むすびや (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
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感想 : 41
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575519778

感想・レビュー・書評

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  • 主人公の結は就活に失敗して今は実家の店を手伝うという状況。

    小説とはいえ、他人事とは思えないかも・・・
    うちも自営業。息子は来年就活。継いで欲しいなんて1%も思ってない。

    ひとつひとつ、そうだよね、そうだよねと思いながらじっくり読みました。

    ほんわかした素敵なお話で気持ちが温かくなるし、とっても身近に感じられるお話でした。

  • 穂高明『むすびや』双葉文庫。

    相変わらず穂高明が紡ぎ出す物語は柔らかで、温かく、心地がよい。

    おむすび屋を舞台にした人びとの暖かい心に包まれる物語。大学を卒業したものの、就職活動で全敗し、家業のおむすび屋を手伝うことになった主人公の結は、おむすび作りに実直に取り組む両親の姿を見ながら、少しずつ成長していく。

    主人公の結という名前とおむすび…かつての東北地方では…

    穂高明という作家を知ったのは『月のうた』という、何とも言えない哀しさと温かさを感じる作品だった。次に読んだ『かなりや』は、不思議なストーリーとその中に込められた強いメッセージに驚かされた。二作ともに甲乙付けがたい傑作だと思う。この『むすびや』も二作を脅かすほどの秀作である。この『むすびや』を読み、内海隆一郎のハートウォーミング作品を思い出した。

  • 『これからの誕生日』が良かったので、こちらも読んでみた。

    就職活動をしたものの全敗だった結(ゆい)。
    幼いころは女の子のような名前に悩んだこともあった。
    不本意ながら、両親が営むおむすびやさんを手伝うことになる。
    家業がおむすびやさんであることを嫌っていた結だったが、お店を手伝うようになり、少しずつ成長していく。
    連作短編集。

    あたりまえにある幸せにはなかなか気づけない。
    たくさんの人に支えられていることにもなかなか気づけない。
    そのことに少し気持ちが動き始めたら、人は人に優しくなれる。
    ほっかほかのおむすびとあったかいお味噌汁が食べたくなる。
    そんな一冊。

  • 【美味しい小説】
    日本人が絶大な信用を寄せる、美味しいもの、それが「おむすび」ですよねぇ(о´∀`о)
    表題の通り、おむすび屋さんが主体の小説で各章は中の具材に焦点が当たっております。
    新卒だけど就職が決まらず、家業のおにぎり屋さんで働くことになった結。自分に自信がなく、ネガティブで、実家で働くことにも抵抗を覚えてた序章。
    しかしながら、両親の拘りと手間隙かけた具材達、常連さんからの信頼、近隣の商店街の同士との掛け合いの中で、仕事に対する情熱を持ち始めます。
    、、なんて解説よりとにかくですね、もぅ!おむすび美味しそうー!!!
    毎日削りたての鰹節で作るおかか!自家製の和歌山産美味しい梅干し!こだわりのたらこや焼き鮭!あったかいお赤飯(o^^o)
    作中に出てくるお客さん達も、むすびやのほっこり美味しいおむすびを食べて元気になるんですよ!納得。
    出来立てのおむすび、食べたい!すごく!
    この小説を読んでると、自宅にいながらわざわざ炊いたゴハンをおむすびにして、お家の中だけど食べたくなります。
    お米おいしいよね!おむすびは無敵のメニューだよね!!と改めて実感する小説です。

  • 就職活動で全敗し、家業のおむすび屋を手伝うことになった結。
    実家の商売に子供の頃からコンプレックスを抱いてきた結だが、 おむすびに実直に向き合う両親の姿を目の当たりにし、徐々に気持ちが変わってゆく。
    亡き祖母が「結」という名前に込めたある想いも、前途を温かく照らしだす――。
    一人の青年の新たな出発を描いた成長物語。

    実家のおむすびやを手伝うことになった男の子。最初はやる気が感じられず、しぶしぶ…という感じだったけれど、だんだん前向きに仕事に向き合うようになっていく。結の周りの人たちが語り手になる回もあり、みんな仕事のことで色々悩みながらも、がんばっている。そして、温かさを求めておむすびを食べる。私もおむすびを食べてがんばろう、としんみり思ったお話でした。

  • 「これからの誕生日」がとてもよかった。それ以降作品読んでいなかったけれど心のどこかに残っている作家さんでありました。本作は良く本屋で見かけたけれど、ライトな雰囲気だったのであまり食指が伸びませんでした。
    ところが読んでみたらば丁寧な文章で描かれたほんわかとした連作で、癒されながら読みました。
    おむすび食べたくなります。

  • 就活に失敗して実家のおむすび屋を手伝うことになった結(ゆい)。祖父の代は寿司屋で、父はあとを継がずにサラリーマンに。ところが祖父が亡くなった折り、寿司屋の女将として生きてきた祖母が「寿司は握れないけど飯は炊ける」とおいおい泣く。そんな祖母の側についたのが嫁に当たる母で、父はやむなくおむすび屋に。男なのに女のような「結」という名は、祖母が付けてくれた名前。

    おむすび屋が入る商店街の面々を主人公に、各章タイトルはおむすびの具材の名前。イートインもできるおむすび屋のおむすびは、温かいうちも冷めてからも美味しい。おかかの鰹節を結が削り、鮭フレークももちろん手作り。付け合わせの漬け物のための糠床も。八百屋、魚屋、米屋など、さまざまな店にさまざまな形で関わる人たちが登場します。

    商売をしている自分の家を恥ずかしく思っていた商店街の子どもたち。だけど、大人になって就職したら見えてくるいろんなこと。人との繋がりに感謝したくなります。

    おむすびは、心を込めて手のひらの中で結ぶもの。

  • もっとおむすびの話が読みたかった。

  • 毎回安心の面白さ。更なるシリーズ化を期待です!

  • 美味しいおにぎりが食べたくなった。
    学生のころ よく学校帰りに食べたお茶漬け屋さんのおにぎりとか オトナになってから時々通った豚汁も美味しいおにぎりやさんとか 最近行ってなかったけど 食べに行かなくちゃ。
    きゃらぶきって 天むすが流行ったとき 天むす屋さんで 付け合わせについてたのを食べたことあるけど きゃらぶきって種類のフキの佃煮だと思ってた。フツーのフキから作ってるのねー。これはびっくり。信じられません。
    全く別物としか思えない。

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著者プロフィール

一九七五年、宮城県生まれ。早稲田大学大学院修士課程修了。二〇〇七年『月のうた』で第二回ポプラ社小説大賞優秀賞を受賞。同作は、傑出した筆力を書評家などから絶賛された。他の著書に『かなりや』(ポプラ社)、『これからの誕生日』『むすびや』(双葉社)、『夜明けのカノープス』(実業之日本社)がある。

「2019年 『青と白と』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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