ぼおるぺん古事記 (一)天の巻

著者 :
  • 平凡社
4.13
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本棚登録 : 1162
感想 : 136
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (130ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582287462

作品紹介・あらすじ

驚くほどに愛らしく、自由で、残酷で、わがままな物語――。
日本最古の神話・古事記が、ロマンあふれる絵物語になってよみがえる!
日本誕生の歴史をたどる、こうの史代最新作。

感想・レビュー・書評

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  • 町山康の「古事記」を読んで積読のこの本を手に取る。
    積読になっていたのは、なかなかスッと頭に入らなかったからなのだが、今回は面白く読めた。
    古語を取り入れて良心的に書いているのでとっつき悪いかもしれない。

  • 古事記の国造りからヤマタノオロチの征伐まで、
    全てボールペンで描かれていて、なんとも味わい深く。

    イザナギ・イザナミのくだりはやはり、
    ギリシャ神話のオルフェウスの話と似ているなぁと思いながら。

    「見てはいけないモノ」を見てしまうのは、人のサガなんでしょうか。
    それとも東西を問わずの隠喩なのか、、ふむふむ。

    • kickarmさん
      これは面白そうですね。
      これは面白そうですね。
      2013/02/13
    • ohsuiさん
      要所を押さえた描き方で、わかりやすく面白かったです~
      要所を押さえた描き方で、わかりやすく面白かったです~
      2013/02/13
  • ボールペンで描かれているという事にまず驚く。
    あのうまく回らないペン先、思いがけない出方をしてしまうインク、震えてしまう線。私の使い方が下手なのだろうけれども文房具としても個人的に大嫌いな筆記具なのだが、それを画材として使って全画面を描くとは。そしてその絵の素晴らしいこと。

    次々と生まれてくる神々は、なんともユーモラスで可愛らしく美しい。こうの氏の人を見る眼差しの深さ温かさ。(人ではなく神だけれども)
    神話は神々のお話ではあるものの、作ったのは人であるので、われわれ人間の暮らし営みが反映されている。神々は”忝くいと高きところにありてわれらを統べたまう遠き存在”なばかりではなく、喜び悲しみを感じ時には弱いところも見せるわれわれと同じ面を持つ存在として描かれる。

    その神々の”人くささ”の表現が秀逸。
    黄泉の国でのイザナミの姿はまるで”午後の自堕落な主婦”のようだし、オオゲツヒメは”割烹着の頼もしいおっかさん”のよう。天界を追放されたスサノオと追放したアマテラスの関係は”大人になった姉弟の間にある気まずい感情”を感じさせ、黄泉比良坂でのイザナミイザナギ夫婦の別れの場面は悲しく切なく、「でもどうしようもない」というあの感情を思い出させる。

    『この世界の片隅で』や『さんさん録』などで人の思いを台詞によらず描き出す術をどんどんパワーアップしていったこうの氏の力が、”神々のお話”という新しい世界で存分に発揮されている。人間のお話のようにドロドロとした生々しさはなく、けれども心に届く感情はきりりと冴えていてまっすぐに入ってくる。『古事記』をこんな風に描けるのは今のわれわれの世界にはこうの氏しかいない。この企画が生まれたこと自体がまことに素晴しい。

    この『ぽおるぺん古事記』は、手を洗えば神が生まれ、着ていた服を投げ捨てれば神が生まれ、と神々がぽんぽんと生れてきてこの世界に満ちている、八百万の神々に私達は取り巻かれていると感じられる神話。こうの氏の描く可愛らしい神々がいつでもそばにおわすという気持ちになり、暖かく安心した忝い心持で嬉しく生きていく事が出来る。漫画で、しかもボールペンで!こんな技をなすとは、こうの氏も”神”なのに違いない。

  •  どこにでもあるボールペンだけを使って、『古事記』を完全マンガ化しようという壮大な試みの第1巻。

     近藤ようこも先月『恋スル古事記』というのを出したし、マンガ界は時ならぬ『古事記』ブームなのかな(※)? タコツボ化して痩せてしまったマンガの物語世界に新風を吹き込むべく、「日本の物語の原点」まで遡ってみよう、ということなのかもしれない。

    ※あとから気づいたが、今年は「古事記編纂1300年」のメモリアルイヤーなのだね。

     すべてをわかりやすくマンガ的に説明していた水木作品と比べ、本作にはわかりにくさが残っている。
     というのも、『古事記』の原文を(書き下し文の形で)そのままセリフとト書きに用いているから。
     随時脚注が付されていくものの、それは最低限にとどめられ、「このくらいは原文だけでもなんとかわかるだろう」というところはそのまま突き放されている。
     ゆえに意味の取りにくい部分もあるが、絵とともに読めば理解できないことはない。そして、理解する努力を払うことによって、読者はより深く『古事記』の世界を味わうことができる。

     ……などというと小難しい作品だと思われてしまうかもしれないが、そんなことはない。
     出てくる話はみんな知っているわけだし(本巻は国産みから天岩戸、ヤマタノオロチのエピソードまで)、こうの史代作品が好きな人なら、このマンガも絶対に楽しめるはずだ。
     たとえば、イザナギとイザナミのエピソードは、ほかのこうの作品に描かれるラブストーリーの感覚そのままで読むことができる。
     神様たちの多彩なキャラクターづくりにも、工夫があって面白い。

  • 全編ボールペンで絵が描かれ、ちょっとした注釈はあるけれどセリフはすべて読み下し文の古事記マンガです。
    この巻はスサノヲさんがヤマタノオロチを退治してクシナダヒメちゃんと結婚するまでのお話だったよ。
    すっごく面白かった!
    訳文だとざっくりまとめられがちな細かい部分がよくわかったよ♪
    多少古文の知識がないとダメかもしれないけれど、中学校レベルの知識があればOKなので、古事記ファンはぜひ読んでみて欲しい1冊です。

  • かわいい! おもしろい!
    こんな古事記は初めてだ。

    特に国産みのところ。
    昔、大学で記紀の講義を受け、岩波文庫版の古事記を読んだけれど、神の名前の羅列にとまどった。
    レポートを書くために、名前を見続けて、何かそこに意味があるらしいことに気づいた。
    そして、名前の語に、今にも通じる語感のようなものがあることにも。
    この本を読んでいて、そんなことを思い出した。
    たくさんの神々が、マンガだからイメージ化されるわけだけれど、そのイメージが豊かで、楽しい。

  • すごい~~~

    絵が本当に、ひとこまひとこまほんっとに愛らしくて、生き生きしていてすばらしいし、これをボールペンで書いたというのもすごいし、ていうか古事記!!文章まんまだし!!

    ほんとにスラスラ~っと何の苦もなく、おもしろく読めてしまった!古事記が!
    なんて愛らしい…私も神社でもらった子供絵本以上の知識は持ってなかったので入門にと思って読んだんだけど、大あたりでした

  • 歴史は好きですが、好きになったからの歴史が薄く
    去年の大河ドラマ『平清盛』で、平安時代のことも
    もっともっと知りたいなぁと思ったいたところ
    平安時代どころじゃない、天地創生の時代の古事記を
    大好きなこうの史代さんが書かれていることを知り
    早速読んでみましたが、、、、やはり難しいです
    原文が絵とこうのさんの文字で記載されているのですが
    下に、原文の意味が書いてあるのをみないとわからないし
    一々、読んでいるのが煩わしかったりします
    ただ、本文に入る前に、章ごとのあらすじが書いてあるのと
    有名な天照大神のお話など、知っている話もあるので
    へぇと思いながら、1回は読みましたが
    これは、何度か繰り返し読まないと、わたしには把握できなさそう
    楽しみながら、ゆっくりと再読してみます
    また、(二)、(三)も出ているので、またおいおい

  • 日本最古の史書である「古事記」を、ボールペンによりコミック化された一冊です。

    イザナギとイザナミが、日本の始まりになる陸地を作るところから始まります。

     絵はコミック的は描写ですが、言葉は原文に近いのでしょうか?あえて、現代語にしていない所に好感が持てます。

    イザナギが黄泉の国にある、イザナミを覗く時、
    スサノオが旅立つ前に挨拶に行く時、
    アマテラスオオミカミが隠れた天の岩戸が開く時、
    ヤマタノオロチの首の数だけ酒樽を仕掛ける時、

    有名なシーンが、絶妙に描写されていて、「ほぅ!」と唸りました。

     少し前に、子供向けの「古事記」を読んでいるので、内容は分かりますが、「古事記」を知らなければ理解に苦しむでしょうね・・・

    古事記は早い話、「日本を作った神が登場する神話」です。それを大切にし、こうやってコミック的に書く事も、また趣が違っておもしろい。

    これはコレで、有りです。

    すでに3巻まで出てるらしいので、続けて読んでみます。

  • 現代語訳『古事記』の副読本として読んでみました。台詞にあたるところが全て原文なので読みづらいところもありますが、こうの史代の雄弁な画でその難しさも緩和され、ぐいぐい引き込まれていきます。彼女の画力に唸ります。この巻は、天地開闢から、ヤマタノオロチの辺りまで。現代語訳などと合わせて読むことをおすすめします。

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著者プロフィール

こうの史代:1995年デビュー。広島市生まれ。代表作は「さんさん録」や、文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞作「夕凪の街 桜の国」、アニメーション映画のヒットも記憶に新しい「この世界の片隅に」など。

「2022年 『ぴっぴら帳【新装版】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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