獣たちの墓―マット・スカダー・シリーズ (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

  • 二見書房
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (518ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784576007038

感想・レビュー・書評

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  • 愛の始末のつけ方が、本当に素晴らしいと感じた。
    センチメンタルな事象をハードボイルドに入れて、でも存在していた。

  • 映画公開に備えて読了。
    事件の内容は凄惨だが、前半は地道な捜査活動が続いてむしろ淡々とした展開。後半、誘拐犯とリアルタイムでの駆け引きが始まると一気にサスペンス度が上がる。ここで前半に積み上げた捜査内容が活きてくるのがいい。電話の逆探知やハッキングなど、技術的に古くなってしまった部分もあるが、それがストーリーそのものの面白さに支障を来たすことは無い。
    映画は原作から大幅に改変されており、ラストの展開もかなり違うが、個人的には原作のオチの方が乾いた余韻を漂わせていて好き。リーアム・ニーソンのスカダー役は原作よりやや年齢が上だが、ちょっと枯れた色気も漂わせていて、とても良い。

  • 都市の暗流に蠢く敗残者たちの罪と罰を描き続けるスカダーシリーズ。
    猟奇的な殺人を繰り返す誘拐犯を追い詰めていく捜査過程こそが本書の読みどころだろう。決着は相変わらず暴力的だが、全体を貫くトーンは明るい。

  • マットスカダー第十作。
    原題"A Walk Among the Tombstones"

    倒錯三部作の最終巻。
    クーリー兄弟が結構いい味出してた。

    禁酒を守り続けるスカダーと、
    事件をきっかけにまた酒を始めてしまったピーター。
    アルコールを通した二人の対比が興味深い。

  • このシリーズの最高傑作。
    もはやハードボイルドではなく犯罪小説だとしても、
    描写がかなりグロテスクだとしても。

    今までの作品で、殺人の動機にしっくりこないことがあったが、
    倒錯三部作と呼ばれている、「墓場への切符」「倒錯の舞踏」そしてこの作品では、その違和感がなくて素晴らしい。
    動機がほとんどぶっとばされている、という解決の仕方だが。

    人の中にある善と悪でまだらにできている球が、
    転がされ、または動かず、
    ある時は光を放ち、ある時は闇を放ち、まぶしいばかりだ。
    ああ、それが魂というものなのかもしれない。

    とはいえ、ここまで積み重ねてきた物語があって傑作だと思っているので、いきなりこの本を単独で読んだらどうかはよくわからない。

    私には、TJが大活躍しているのも楽しいし、エレインが、いつのまにか巻き込まれているのも楽しい。

    エレインとスカダーの関係も進展してよかった。

  •  NYを舞台にしたマット・スカダーシリーズ。人妻が誘拐され、バラバラ死体になって発見されるっていう結構えぐい内容だった。何よりも恐いのは、人間だ。そしてそういう人間が普通の顔をして存在している。そんな深淵を覗くような感じが、このシリーズはよく描かれていて深い。
     でも、エグかった…。

  • アル中探偵マット・スカダーシリーズです。これは、キツかったです。「墓場への切符」も結構ドロドロで、残酷さが痛かったのですが、これは、さらに上を行きます。でも、必死に生きている人間の強さが伺えるので、そこが救い。アル中の怖さもそこかしこに出ていて、深刻な問題なんだなと改めて思います。ズンと、心の奥に残る本でした。精神的に元気な時に読むことをお勧めします。

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著者プロフィール

ローレンス・ブロック Lawrence Block
1938年、ニューヨーク州生まれ。20代初めの頃から小説を発表し、100冊を超える書籍を出版している。
『過去からの弔鐘』より始まったマット・スカダー・シリーズでは、第9作『倒錯の舞踏』がMWA(アメリカ探偵作家クラブ)最優秀長篇賞、
第11作『死者との誓い』がPWA(アメリカ私立探偵作家クラブ)最優秀長篇賞を受賞した(邦訳はいずれも二見文庫)。
1994年には、MWAグランド・マスター賞を授与され、名実ともにミステリ界の巨匠としていまも精力的に活動している。

「2020年 『石を放つとき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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