プロパガンダゲーム (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575520439

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  • 【プロパガンダ】特定の思想・世論・意識・行動へ誘導する意図を持った行為の事である。


    就職の最終選考という名目で行われるプロパガンダゲーム。
    設定が実に興味深く、情報操作は容易い事なんだと思い知らされた。

    都合のいい情報だけを信じて選択するよう気がつかない内に誘導され、物事の大半は多数決で決まるという大前提があり、倫理的にどうだとか、価値観がどうだとか、そんな事は大局では関係なく、正しさだけが選ばれるわけではないという事。
    誰かと一緒なら安心、多くの人が選んでいるなら自分も...という刷り込み。
    自らが選択しているようで、実はそうではない。

    戦争は私達の身近にはない。
    戦う事を放棄した今の日本に軍隊はいない。
    自衛権が存在するのみ。
    それが世界から見たら甘いのかもしれない。
    それでも私は正しい在り方だと思っている。
    領土拡大の為、正義の為、報復の為に武力を行使する事が明るい未来に繋がるとはどうしても思えない。
    尊い生命は何よりも重い。
    勝手に奪っていいものなんて何処にもない。
    そんな理想論しか私には言えない。
    それでも...大切な人が傷つけられたら銃を手に持ってしまうかもしれない。
    矛盾だらけの自戒を感じさせられた一冊になった。

  • 先が気になってどんどん読み進めてしまった!
    戦争させる側がどうみたって不利だろ、日本は平和主義だし……と思ってたけど、平和の定義を変えて扇動の方法を適切に選べば、大衆の意見なんて変わりやすいんだなーと気付かされた。
    広告とか宣伝の勉強がしたくなる
    最後までハラハラする展開だったな
    そうじゃない、本当の敵は。。みたいな終わり方も結構好きだから全体的に良かった

  • 就活最終選考は仮想国家の国民を戦争に導けるかどうかを争うゲーム。政府チームとレジスタンスチームに分かれて、広報や市民の中に紛れ込む活動、内部スパイによる裏切りなどの情報戦を繰り広げる。このゲームの勝敗はいかに。まだこの最終選考の真の目的はなにか。
    なにが正しいのかを問いながら、二転三転する状況にハラハラドキドキしつつ一気読み。
    273冊目読了。

  • ゲームの設定がよく考えられているなーと思って面白かった。結局広告会社がこの選考方法にした意図は明らかにされず消化不良感。最後にもう一波乱あるのかと期待してしまった。続編を読みたい。

  • 『誰かを叩くという発想では、結局何も良くなりはしないということだった。本当に物事を良くしようと思ったら、誰かに都合の悪いことを言うだけじゃなく、誰かの役に立つ必要がある。』


    「君たちには、この戦争を正しいと思わせてほしい。そのための手段は問わない」
    大手広告代理店「電央堂」の就職試験を勝ちあがった大学生8名。彼らに課された最終選考の課題は、宣伝によって仮想国家の国民を戦争に導けるかどうかを競うゲームだった。
    戦争をしたい政府側、それを阻止するレジスタンス側に別れ様々な作戦で一般モニターから多くの票を取った方が勝ちとなる。

    政府側、レジスタンス側で交互に話が進んでいくのでテンポもよく一気に読んでしまった。
    最後にはどんでん返しやミステリー要素もあり面白かった。

    実際にある企業を思わせる名前が作中に登場するので、現実にも私たちが知らないだけで情報操作が行われ誘導されているのかと思ってしまうほどリアリティがある。
    広告、大衆心理、情報の取り扱い方など考えさせられる内容だった。

    中でも印象に残ったのは“ハンロンの剃刀”という言葉。「無能で十分説明されることに,悪意を見出してはいけない。」という意味なのだが、どう物語に関わってくるのか気になる方は是非一読を。

    映画化希望作品なのだが、あまりのリアリティさにきっと広告会社はYESと言わないだろう。
    脳内でキャストを想像しながら読み返すこととする。

    若い作者なのでこれからの活躍に注目したい。
    幅広い年齢の方に読んで欲しい一冊。


    こんなひとにおすすめ .ᐟ.ᐟ
    ・どんでん返しが好きなひと
    ・ミステリーが好きなひと
    ・就活ものが好きなひと
    ・広告業界に興味があるひと
    ・朝井リョウが好きなひと

  • 【大衆を意図した戦略で、特定の思想へと誘導せよ】

    就活生を集めた思考実験が幕を開ける物語。

    喧伝と戦争は本質的に似通っている。
    如何に自分達が正義だと認識させるか?
    官邸で行われる広告代理店の就職試験に勝利した大学生を集めた、仮想国家を戦争に導くゲーム。
    醜聞とデマによる情報操作。
    嘘とスパイによる本質の歪曲。
    このゲームの本質が垣間見える時、ある種の異変に気付く。
    そして、それは波風の様に心に波紋を齎す。
    最終投票による暴かれた真実は残酷で、市井の人々は傍観者と化す。

    物事には表裏があり、固執した思想だと本質を見失うのだ。

  • 面白かったです
    大手広告代理店で、就活の最終選考の場でのヒリつくような展開
    戦争に賛成か反対か
    票をあつめろ! 宣伝しないと!
    ゲームだとしても、考えさせられました

  • 広告会社の採用最終試験で、戦争賛成派と反対派に分かれて、
    バーチャルな政界の世論を動かせた方が勝ち、というゲームを小説にしたもの。
    設定がユニークなので、年末に読んでみました。

    もう少し人の心理を動かすテクニックをふんだんに使ってくれていたら面白かったのにとは思いますが、
    娯楽としてはそれなりに楽しめます。
    小説で読むより、ドラマなどの映像で読んだ方がマッチしそうな雰囲気です。

    ただ、戦争を扱ったテーマは読んでいて気持ちのいいものではあまりなかったです。
    まぁ、作者もその辺のことは分かった上で、このテーマを扱っているんだとは思いますが。
    この手のテーマが好きな人はどうぞって感じの本。

  • おもしろかった!

    「君たちには、この戦争を正しいと思わせてほしい。そのための手段は問わない」

    大手広告代理店・電央堂の就職試験を勝ちあがった大学生8名。
    彼らに課された最終選考の課題は、宣伝によって仮想国家の国民を戦争に導けるかどうかを争うゲームだった!

    ちょっとコワイけど。
    それに、デキ過ぎ感もあるけどーw

    学生たちが、みんなそれぞれに、いいコ達で良かった♪

  • とても面白い本だったので、あっという間に読み終わりました。
    学生の最終選考での宣伝ゲームのやり取り、心の動きの描写が時間も迫る緊張感も伝わり、ドキドキ、ワクワクしました。
    この宣伝ゲームで終わりだろうと思いきや、まだ続く話が面白かったです。

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著者プロフィール

福島県いわき市出身。1990年生まれ。東北大学文学部卒業。東日本大震災をきっかけに、学生時代からのNPO活動と並行して小説を書き始める。2016年、Kindleダイレクト・パブリッシングで個人出版した『プロパガンダゲーム』が大きな話題を呼び、2017年双葉社より書籍化。その他の著書に『ウィザードグラス』『宇宙船の落ちた町』など。

「2020年 『人財島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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