この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)

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著者 : こうの史代
  • 双葉社 (2008年1月12日発売)
  • Amazon.co.jp ・マンガ (142ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575941463

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こうの 史代
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この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)の感想・レビュー・書評

  • 戦争中のお話でありながら、淡々と描かれている日常は優しさと笑いに満ちていた。そこに、ひとつふたつと落とされていく黒い影。みんな何かを失い、何かを探しながら、人待ち顔で過ごしている。

    それでも笑う。立ち上がる。
    弱くて強い人間の姿は、今も昔も変わらないのだなぁなどとぼんやり思う。

    原発事故の直後に福島から両親が避難してきて、家族全員がそろい深刻な状況だったのに、何かくだらないことで皆で大笑いしたときがあった。その瞬間に、根拠もなく大丈夫、頑張れると思えて、あんなに落ち込んでいたのに人間て強いなと感じたのを思い出す。笑わなきゃやってられない、そんなときだってある。そして笑いの、笑顔の力はすごいのだ。作者のこうのさんは、それをよく知っているのだなぁと思う。

    胸がしめつけられる、戦争を知らない世代には信じ難い時代。
    けれど、今だってこれからだって、何が起きてもおかしくない。
    大好きな人たちと笑い合える時間は宝物。
    ケンカは持ち越さないほうがいい。
    ここ2年、毎日自分に言い聞かせるようになった。

    この世界の片隅の私たち。世界のきれはし。どこにでも宿る愛。
    「誰でもなにかが足らんぐらいで、この世界に居場所はそうそう無うなりゃせんよ」
    印象的なフレーズが、頭の中をぐるぐる回る。
    後半は泣いてばかりで、きちんと消化するには時間がかかりそう。

    絵を描くのが好きでちょっとぼんやりしたすずちゃんとは、何だかもう知り合いのような気持ち。呉に遊びにいったら出くわしそうな。それくらい、すべてが生き生きと描かれていた。

  • 絵を描くのが大好きでおっとりした少女すずが、やがて結婚し様々な葛藤を抱えながら成長していく様子を丁寧に描いている。それ故に、日常の生活が徐々に戦争に浸蝕され、悲劇を乗り越えて再生していく様子が却って胸に沁みた。地元呉が舞台でもあり愛着が深い作品である。

    劇場版アニメも公開翌日に早速鑑賞したが、正直期待外れであった。その原因は、『ユリイカ』平成28年11月号「特集*こうの史代」で再確認することができる。

    「対談 片隅より愛をこめて」において、こうのは次のように発言している。

    「映画としてまとめるうえでいろいろカットしなきゃいけなかったという話は聞いていたので、てっきり(略)こまかいオチを切ってひとつながりの物語にするのかと思ったら、そういうことはちゃんと残っているんですよ。(略)物語上は別になくてもいいのにすごく丁寧に描いていて…むしろもっと重要そうな部分がバッサリなくなっていたのでびっくりしました(笑)」

    例えば、すずの夫周作とリンとの関係がごっそり除かれたため、自ら求婚してすずと結婚しておきながら周作が祝言の席で強張っている謎のシーンだけが残ることになった。原作を読んでいない観客にとっては不可解であったことだろう。

    この点について、監督の片淵須直はインタビューで次のように答えている。

    「すごく単純に、大事なところをあえて切ろうと思ったんですよ。そうしたら、『そこをつくらないと話しにならないよ』って文句を言うひとが出てきて、また続篇をつくれるかもしれない(笑)」

    この後監督独自の解釈を展開しているが、いつも思うのは、尺の問題はあるにせよどうしてこういう人たちは自分の勝手な解釈で原作を歪めてしまうのだろうかということである。確かに、映像は素晴らしかった。しかし、物語としては極めてストレスフルだったと言わざるを得ず、続篇が必要となる「不完全な」作品を見せられた観客に対して監督としてどう責任をとるのか。笑っている場合ではないだろう。

    もちろんアニメを見るのもよいが、その前に、またはその後にぜひこの原作をご一読頂きたい。

  • 人からもいい映画だと勧められていたし、妻も見たがっていたので久々に妻といっしょに映画を見た。暗い戦争中の時代を描いたもので、広島から呉の周三の元に嫁いでくる主人公のすずの不幸や辛い身内の死もあるが、すず(主人公)の天然さにまわりの明るさ、愛が加わって戦争中とは言えほのぼのした気持ちを見る者に抱かせる。号泣はしないが、ほろっとさせられるところもある。ただ、映画を見ていてちょととわかりにくところがあった。すずが迷い子になったとき助けてくれた遊郭の女りんがその後どうなったか、りんと夫の周三との間にはなにがあったのか、すずの幼なじみの哲が軍の休みといってお風呂を兼ねて一泊しに来たとき、周三はなぜ哲が寝ている離れの部屋にすずを行かせたのか。あれは単に幼なじみ通しに夜通し語らせるつもりだったのか。すずの妊娠騒ぎがあったが、あれはどうなったのか等々。それで漫画の方を読んで見た。そうすると上の疑問がほぼ氷解したのである。要するに漫画は大人版、映画は万人を相手にした拡大版なのである。映画の一コマ一コマの細かな描写は漫画以上だが、物語を深く味わうにはやはり漫画の方を読んでみなくてはいけない。

  • 上巻・中巻・下巻を読みました。

    軍港都市である広島県呉市に嫁いだ若い娘 すずの生活。

    時代は戦中。
    あの広島の原爆投下が描かれています。

    家族が寄り添い、避けようもできない境遇を、乗り越えようとするたくましさ。

    そのなかで、すずさんはいいキャラしてます。

  • これはもう、しみじみと、ツライ。
    出てくる人たちみんな明るくて、必死に生きていて、
    でもその生き様が後世の私達から見ると、
    いかに薄氷を踏んでいたかよくわかるのでツライのです。
    (余談だけど、今の私達を未来の子孫たち-未来があるとすれば-が
    見るとまったく同じように感じるのかもしれない、とふと思いました)

    昭和ひとケタの子ども時代からはじまって、
    戦争色が過熱する19年20年へとつづいていく中で、
    主人公すずの小さなサークル(家族)がすこしずつ歪んでいく。

    そして私達(読者)はあの夏がやってくることを否応なく知っている。
    日本があの8月6日の朝に突き進むことを。
    (すず自身はその日より前に死ぬほどつらい事件が待っていますが)
    でも、当然ながら、当時を生きているキャラクター達は知らない。
    戦時中とはいえ、毎日はつづいていくものだと思っている。
    ひょっとしたら明日がないとは思ってるかもしれないけど、
    まさかぐにゃりと曲がった奇形の毎日がつづくとは、たぶん知らない。

    実際、毎日は、原爆が落ちた後も、昭和天皇が降伏宣言をした後も、
    粛々と、時に悲しく、だいたいが可笑しく、つづいていくのです。
    (終戦後に襲った台風のエピソードが秀逸でした。
    震災後の東北を襲う台風を思い出した)
    人間のちっぽけさ、そのちっぽけさの重みを噛みしめる大切さを、
    淡々と教えてくれるマンガです。

    とはいえ堅苦しくなく、すずのキャラクターもあって
    ほのぼの笑いながら読めます。
    だからこそ、つらさと悲しみが際立つのかもしれません。

  • 映画、文庫、漫画・・・

  • 映画がとても印象的だったので漫画にも手を伸ばしました。
    全3巻の上巻。感想は下巻に。

  • 右寄りでも左寄りでもない、市井の普通の主婦の戦争体験マンガですが、これまで読んだどんな戦争マンガよりも心に残りました。大傑作だと思います。

  • 上・中・下の3巻あります。
    これは私的にはイチオシの作品です

    戦争モノっておっかないものも多くて苦手気味なんですが、この本は心配無用です

    戦争時代を生き抜いた女性の物語。
    すこしおっとりとしておっちょこちょいめの女の子が毎日を一生懸命生きている日常の物語です。

    日常の中に戦争があり、当時の生活などをうかがい知ることができます。モノのなかった時代に、いかに工夫して生活していたかなど、興味深く読ませていただきました。

    私はこの作家の画のタッチや雰囲気がとても好きです。
    どことなくはかなそうでいてたくましい、不思議な空気が流れています。

    戦争について、違った角度から考えることが出来たような気がします。

    上巻は確か子供時代から結婚するくらいまでだったと思います。

    見も知らぬところへお嫁にいく。
    相手の顔など見たこともなく、親同士が決めた結婚に従う、そんな時代というのもすごいなあ~と思いました。

    いや、それでかいがいしく夫に仕えるんだからまたすごい。

    そんな時代の物語です。

    うまく表現できないのが残念ですが、心に響きます。

    (東京都在住 40代 女性)

  • 広島で生まれ、望まれて呉に嫁いだすずの日常を描く。時は太平洋戦争のさなか。空襲にさらされ、物資は不足。それでもすずの心は、戦争一色に塗り込められてはいない。絵を描く喜び。夫の昔の恋を知ってしまった痛み。思いを寄せた同級生との再会…。だが、そんな日々が一変する時がやってくる。
    主人公のすずがとても魅力的。おだやかで暖かく、胸に沁みるような物語である。余白がとても豊かで、読み返すたびに新しい発見がある。読み返すたびに心動かされる。
    さて、本書の見どころのひとつが、戦時下の暮らしが丁寧に描かれていること。だが戦争そのものについての人々の思いは、賛美にしろ批判にしろ、ほとんど出てこない。考えてみれば、たいていの庶民にとって戦争とは、ただ順応するしかない、否応なしに与えられた環境だったのだろう。しかしこれほどの状況下で文句のひとつも出てこないこと自体、とても恐ろしいことだと思う。
    本書は反戦を叫んではいない。戦争による極限の悲劇を描いてもいないし、平和の尊さを説いてもいない。ただ、どんなときも前向きに、まっとうに生きている人々を描いているだけだ。そして読み手は、彼らを愛おしく思わずにいられない。普通に生きられる日々の大切さを、感じずにはいられない。
    物語は終戦で幕を閉じる。この愛おしい人たちがその後も幸せに、まっすぐに生きていったであろうことを、心から願う。

  • 言わずと知れた大ヒットアニメ映画の原作である。絵とストーリーの魅力はもちろんのこと、随所にハシラ(コマの枠外)で、戦中の暮らしについての注釈がついているのも興味深い。

  • 映画を観て、映画で語られなかった物語があるということで、読んでみることにしました。上巻ではそういった部分はあまりありませんでしたが、ほのぼのとしたストーリーがとても読んでいて楽しめました!

  • 主人公の子供時代から結婚まで。

    感想はまとめて下巻で。

  • 時代背景は違うけれど、素朴な生活の幸せや美しさ。
    漫画だからスラスラ読めるけど、ちゃんと一字一句読んだ方がいいみたい。

    僕はすっかり小汚いおっさんになってしまったから
    こうは生きれないかも

  • 波を白兎にたとえるように
    想像力豊かで 穏やかな少女だったんですね
    大潮の話も 田舎の素朴な
    夏の思い出で それが逆に
    とても美しく思えます

  • ちばてつやの漫画に出てきそうな女のキャラクターが、私は男にとって都合のいい女じやないということを言っている皮肉っぽい漫画。

  • あくまでも上巻のみを読んだ感想。非現実的で空想的でフワフワしていて、あまり面白くない。マンガなのもあって、さらっと読める内容なので、とりあえず最後まで読むつもり。

  • 全体的にタッチが柔らかく、好きな画風だ。主人公・すずののんびり、おっとりした性格にも合っている。話は太平洋戦争前の幼少期の、少し不思議なすずの体験から始まる。戦争が始まり、年頃のすずの嫁ぎ先の、まさに小姑の径子の嫌味にも柳に風なのが救われる。戦争後半の昭和18〜19年に物資は次第に不足。本土空襲も始まる中を健気に明るく生きるすずを応援せずにはいられない。

  • 舞台は戦時中の広島県呉市。広島市で海苔の養殖を営む家でのんびりと育った主人公のすず。年頃になってきたすずは呉にお嫁に行くことになります。新しい生活に戸惑いを感じながらも暮らしを続けるすず。彼女はとても魅力的です。お嫁さんにやってきて旦那さん家族と同居。やきもちを焼いたり、絵をかいたり、裁縫をしたり、その時代にはどこにでもいる普通の女性、そう人間なんです…。舞台を聞くだけですべての日本人はどういう結末に向かっていくのかを知っている。実際に状況は悪くなり生活も変わっていきます。だけどあくまで主人公の『日常』を淡々と描いています。小説であれ、映画であれ、コミックであれ、登場するのはヒーローばかり、でも本当は一人、一人にドラマがあって一生懸命いきている、この世界の片隅に…。そんなことを気づかせてくれる作品。おすすめです。

  • こども時代の出会いから、あっと言う間に嫁ぐ日に。

    書き込みの少ない、モノクロの絵柄なので、登場人物がだれかをよく把握しないままに大人になっていきます。

    日常があり、その日常とは戦争中である、ということ。

    説明されてわかったような気持になっても、今を生きる私には、本当の意味でわかるはずはありません。

    どんな時代にも、日常を生きるひとがいて、
    時代がどうであっても、その瞬間を苦しく生きるひとも楽しく生きるひともいることを、読みながら深く感じます。

  • 映画が話題だったので気になっていたのですが、その原作本を読む事ができました。
    本当に面白く、切なく、楽しく、ツラく、心に沁みる話で名作だと思います。

    登場人物たちが意外と狭く、複雑に関係しあう伏線がそこここにあり、読み返してもハッとさせられます。

    戦時中、苦しい時代・世界・現実をほんわかとした画と主人公でほのぼのと読ませるところがすごい、と思いながら読んでいたのですが、そのほんわかの中で戦時中の歪んだ世界観を描き切り、逆に読んでいる我々にここまで苦しさを伝えることができる作者の力量に脱帽です。

  • 映画から入って原作を読みました。
    先にこの物語がどう進んで行くのかを知っているだけに、上巻の平凡で淡々とした暮らしがとても愛おしく胸が苦しくなった。
    表紙を開いて最初にある『この世界のあちこちのわたしへ』という一行の言葉は、今この世界を生きているわたしへと続いている言葉のように感じられた。

  • 上中下の3巻完結の漫画です。
    基本的に漫画はレビューに掲載していなかったのですが、この作品は特別に。2009年に読んでいましたが、改めてブクログのレビューに掲載します。

    映画が2016年に公開され、第40回 日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞受賞を受賞しました。

    リアリティに溢れており、漫画も映画も是非見ることをお勧めします。


    以下、別のサイトで掲載していた私のレビューを再掲。

    戦時中の広島~呉を舞台に、一人の女性とその家族の生活を描いた作品です。

    各話の題名が「●年◆月」となっており、終戦へとカウントダウンに向けてドキドキしながら読んで行きました。

    ほのぼのとした絵柄で些細な日常を描きながらも、次第に貧しくなっていく生活、厳しさの増す戦況、空襲や原爆、生と死について綴られているのが、とても印象に残りました。

    「何が人の幸せなのか」を考える一つの良いきっかけになるかと思います。

  • 帯文:”日本中で大反響!!” ”生きるっていうだけで涙があふれてくる作品です(主演声優のん)” ”感動が日本全国へ拡がっています”

    目次:冬の記憶(9年1月)、大潮の頃(10年8月)、波のうさぎ(13年2月)、第1回 18年12月、第2回 19年2月、第3回 19年2月、第4回 19年2月、第5回 19年3月、第6回 19年3月…他

  • この世界の片隅には映画ですっかりすごいことになってしまったけど、漫画版が元からとても好きで、こまこました日常を少しずつ追っていくのがすごく楽しくて、なので映画は確かに映画でよかったのだがやっぱり限られた時間の中でまとまりかいいように山なりなんなり作ってエピソードも取捨選択しないといけないので、ちょっとどうしてもうーんこれは泣かせにきてるぞとか陳腐になってしまう部分が出てきたりして難しいなあと思う、ていうか映画版で「見てて結婚したくなる映画をめざしました」的なコメントを聞いたときにはあ…?と思ったのはこうの史代作品は男の人と恋愛してメロメロになってることを絶対礼賛してなくてどこかで醒めた目で見つめてる時があると思ったからなんだけど、なのでりんさんの下りをあんな削り方したのは本当に何だったんだろうとわりともやっとした。良かったんだけど………
    映画のことばっか書いてしまった。
    やっぱり漫画がすきなので漫画読んでみてほしいです

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