ぼおるぺん古事記 (二): 地の巻

著者 :
  • 平凡社
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (134ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582287479

感想・レビュー・書評

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  • 大国主命のキャラはこうの史代のタッチに合っていると思う。

  • (No.12-72) こうのさんの古事記第2巻です。

    今回も4ページに渡ってぎっしりと手書きで原文!
    眺めているだけで到底読めないけれど、美しいなと思う。

    この巻は出雲編です。
    オオクニヌシが国を作り繁栄させたが、国を譲らなければならなかったお話。

    最初のエピソードは誰でも知っている因幡の白兎の話。
    わにに衣を剥ぎ取られて惨めな姿でしおたれている姿がなんともいえず可愛らしくて!オオクニヌシの手当てでふわふわになり、なんとなく得意そうな顔がまた良いの。

    それにしてもこの巻を読んで思ったのは、最近大きく問題視されている、イジメや領土問題は神代の昔からあったのねということ。

    オオクニヌシの兄弟たちの仕打ちは、最初のうちのは普通のイジメ。後になってからは命に関わるイジメ犯罪そのものでしょう。
    しかもその対処法が「逃げる」こと。結局、自分を守るためには相手から逃げるしかないというのは古事記にすでに書いてあったのか。

    出雲国を、国らしく発展させたのはオオクニヌシが一生懸命頑張ったから。それを自分のものだという天の言い分には無理がある。
    でも、オオクニヌシ側が引かざるをえなかったのは、多分全面戦争をすれば負けてしまう力関係だったからだと思う。
    神話のような形を取っているけれど、元になった争いはあったはず。だってとてもリアルだもの。出雲は併呑され、出雲の王族たちは殺されず、隔離されたけれど王族らしいそれなりの生活を保障されたのだろうな。
    人の歴史の中では、国を乗っ取って前国主一族皆殺しということは多々あったのだから、これは「平和的解決」の記録でしょう。
    そして今に至るも出雲大社は誰でも知っている超立派な神社。国譲りの時の約束を今でも守っていることに、現代に生きる日本人としてちょっと誇らしい気がします。

    • tokiwahimeさん
      為政者の立場で書かれたのが日本書紀で、古事記は少し立場が違うというのをどこかで読んだことがあります。出雲風土記(読んだことなし、名前だけ知っ...
      為政者の立場で書かれたのが日本書紀で、古事記は少し立場が違うというのをどこかで読んだことがあります。出雲風土記(読んだことなし、名前だけ知ってます)が取り込まれたのではないのかと。この巻を読むと、納得できる気がしました。

      「神社は、無念の怒りから呪いへ発展するのを、抑えるために建てられたのかも知れません。」
      そうですね、きちんと祭らないと恐ろしいことになるという恐怖があったかもしれませんね。
      2012/10/06
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「古事記は少し立場が違うというのを」
      そうでしたね。
      神々の国しまね ~古事記1300年~ スペシャルサイトによると「『古事記』は天皇家のた...
      「古事記は少し立場が違うというのを」
      そうでしたね。
      神々の国しまね ~古事記1300年~ スペシャルサイトによると「『古事記』は天皇家のための歴史書であり、『日本書紀』は国家の歴史書であるという考え方です。」
      このサイトは、結構面白いです。
      http://www.shimane-shinwa.jp/
      2012/10/15
    • tokiwahimeさん
      今サイトを見てきました!かなりの力作ですね。面白そう、教えてくれてありがとうございます。
      今サイトを見てきました!かなりの力作ですね。面白そう、教えてくれてありがとうございます。
      2012/10/16
  •  日本最古の史書である「古事記」を、ボールペンによりコミック化された「ぼおるぺん古事記」の第2巻、地の巻です。


    あえて私的にアラスジで説明・・・

     オオクニヌシが登場。因幡の白ウサギを助け、お告げをもらってヤカミヒメの求愛を受けたのがキッカケで、嫉妬深い八十神達に“何度か”殺され違う国に逃亡。

     そこで、あのスサノオの娘であるスセリビメと恋に落ちる。反対するスサノオの執拗な妨害工作を耐え抜き、スサノオに認められて葦原中国(あしはらなかつくに)、(出雲の国のこと)を治めるようになります。

     そこまでしたのに、なぜか浮気性なオオクニヌシに対し、スセリビメが激怒。ヤバイと思って逃げる断で、歌に思いを乗せたら仲直り。

     そしたら今後は、海の向こうから、ちっこいスクナビコナって言う神様が来て、力を合わせて、出雲の国を繁栄させます。
    しかし突然、スクナビコナが居なくなりってえらく落ち込むオオクニヌシ。そこへまた、「俺を崇め祭ったら、いいことあるよん」と違う神様が登場。現、奈良県の三輪山に祭り、出雲の国は更に反映します。

     満を持して、天上の神となったアマテラスオオミカミが登場。
    繁栄する葦原中国(あしはらなかつくに)を見て、「本当はあの国、私の子供たちが治めるハズなのよ」と・・・。

    イザナギとイザナミが作ったのは、出雲の国だったかな?私的にココは再確認が必要。

     なんでそう言う思想になるか不明ですが、刺客としてまず、アマノホヒノカミを送りますが、オオクニヌシに懐柔され3年以上音沙汰なし。

    次にアメワカヒコを送りますが、オオクニヌシの娘?女?のシタテルヒメに惚れてしまって結婚。8年間音沙汰なし。

     アマテラスオオミカミは怒り、鳴女(ナキメ)をアメワカヒコに送ります。アメワカヒコの庭の木に止まり、「何やってんの?仕事せんかい!」と鳴くナキメ。
    アメワカヒコは、それを天から持って来ていた矢で射抜き殺害!射た矢は、ナキメを貫通し、そのまま血糊を付けて天の国へ。
    さすがに天の神も怒り、投げ返した矢にてアメカワヒコは絶命します。

    このくだりは、「天に矢を射る・・・」とか「天につば吐く・・・」と言う伝承のひとつ。(らしい)

     ついにアマテラスオオミカミほか高天原の神々は、最終兵器タケミカヅチを送りこみます。あまりの強さに、オオクニヌシは出雲の国を譲る決心をします。代わりにオオクニヌシを称える?ために、立派な御殿を作ってもらいます。これが、のちの『出雲大社』です。

    第2巻、地の巻はここまで。


    古事記を知らないと、チンプンカンプンかもしれません。私は以前、子供向けの「古事記」を読んでいるので、ストーリーは分かる程度ですが、難しいですよね。

     絵はコミック的は描写ですが、言葉は原文に近いのでしょうね。コレ現代語にしたら、タダのコミックですからね。あえて現代語にしない所が好きです。


    早い話、日本と言う国が出来た頃の神話です。
    日本最古の史書である「古事記」を、こう言う表現で書籍化し間口を広げる。なんかスゴイ事になってないか?

  • ボールペンで描かれた古事記、第二弾。
    オオクニヌシのよる出雲繁栄から、国譲りまで。

    結構えげつない描写も、この方の筆致にかかるとどこか優しく。
    日本の穏やかさがうまく表現されているなぁ、、と。

    個人的には「まつろわぬ神々」がやはりきになります。
    民俗学的にみると、、うーん、つきつめてみたい。。

  • ボールペンで描いたとは思えない!
    わたしもそんな絵を描きたいなー

  • 全編ボールペンで描かれ、ちょっとした注釈と読み下し文のみのセリフがたまらない古事記マンガの第2巻です。
    この巻はオオクニヌシさんの葦原中国平定と天つ神らによる強制的な「国譲り」(実際は「国奪い」)のお話でした。

    長歌の部分がめんどうだったけれど、この巻も楽しく読ませてもらいました♪
    原文にできるだけ忠実ってことで、長歌の部分があるのは仕方がないんだけれど、それで全体の雰囲気を停滞させてるな…。

  • オオクニヌシ満載の2巻。
    オオクニヌシに関わる話から、急に人間臭くなりだした感あります。

    しかし、いろんな側面あるオオクニヌシです。
    ウサギたすけたり、かけおちしたり、女性遍歴は豊富、外敵には責任転嫁。

    神様という言葉からイメージされる、完璧さ潔癖さがないです。

    古事記最初からそうか。神秘性は、イザナギ・イザナミ以前だけの印象ですし。

    そこが魅力なわけですか。

  • 話しの主役はオオクニヌシに移り。

    因幡の白兎。

    妻のやきもち。
    あはもよ めにしあれば
    なをきて をはなし
    なをきて つまはなし
    かむがたりの場面の美しいことよ。
    いつにも増して色気がある。

    アマテラス系による手入れ。

    歌の場面ではカラーになるのか。今回知った。

  • 最新刊待ってましたぁ!
    今回は、オオクニノヌシの登場~国譲りまでを描いているのですね。
    オオクニノヌシは、異名の多さ、そして、活躍の広さから複数の神の集合体とされているようですが。漫画という見やすい形になったことで、それがますますわかりやすく感じました。
    兎を助け、試練を乗り越えて、国を作って、国を譲って……活躍しすぎよ、あなた!

    母乳を縫って、男を蘇生させるというシーン。
    フィンランド神話にも似たような場面があったかなと思います。

    今回は、全開に比べて、動物の活躍(冒頭が因幡の白ウサギであることを含め)が多かったように感じました。
    これも、国としてできつつあることを表しているのでしょうか。

    今回注目したのは、タケミカヅチ。
    他の古事記を題材にした漫画をみていると、やはり高天原指折りの武神とだけあって、なんだか、ゴロツキのように書かれていることが多かったのですが。
    この作品のタケミカヅチはとにかく、いやらしい……。
    セリフをつけると、「ねぇ、くれるよね? アマテラス様に、中つ国譲渡するよね?」みたいな感じでしょうか……?

    とにもかくにも。
    とても、楽しんでよませていただきました。
    次も楽しみにしています!

  • おちついて読んでみると、
    古事記という古い書物の中にも『いじめ』が描かれていたんだね。
    イナバの白うさぎの話が出てくるんだけれど、
    オオクニヌシの神は、兄弟の神々から、ひどいめにあっている。
    現代のしょーわへーせーだけじゃないよ『いじめ』は、
    神々のころから『いじめ』は描かれていたんだ。
    『いじめ』をうけていたオオクニヌシは、ほんとは知恵者だったんだね。
    第三巻で完結という。
    こうの版『古事記』楽しみだ。

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著者プロフィール

こうの史代:1995年デビュー。広島市生まれ。代表作は「さんさん録」や、文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞作「夕凪の街 桜の国」、アニメーション映画のヒットも記憶に新しい「この世界の片隅に」など。

「2022年 『ぴっぴら帳【新装版】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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