森林がサルを生んだ: 原罪の自然誌

著者 :
  • 平凡社
4.67
  • (4)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 29
感想 : 4
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582527025

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 人が文化を持ったこと、自分たちの生息環境・文化環境に対し排他的であること、人が同種を殺すことなどの理由を、森林を生息地とした先祖「サル」の行動に求めた。多くの知見に基づき展開される進化についての主張は、今までの知識や考え方は『思い込みだったのでは』と考えさせられる一冊。

  • ☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
    http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BN00543930

  • 集団を作る、ということが文化発生の基礎。文化:社会という媒体によって伝承される生活様式。
    生活習慣の伝承は伝えてと受けてのチャネルが確立し、両者によって保持されなければならない。単独社会、ペア型社会ではそれが困難。

    自然環境への適応から社会への適応へ

    文化という問題が持つ最も重要な意義は、新しい環境の創造。
    自然環境ーどの動物にも共通な生活の場を共有している。
    社会環境ー一つの種に固有のもので多種と共有する事ができない(種社会相互不可侵という形で強調を基盤に世界を構成している)
    文化環境ー一つの種がいくつもの環境を、自分自身でつくりだしたもの(基本的には生物的自然の秩序からの逸脱行為に他ならない)・・非自然的

    自然はその中で何が起こり消滅しようと善悪の彼岸にある。しかし文化過程はその存在そのものが反自然的である限り自然の中での価値が問われなくてはならない。文化はプラスとマイナスの価値を含んでいる。あるいは文化とは善と悪を包摂した両義的な体系である。文化を創造する事はすなわちまた生物界に悪の要素を持ち込む事に他ならない。光は闇があってこそ存在するように、光は闇と一体である。
    ①文化の一つの重要な特質は自己増殖性である。ある文化環境が形成されるとそれが土台になってまた新しい文化が誕生する。そこには作られたものから作るものへという、自己増殖の運動が際限なく発展していく可能性がある。それは大なり小なり善と悪を次々生み出していくだろう。文化を発生させ、形成していくのは個体であり社会であるが、出来上がった文化は今度は個体になり社会を規定していく。
    ②文化の多発性と多様性
    文化現象はあらゆる集団やある地域で独立して発生するから、多様な文化が存在する事は、その基本的性質から考えて当然の事である。
    ③文化は容易に交雑する
    その事により一層稔り多い新しい文化を産出する。そのことを可能にする行為者が擬種の内包者としての人間なのである。

    なんだこれは、びっくりするぐらい面白い!

  • 人間は反自然的なものである・・・

全4件中 1 - 4件を表示

著者プロフィール

1924年兵庫県生まれ。京都大学理学部卒業。理学博士。生態学・人類学。京都大学霊長類研究所所長,財団法人日本モンキーセンター所長,日本霊長類学会会長,兵庫県立人と自然の博物館名誉館長,兵庫県森林動物研究センター名誉所長などを歴任。2021年5月14日没。著書に『ゴリラ探検記』,『少年動物誌』,『学問の冒険』,『人間の由来』などがある。

「2022年 『ニホンザルの生態』 で使われていた紹介文から引用しています。」

河合雅雄の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×