この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)

著者 :
  • 双葉社
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感想 : 219
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (148ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575942231

感想・レビュー・書評

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  • 戦時中のストーリーでしたが、ある家族の出来事。

    画風もほのぼのチックで、時代の流れを想像しつつ読む感じ。

    すずのぼんやり(おおらか)さと、時代の辛さ哀しさ、どこにでも宿る愛、居場所、記憶の器として生きていくこと。
    いろんな想いが描かれてます。


    ドラマの方がラストの持っていき方とか好みでしたが、原作を読んでドラマも厚みを増しました。
    ドラマ見てなかったら絶対に読んでないマンガですが、読んで良かったです。

  • いよいよ最終巻である。本篇20年4月〜20年9月、その後にタイトルの異なる5篇(20年10月〜21年1月)が収録されている。
    さすがにここまで来ると戦時色が強くなり、読み進めるのがつらくなってくる。そして20年6月22日に呉工廠を襲った爆撃により起きた悲劇で涙があふれた。
    20年8月6日に広島に投下された原子爆弾、それに続く8月15日の玉音放送で、物語は一応の結末を迎える。だが、戦争が終わったからといって平和に、幸福になるはずもなく、人々の苦しい暮らしは続いていく。すずの家族の消息も明らかになる。
    なんとなくこういう話だというのは知っていたような気がする。にしても、これをどのようにミュージカルにするのか。期待は高まる。
    BGMはアンジェラ・アキさん『この世界のあちこちに』。

  • 最後まで読んだあと表紙を見るとつらい。春美と右手を失って、径子に責められて、やっと持ち直したと思ったら、戦争が終わって、価値観が反転して、一般市民は気持ちの持って行き場に困る。翻弄されるても、普通の人たちなりの幸せで、生活は続くのです。ラストがカラーページになってほんと良かった。

  • 評判になっていた映画を先に観ました。
    その後,小説版を読んで,最後にようやく原作漫画を読みました。

    小説版を読んで,映画では重要ポイントが省略されていたことを初めて知ったのですが,原作漫画を読んでも,やはり映画版がその点を省略したのはもったいなかったと思いました。

    ただ,映画を先に観たからこそ,原作漫画のフレーズが心に残った側面があり,小説版を読んでよく理解できたこともあったので,私は全部読んでよかったです。

  • 泣いた。
    今を生きる自分には、想像の世界。
    人が生きるという事の逞しさ。
    戦争が日常である非現実さと違和感。
    なぜ戦争は起こるんだろ?
    国の力を全部使って、国民が疲れ切ってヘトヘトになってしまうまで終わらない。

    漫画のコマとコマ、自分が読み取る間。
    リアルでした。


  • それぞれに、あるとこないとこがあって、つないで読んでいるような・・・。

  • 一気に、「かわいそうな」「気の毒な」シーンが連続します。
    泣けるといえば、涙がでて当然です。

    それでも、過剰に演出されていない画で描かれているせいか、余計な演出音がない、静けさの中で作品が進んでいくように感じられます。

    ハッピーエンドと言えるかどうかは、わかりません。

    けれど、読み終わったら、自分も、しっかり、生きよう、一度の人生なのだから、と静かに強く思えるはずです。

    力強い作品です。

  • 戦争が始まった巻
    色々な人が怪我をしたり死んじゃったりするこの一冊、広島原爆のシーンや呉の大空襲のシーンも登場する。
    今まではあんまり目立ってなかったけど、空襲とかが始まりだして、登場人物たちにがっつり戦争の色が塗り込められている。すずさんもだんだん狂いだしてくし。
    広島で原爆を受けた人も勿論辛かったろうけど、それを定かな情報もわからず遠くで見守っている人たちも辛かったろうな。。
    終戦のときに、すずさんがラジオ前で叫んでいたのも印象的だった。

  • すずさんにとって、失ったものの方がはるかに多いが、失わないものもあった。
    それは、あたたかですこやかで安心できる場所。家族が帰る場所であり、家族の帰りを待つ場所である。

    戦争が「日常」になるということ。
    世界のどこかで戦争が起こっていることが「日常」になっていることに、私たちはもっと危機感を持つべきなのかもしれない。

  • 映画は見ておらず映画との比較は出来ない・・・のに、すずさんの声は「CV:能年玲奈」で聞こえてくるから不思議。

    戦時中だって常に日常はあって、その日常の中に前線は忍び込んでくるけれど、そして何ということもなく命も奪われていくけれど、それでもなお日常があって、悲しみも含めて淡々と時は過ぎていく。
    流されるままに生きるすずさんを通して記述されるので余計にそう見えるが、末端の市民にとっての戦争とはこのようなものだったのだろう。

    生前、戦時中はどうだったかと祖母に聞いても、まあ、大変だったよ、というくらいしか返ってこなかったが、こういう日々だったのかな、と。
    井の頭公園に松脂取りに駆り出された際、「こんなことして勝てるのかしらねぇ」と言って大問題になった、とか面白おかしく語ったりしてましたが、それも特殊なエピソードというわけでもなかったのかもしれない。
    死がすぐ隣にあるだけで、市民にとってはそれもまた日常、と。

    徹底して他人事のように描くことでかえって戦争の異質さが浮かび上がるしかけは、玉音放送の一瞬と戦後に太極旗を見たときのすずさんの反応とのコントラストとあわせ、心に残った。

著者プロフィール

こうの史代:1995年デビュー。広島市生まれ。代表作は「さんさん録」や、文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞作「夕凪の街 桜の国」、アニメーション映画のヒットも記憶に新しい「この世界の片隅に」など。

「2022年 『ぴっぴら帳【新装版】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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