パオロ・マッツァリーノの日本史漫談

  • 二見書房
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感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784576111308

感想・レビュー・書評

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  • 新刊棚で見つけて、表紙のイラストに惹かれ、読んでみることに。

    2011/10/27 予約 10/28 借りる。 11/18 読みはじめたら、面白い。
    2012/3/3 面白いけど、結局途中までで中止。

    内容 :
    「大きな歴史」だけが歴史じゃない。土下座ブーム、東京の牛、先生という敬称、開襟シャツ、やせ薬の広告、ストリーキング…。
    埋もれている「小さな歴史」を平成の戯作者が照らし出す。

    著者 :
    著書に「つっこみ力」「日本列島プチ改造論」「13歳からの反社会学」など。

  • 歴史
    思索

  •  ベストセラー『反社会学講座』で知られる、インチキ・イタリア人「戯作者」の新著。

     『反社会学講座』が現代日本社会を批評対象にしていたのに対し、本書はタイトルどおり、日本の歴史に目を向けている。といっても、明治~昭和あたりまでのウエートが高く、近世以前の話はあまり出てこない(著者が調査・分析の主なソースとしているのが新聞データベースであるためだろう)のだが……。

     この著者のことだから、普通の歴史エッセイであるはずもない。
     帯の惹句には、次のような一節がある。

    《ググってもわからない日本の歴史! 「大きな歴史」だけが歴史じゃない。埋もれている「小さな歴史」を平成の戯作者が照らし出す!》

     読んでいて思い出したのは、テレビの『トリビアの泉』。どうでもいいことを手間暇かけてじっくり調べるという、「真面目に遊ぶ」姿勢が共通なのだ。

     たとえば、本書の第五章「先生と呼ばないで」は、「先生」という敬称の使われ方の変遷を、江戸時代まで遡って調べている。
     マンガ誌の欄外などに記される「○○先生にはげましのおたよりを出そう!」というフレーズがいつから登場したのかとか、「先生といわれるほどの馬鹿でなし」という有名な川柳がいつ生まれたのか、などというどうでもいい謎が真剣に追究されていく。

     ほかにも、日本人はいつから謝罪のための土下座を始めたのかを調べたり(この章は『どげせん』ファン必読)、子どもの名前の流行の変遷を明治時代まで遡って調べたり……。

     それだけで終われば、『トリビアの泉』と同レベルのつかの間の娯楽でしかない。しかし、本書は一見どうでもいいことばかり追究しているように見えて、笑いの底に真剣な日本文化論が秘められている。あなどれぬ深みをもった一書である。
     この人の本はわりと出来不出来の振幅が激しいのだが、本書は上出来。正・続『反社会学講座』に次ぐ面白さだった。

  • 反社会学講座の著者が日本の歴史を紐解く、そして切る。

    今回も色々な発見がありました。

    四章:今も昔もキラキラネームだらけ
    五章:先生という呼称について
    七章:低温殺菌乳の方がおいしい!(実際飲んでみたら、たしかに普段の牛乳より美味しかった!!)
    九章:新聞広告の在り方の変容は面白い!

  • 牛車の話,昔のDQNネーム,謝罪会見の文化など日本の昔の話についてかなりの労力をかけて調べた内容を面白おかしく根堀葉掘り掘り起こして紹介したり意見を書いている。そのあたりの努力は評価できるが,あんまり有用だと思えなかった。こういうのが好きな人はいるだろうけど,自分には時間の無駄だった。

  • おちゃらけ社会学者のパオさんが大正時代からの新聞記事や文献を縦横無尽に用いて常識の正体に迫ったもの。

    表面上は、クールビズは最近の流行でもなく戦後十年程度は開襟シャツが流行っていた、日本人は平安の昔から子供にドキュンネームを付けていた、など軽薄な雑学知識集に見えますがあにはからんや!

    おちゃらけ担当の筆名で書いているのでいかにも軽快な語り口ですが、国会図書館に通って少年マガジンの創刊号から欄外の記載を調べるなど、文献調査への姿勢は学者のもの。知識人の魂を感じます。


    自己をも突き放す冷徹な視点は、知識人をマージナルなものであると定義づけたサイードの知識人像に通ずるところです。


    ○結局われわれ人間は、他人のウソが暴かれると喜んで、自分のウソが暴かれると怒るんです。真実の追求なんてタテマエにすぎません。知能の高い低い、教養のあるなしに関係なく、人は自分の信じたいことだけを信じるいきものなんです。

    ○よく、メディアリテラシーを身につけることが大切だ、といわれます。そんなの全然難しくないんですよ。要は、マスコミもネットの意見も学者も専門家もあなたも私も全員バカである、って前提で、本や新聞やネットを読むだけでいいんです。

    ○しかし、みなさん聞いてください。もしも私が、日本の地方議会の議員になったら、きびしい赤字財政の中、わたくしと家族を高額の議員報酬でセレブにしていただいたうえに、公費で海外視察旅行まで行かせていただけるのも、ひとえに、市民の先生がたのおかげでございます、と礼を尽くします。
    自分を先生と呼ばないで、からさらに一歩進んで、逆に有権者のみなさんを「先生」と呼ぶ、史上初の議員になることをお約束いたします。

  • ひきつづき、パオロ・ッマッツァリーノ。とても面白かった。昔の新聞記事をいろいろ見比べるというてい。子どもの名前の付け方は人とかぶらないようにだった、とか、開襟シャツがすたれていったのとか、土下座とか面白かった。一番は昔は新聞の一面全部が広告だった時代があったってとこ。やせ薬が昔からあるとか興味深い話ばかりだった。笑えた。牛乳が臭いってのは私には分からんが・・・。

  • 全裸や土下座ブームなど、どうでもいい庶民史を掘り下げる。皮肉が効いていてちょこちょこ笑える。

  • この人の本4冊目。もうお気に入り。

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著者プロフィール

パオロ・マッツァリーノ(Paolo Mazzarino):日本文化史研究家。著書に『反社会学講座』『続・反社会学講座』『誰も調べなかった日本文化史』(以上、ちくま文庫)、『読むワイドショー』(ちくま新書)、『「昔はよかった」病』(新潮新書)、『サラリーマン生態100年史』(角川新書)、『思考の憑きもの』(二見書房)などがある。

「2023年 『つっこみ力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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