古都の占領: 生活史からみる京都 1945‐1952

著者 :
  • 平凡社
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  • Amazon.co.jp ・本 (509ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582454512

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  • 朝鮮戦争の経済効果、長い占領期間と費用負担。
    「今日、天ちゃんがくるえ」と叫んだ美少女。天皇の人間宣言をはっきり理解した瞬間。
    リアルな敗戦後の占領の日常が語られる。

  • 京都の占領時代

  • 1945年の太平洋戦争の敗戦によって、1952年まで日本は占領状態にあったわけだが、占領期の日本を語る際にどうしても東京の話ばかりになりやすい。私自身としても東京の占領期の話は聞き覚えがあっても、その他の都市がどう占領期を過ごしたのか、いまいち判然としていないところがあった。

    本書は京都という街を舞台に、占領期の1945-1952年にこの街がどのような状況にあったのかを明らかにする。そのアプローチとして秀逸なのが、”地図”の使い方である。本書では当時の行政文書などを徹底的に分析して、占領軍の将校らが住む住居などを地図上にプロットしていく。その結果、占領軍がどのエリアで生活をしていたのかという実態を映し出す。

    また、当時の闇市の場所の地図プロットなどの分析も面白く、かつて京都で5年間の学生生活を送った自分からすると、馴染みのあったこのエリアがこういう舞台になっていたのか、という新鮮さと共に、当時の世相が実感できる感じがした。

  • 『古都の占領』 西川祐子さん― 京都新聞大賞受賞記念  講演会開催のお知らせ― - 平凡社
    http://www.heibonsha.co.jp/news/n22836.html

    平凡社のPR
    講和条約発効までの7年間は休戦であり、終戦後ではない。かすかに残る記憶を拾いフィールドワークを重ね、国全体が忘却したがるその事実を生活史視点で明かす意欲作。18歳からの戦後史。
    http://www.heibonsha.co.jp/book/b298039.html

  • 良い悪いなどの判断はされつつも、戦争と占領そのものが今までは問われてこなかった。そこで、著者が住民にたいする記憶インタビュー、日付のある文章を重視する文献調査によって「古都の占領」をたどることがねらいの書。京都に調査を絞った理由は「先行研究解説および文献リスト」で詳しく説明されているが、特に文献調査については京都に京都府立京都学・歴彩館(旧・京都府立総合資料館)があり、当時の地方行政文書が残っていたためである。連合軍の接収住宅の資料や見舞金などの文書が残されている。
    主に「目に見える占領」と「目に見えにくい占領」が解説され、年表や参考文献リストも含めて500ページの大著である。感想としては米国の管理による巧みな誘導、日本政府機構を残して利用する間接統治などで、戦後の日本は米国とともに創られていったいったことを実感した。とくに京都は京都御苑温存、伝統文化の再利用などで伝統の日本が残っていったらしい。「逆説的ではあるが、京都は占領されて古都になった」というのを認めずにはいられない…

  • 東2法経図・開架 216.2A/N83k//K

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著者プロフィール

帝塚山学院大学助教授、中部大学教授、京都文教大学教授を経て、現在は京都文教大学客員研究員
研究分野:フランスと日本近・現代文学研究、女性史、ジェンダー史
主な著作:『古都の占領―生活史からみる京都 1945-1952』(平凡社、2017年)、『日記をつづるということ―国民教育装置とその逸脱』(吉川弘文館、2009年)、『借家と持ち家の文学史―「私」のうつわの物語』(三省堂、1998年)など

「2018年 『京大生・小野君の占領期獄中日記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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