境遇 (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
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本棚登録 : 7325
感想 : 405
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575518238

作品紹介・あらすじ

政治家の妻であり、息子のために描いた絵本『あおぞらリボン』がベストセラーとなった高倉陽子と、新聞記者の相田晴美は親友同士。共に幼いころ親に捨てられ児童養護施設で育った過去を持つ。ある日、「息子を返してほしければ、真実を公表しろ」という脅迫状とともに、陽子の息子が誘拐された。「真実」とは一体何なのか。そして犯人は…。絵本『あおぞらリボン』(作・みなとかなえ、絵・すやまゆうか)を特別収録。

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりに再読。
    幼児期、児童養護施設に預けられたという同じ境遇の二人の女性。
    一人は、恵まれた家庭に養女となり、愛されて育ち、政治家の妻となる。
    一人は、高校卒業まで施設で育ち、自分の過去に近づく為新聞記者となる。
    彼女らは、ボランティアで出会い、同じ境遇に親友になっていく。
    彼女らの思い出から創作された絵本が、ヒットしたことから、過去が明らかになっていく。
    結末は、ほぼハッピーエンド。
    湊さんのイヤミス度は、低め。
    あとがきから、ドラマ化の為の小説と知れば納得。
    原作あり作品のドラマ化の問題点が取り沙汰されている中、こういった制作の作品が増えても良いかもしれないと思った。

  • 久々に湊さん♡だいぶ前の作品みたい。
    その頃の湊さんの作品ってイヤミス度高めだったイメージだけど、これはそれほどでもなかったかも。
    さすが湊さん、すいすい読みやすいのだけど、イヤミス好きな私にしてはちょっとあっさりだったかな〜。
    後で知りましたがドラマ用に書き下ろした作品だったみたいです。

    めっちゃ早い段階で犯人の予想がついてしまった。
    ついでにその後オチも気づいちゃいました。

    ちょっとツッコミたくなるところ?え、と思うところ?もチラホラ。。
    元は誰の話やね〜ん。
    何で気付かんね〜ん。
    そのままでいいんか〜い。
    と心の声。。

    湊さん好きな作品が多くてそれだけに少し物足りなさはあったけど、そう言いながらも気になるストーリーで一気読みでした。

    ちなみに私の好きな湊さん作品ベスト3

    ①花の鎖
    ②未来
    ③リバース
    です✩︎⡱

    • aoi-soraさん
      mihiroさん、こんばんは~♪
      「花の鎖」
      文庫持ってますが結構前に読んだので、内容忘れてる^^;
      女性が主人公の連作だったような…
      再読...
      mihiroさん、こんばんは~♪
      「花の鎖」
      文庫持ってますが結構前に読んだので、内容忘れてる^^;
      女性が主人公の連作だったような…
      再読したいと思いました!
      「リバース」はドラマで観たと思います。
      「未来」は読んでないかなー
      久々に湊かなえさん読みたくなった(⁠◍⁠•⁠ᴗ⁠•⁠◍⁠)⁠
      2023/12/20
    • mihiroさん
      aoiさ〜ん♡こんにちは(*^^*)
      湊さん、私も久々でした〜♪
      忘れちゃいますよね〜笑 私なんて、こないだ読んだやつでもどんどん忘れてしま...
      aoiさ〜ん♡こんにちは(*^^*)
      湊さん、私も久々でした〜♪
      忘れちゃいますよね〜笑 私なんて、こないだ読んだやつでもどんどん忘れてしまいます笑
      花の鎖は、女性が主人公の話が2つ交互に語られて、最後それが繋がるみたいな感じのやつです♪
      最近ではよくあるパターンですが、その時はおぉ〜っと驚いてめっちゃ印象に残ってるんです笑♡
      湊さん、なんだかんだ言っても安定で面白いですね。
      読めてないのもあるし私もまた読みたいな〜♪
      2023/12/21
  • 『人は生まれた環境でその後の人生が決まるのではなく、人生は自分で作っていけるものだというメッセージを込めたい』というのが湊さんがこの作品に込めた思いだそうです。そうあるべき、そうあって欲しい。でも残念ながら実際の世の中は日本だけじゃなく、世界を見てもなかなかこの理想とはほど遠い現実があるように思います。

    『施設の子どもは、存在自体が非常識ってこと?』こんな問いかけから、愛人男性と別れた晴美。自分と同じように施設で一時期暮らした境遇を持つ陽子とは強い絆で結ばれていると信じています。それは陽子も同じこと。でも『私たちが親友になれたのは、同じ境遇だからなのかな 』という陽子に対して、晴美が何と答えたかがどうしても思い出せない陽子。そんな陽子に訪れた結婚の機会。陽子は悩みます。『誰と血が繋がっているのかわからない私は、何を受け継ぎ、何を引き渡せるというのでしょう。 結婚してもいいのか』これに対し晴美は、『ある日、突然、どこかから湧き出たわけじゃない。誰かのお腹から生まれてきたの。誰かと繋がっていることは確かなの。ただ、知らないだけ』と答え、陽子の肩を押します。陽子は県議会議員の妻となり、一児を儲けました。そして、陽子が描いた絵本が10万部を売り上げた時、大切な長男・裕二が誘拐され、ここまで順風満帆だった陽子の人生が激震します。

    ミステリーなのでこれ以上書くのは控えたいと思いますが、この後の展開はかなり早い段階で結末の予想がついてしまいます。最後にもう一捻りが入るのですが、ちょっと強引な気もしました。また、そもそも子供が誘拐されているというのになんだか場に緊迫感がないというか、もっと皆さん焦りましょうよ!と言いたくなるもどかしさがつきまといます。そして、そもそも未成年者誘拐(3年以上7年以下の懲役)という大きな犯罪の動機があまりに弱過ぎるというかなんだかよく分からないようにも思えることなど、なんだかスッキリしない結末、読後感です。う〜ん。

    でも、この作品を読んで、とても大きな収穫がありました。晴美の語りですが、『こう平静でいられるのは、陽子の母性が、自らの境遇ゆえに欠けているからなのか。それとも、境遇ゆえに人並み以上に強く備わっているからなのか。 』湊さんは、この「境遇」では実の母親に捨てられて養子として育った陽子の子育てを描く中で、母親となる人の『母性』がその生育過程で欠けたり、強弱がついたりするのではないかという点に焦点を当てています。そして、この作品の翌年に湊さんは「母性」を発表されています。この作品を経て、「母性」で一つの結論に至る湊さん。『母性』に繋がる『境遇』、人が人として生きていく中で、その基本となるべきものがどう形作られるのか、形作られていくのか。湊さんが、答えを模索されている様子が垣間見えるとても興味深い一節でした。

    ということで、ミステリーとしては展開こそ今ひとつに感じましたが、湊さんがこの作品に込めようとされたこと自体は伝わってきたように思います。こうやって、作品間で作者の考え方の変遷が見れるというのも読書の面白いところだなと感じさせてくれた、そんな作品でした。

  • 黒?白?灰色の湊かなえでしょうか?消化不良でした、と感想の言葉もかぶってしまい、もうしっちゃかめっちゃか。陽子と晴美はお互い親から見捨てられ児童養護施設で育つ。陽子は代議士と結婚し男児を出産。晴美は新聞記者で独身。2人とも産みの親に会いたいと思うことで意気投合。今回の話は、2人の生みの親探し、昔の殺人事件、陽子の絵本の大賞受賞、陽子の夫の献金詐欺事件が複雑に絡み合う。今回、全く感情移入できなかった理由、2人の関係性が不明瞭で、犯人の意図も薄い。もっと墨汁のような黒でよかったのに。頼む!ぶっちぎってくれ!

  • 幼い頃親に捨てられた。同じ境遇を持つ女性ふたり。
    誘拐事件を追ううちに知った過去の事件と自身の繋がり。
    終盤にかけて迫る怒涛の展開。
    誘拐の犯人と真実、驚かされました。
    自身の正義、事件にまつわる様々な人達の苦悩。
    最初はつかみきれない所もありましたが面白い作品でした。
    湊かなえさんの他の作品も読んでみたいと思います。

  • ’24年1月3日、Amazon Audibleで、聴き終えました。今年初の本。

    さすがの湊さん、でした。お見事!

    何も諦めず、前を向いて、今年も歩んでいこう、なんて…ガラにもなく、胸に刻むことができました。

    松雪泰子さんのナレーション、本作にとても合っていたと思います。

  • 生い立ちが公表されたとしてもあの内容の絵本を書いた作家と教育に力を入れてる政治家なら好感度アップの話題作りになるだろうし、生みの親の素性がどうであれ生まれてすぐに施設に預けられてるなら関係なくない?と思ってしまい、大騒ぎしてる登場人物たちにいまいち感情移入できなかった。感情移入できなくてもいいな、と思った。

  • 人と人を繋ぐものはなんなのか?

    同じ価値観の持ち主?
    趣味が合う人?
    年齢?性別?出身地?
    そして境遇?

    色々な理由で人は人と繋がる。
    でもどんな理由であれ、
    結果繋がりを解いてしまうことがある。

    絆があれば、それでも解けないものなのかな?

  • 作者名で期待が膨らんでしまうので、もうひと押しと思う部分も、
    読み易さと言う点ではさすがだなぁと思う。

    中盤くらいから、落ちが読めてしまい、
    まさかね・・・と思うも、その通りになってしまったりして、
    少々物足りなさも感じたが、全体的にはやっぱり面白いと思う。

  • めっちゃ読みやすかったし、面白かった。
    湊かなえはイヤミス女王と呼ばれてるらしいので、最後どうなってしまうのかとずっとハラハラした。
    黒い内面の部分もしっかりあり、リアルで良い。こういうのも好き。

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著者プロフィール

1973年広島県生まれ。2007年『聖職者』で「小説推理新人賞」を受賞。翌年、同作を収録した『告白』でデビューする。2012年『望郷、海の星』(『望郷』に収録)で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞する。主な著書は、『ユートピア』『贖罪』『Nのために』『母性』『落日』『カケラ』等。23年、デビュー15周年書き下ろし作『人間標本』を発表する。

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