ゴシック建築とスコラ学 (ヴァールブルク・コレクション)

  • 平凡社
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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582238112

作品紹介・あらすじ

盛期スコラ学ののように、盛期ゴシックの大聖堂は、何よりも全体性を目指し、それゆえ、前除と綜合によって一つの完全で最終的な解決に近づいていった。それゆえわれわれは、他の時代において可能なよりもはるかに確信をもって、盛期ゴシックの平面とか盛期ゴシックの体系のことについて話すことができよう。その像においては盛期ゴシックの大聖堂は、キリスト教の神学的な道徳的な、自然的な、そして歴史的な知識の全体を具現することを求め、その際、それぞれをそれぞれの場所におき、もはやその場所を見いださないものは削除した。

感想・レビュー・書評

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  • この本のキモは、ゴシック建築における構築的な部位による構造と、同時代のスコラ学における体系的な分節化が同様の構造を有する、とする点だ。精神習慣(メンタル・ハビット)と著者が呼ぶところの同時代的な体系的思考方法により、ゴシック建築(特にフランスの初期―盛期ゴシック)が構想されたと言う見解には肯首するところが多い。

    著作における章や節を使った体系的な文節化が、スコラ学出現まで全く知られていなかった、というパノフスキーの論はもうすこし慎重に捉える必要があるかと思うが、少なくともスコラ学においてはそのような構造があった、ということは明らかだろう。

    本文は100ページ程度の分量なのだが、より内容を理解するには、少なくともゴシック建築についての初歩的な知識は必要だろう。しかし、図版や注釈を丁寧に読めば、全体の論旨は理解できると思う。

    本書の考え方を頭に入れてゴシック建築を眺めると、また違った解釈が可能になるだろう。それは、もしかしたら構築的なモダニズムの思考を身につけた現代の私たちにとっては、それほど難しい思考方法ではないのかも知れない。

    ちくま文庫版も出ているので、入手は簡単だと思います。良書。

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