した。
    星野ちゃんが‹あのバス›に乗る直前、繭美が助かるかもしれない方法を助言する。繭美の意外な行動に、最初は繭美らしくないぞと思ったのだけれど、そうだ、繭美も人間だったとハッとする(普通の人間なんだね、とまでは星野ちゃんは思えないようだが)彼女は決して無機質な機械なんかじゃない。人間なのだから、星野ちゃんに共感し、何とかしてやりたいとの思いが芽生えることがあってもいいじゃないか。それだけの魅力が星野ちゃんと五人の恋人たちにはあったのだから。
    変わらない星野ちゃんと、変わっていく繭美。
    辞書にない言葉でも心に浮かび上がったのならば、後先考えず突っ走るのもありでしょ?

    • やまさん
      地球っこさん
      こんばんは。
      いいね!有難うございます。
      やま
      地球っこさん
      こんばんは。
      いいね!有難うございます。
      やま
      2019/11/27
    • 地球っこさん
      やまさん、こんばんは。
      こちらこそ、いつも「いいね」ありがとうございます(*^^*)
      やまさん、こんばんは。
      こちらこそ、いつも「いいね」ありがとうございます(*^^*)
      2019/11/27
  • 何らかの事情(借金&あのバス?)で今までの生活を続けられなくなった星野が、正体不明の巨体女性・繭美とともに5人の恋人たちに別れを告げてまわる。

    キャラクターがみんな個性的なのと、主人公・繭美含め皆憎めない人物で読んでいて楽しいしほっこりもする。

    〈あのバス〉とは何なのか、どこへ連れて行かれるのか、とても気になる…!!!けど、それを書かないで想像の余地や余韻を残すのも著者らしいなと思った。

    繭美が星野と出会ってから少しずつ変化していって、最後には(おそらく)星野を助け出そうと動き出すのも良かった。

  • H30.4.2 読了。

    ・身長190㎝、体重200kgの繭美がストーリーを面白くしてくれている。でも、もう少しスリルがあっても良いように感じた。

  • 色々と想像して楽しめる作品でした。繭美と星野ちゃんの軽妙な遣り取りにクスクス、ニヤニヤしながら、あっ、そこでそう繋がるのね! とスッキリ!
    フェルミ推定、やっちゃいますよねぇ。死がテーマではあるものの読後はほっこりとしました。

  • またまた いい本に出会えた。
    読後感がなんとも心地よい。


    ラスト、バイク かかってくれ。という思いと、
    いや、掛からなくてもいい、繭美が「かからねーじゃねぇか!このヤロー、!」と持ち主を一発なぐり、そのあと地鳴りがする勢いでバスを追いかける。
    結局、星野を助けに行くことになるんだけど。
    なんか、そうなってほしいな。

    星野が繭美を助ける以前に、なかにもっと星野に心持っていかれるストーリーがあれば、より引き込まれたかなあ。出会って2カ月だから、いろいろ あったのだろう、そうだ、そう思いたい。

    ドラマ化されないかな? と小さな期待。
    配役は、星野=オードリー若林、繭美は直美でお願いしたいわ。

  • 唐突な物語の始まり方が好きです。
    最初の一行からワクワクして、もう読み進められずにいられない。
    5人の女性もみんなとっても魅力的で、そりゃ5股になるわ、とはならないにしてもこれだけ素敵な女性ばかりと出会えて、その上愛される星野はすごい。
    「美味しいパンになれなかったんだね」には泣きそうになりした。

    結局投げっぱなしのラストだったけど、もうこれはこれでいいかな。

    あのバスってなんなのか、繭美が何者なのか、知りたかったけど。


    グッドバイも読もうと思います。

  • 5股をかけている男が、とある理由で怪物女と共に清算しにいくお話。
    飄々と生きている普通の男が5人ものタイプの違った女性と付き合っていて、その出会いも別れもそれぞれ面白い。ただ、ラストは「え!?これで終わり??」となった…。
    怪物女・繭美は頭の中でマツコ・デラックスに変換されたままだ(笑)

  • 何処かで読んだ様なーと思っていた。太宰治のグッドバイのオマージュだったのね。ただ相方の繭美の設定で東京道中膝栗毛。

  • 五股をかけている男「星野」が、見た目も態度もデカいハーフの女「繭美」に死のバスに乗せられることになる。そこで五人の恋人それぞれに、「繭美と結婚する」と別れを告げる話。


    伊坂幸太郎さんのインタビューにも書かれていた通り、太宰治の未完の作品、「グッド・バイ」のオマージュ作品でした。グッド・バイも読んでみたくなりました。

    結論から言うと、繭美が強盗団と思われる者たちに連れ去られ、それを星野が追いかけます。すると体格のいい繭美は、強盗団全員を倒していました。
    そのあと、星野はバスに乗りますが、それを繭美が助けに行くという終わり方をしています。

    これもインタビューからですが、伊坂さんの長編小説、「ゴールデンスランバー」で犯人が分からなかったように、バスの正体は結局わかりません。

    だけどそれも、伊坂さんの作品の個性だと思って、楽しめました。

  • 5股していた男が、バスで恐ろしい場所に連れていかれる前に、彼女たちに会って清算したいと言い出す。その監視についたのが、2メートル100キロ超えの大女、繭美。
    彼女は辞書を持ち歩き、その項目をつぶして、私の辞書にその文字はない、といい人の傷つくことを言って動揺させることを楽しみにする性格の悪い女であった。
    彼女の漏れ出る話に、人生にそこまでゆがませる色々な何かがあったのだろうとは推測される。それで今の繭美が生まれて一彦を監視する、という話になるのかもしれない 。
    一彦は不思議な男性だとおもう。気遣い屋なのに鈍感で、目の前のことですぐいっぱいになる。
    後さき考えずに行動し、そして今バスに乗せられようとしている。
    この二人の関係が2か月の間で変化するのも面白かった。一彦と付き合っていた5人の女性の個性や背景もバラバラでそれぞれのエピソードも楽しかったけど、繭美も6人目?になったかな。

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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