遠近法の精神史: 人間の目は空間をどうとらえてきたか

著者 :
  • 平凡社
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  • Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582238044

作品紹介・あらすじ

線遠近法、マニエリスム、パノラマ、写真、キュビスム-ヨーロッパのルネサンスから現代まで、絵画に表現された空間認識の方法は、どのような世界観に基づいているかを260点にのぼる図版を使って解き明かす。

感想・レビュー・書評

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  • 空間をどう捉えているか、遠近法を題材に絵画表現の展開をたどる。特に若桑みどりさんの章が面白かった。備忘録: 遠近法には様々な遠近法があるが幾何学的なの線遠近法は15世紀初頭のフィレンツェの市民社会で生まれた。遠近法の底にあるのは世界を正しく秩序だって作られていると言う意識。その空間の意識は閉ざされたもので、動きがない静的な空間の意識だった。線遠近法が生まれたイタリアルネサンス時代は市民社会という、絶対権力者はなく力の存在を排除したブルジョアジー経済的な力が鍵を振った時代。そのお金を稼ぎ出す機会は万人に平等に与えられ、誰もが共通した価値観を持ち個人同士のハーモニーを重視する大切にする時代だった。それゆえに共通したコモンセンスとして遠近法的な価値観が共有された。こうした社会が崩れたバロック以降、遠近法的な空間意識が変わり、現実感現実合理性の再生ではなく、主観的なイリュージョンを表現するようになっていく。

  • 1990年に行われた連続講義をまとめた書籍。そのためか実に読み
    やすい本であった。先にこちらを読めばよかったか。

    彫刻家の空間を捉える目の話から始まり、線遠近法の発明とその
    解体、そしてパノラマとジオラマまでも射程に入れた内容は、
    まさに遠近法の精神史と言えるものだった。

    個人的に心に残ったのは第6章。線遠近法〜空気遠近法〜印象主義〜
    キュービズムという遠近法の歴史を「対象とされるものがしだいに
    画家の眼に引き寄せられ、ついに網膜と一致する。さらにそれすら
    も乗り越えて画家の内部に突入した」歴史とした記述にはなるほど
    と思わされた。

  • 積読

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著者プロフィール

佐藤忠良

「1998年 『おおきなかぶ ロシアの昔話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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