Ex-formation はだか

  • 平凡社
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本棚登録 : 96
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582620481

作品紹介・あらすじ

目からウロコを外して、まずは「情報」をEx‐formation/未知化してみよう。毎年、回を重ねてきた原ゼミのEx‐formation(エクスフォーメーション)プロジェクト、今年のテーマは「はだか」!?誰もがよくよく知ってるはずなのに、思わずアッと驚く「はだか」への探求の記録。

感想・レビュー・書評

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  • 2008年度原研哉ゼミの卒業・修了制作展の作品を収載する。
    「Ex-formationとはInformationの対義語として考案した造語」「既知なるものを未知化する、つまり既に知っているはずだと思っているものを、少し根源の方に戻して、まるでそれに初めて触れるかのような新鮮さとともに味わい直してみるという実験である」(Prologueより)

    遠藤楓氏の「でべそ」のリカちゃん人形にインパクトがあって、手に取った。人形にコンプレックスが付与されるだけで、こうも親近感が湧くのか。どのバージョンも面白いが、顔はリカちゃんのままなので、醜悪過ぎず安心して見られる。
    ただ、「筋肉質」バージョンはもっと誇張してマッチョにしてよかったと思う。リカちゃんはもともとが痩身なので、これでやっと標準的な肉付きになったかな、という印象だった。

    横倉いつみ氏・横山恵子氏の「はだかの少女漫画」は、少女漫画のすべての登場人物をはだかにした。あまりにシュールでなんだか見ていられない。題材となる作品がもともと簡素にデフォルメされた画風なので、そのままの画風ではだかにしても、エロティックにならないのは当然という気もする。青年漫画なら趣が違うかもしれない。

    最も好きなのは、村上幸江氏の「パンツ・プロジェクト」。あらゆるものにパンツをはかせて、全く新しい一面を見せてくれる。パンツ自体が小さくてかわいくて、おまけに履き心地がよさそうな素材。
    秀逸なのはピーマン。表面のうねりが背筋のくぼみのようで、なんともエロティックな腰つき。フォーク/スパナは、パンツによって金属の冷たさや刺々しさがなくなり、一気に和む。

    藤川幸太氏・船木綾氏の「おしり」は、どれも商品化されたら買ってしまうかもしれない。ハートに間違われない、絶妙なフォルムがいい。特に「おしりに火がつく」マッチがほしい。

  •  読みたいと登録してから5年、ようやく読むことができた。
    「人は何をみて“はだか”と思うか」という論考かと思っていたら、美大生の実践的な演習のまとめだった。
     名前や情報、いわゆる「手垢」のついている、ふだん見慣れた品物を「はだかにする」、もしくは通常“はだか”とは思われていない「はだかに見せる」ことに学生が挑戦する。
     ふだん、言葉で考えることに偏りがちなので、どの作品にも驚きを感じた。
     デザイナーや現代アートの表現者は、常識を覆す発想とそれを具現化する技能を求められるのだろう、ということはわかる。同じ課題を自分の頭と手では提出できそうにない。

  • ひとつのテーマに様々な角度からアプローチする
    武蔵美・原研哉ゼミの卒制の本。

    「情報を脱ぐ・捨てる」=「ハダカという状態」
    っていう考え方が面白かった。
    身の回りには存在することが当たり前過ぎて、
    そのもののハダカの状態を別段深く考えもせずに
    見過ごしていることがあまりにも沢山あるんだなぁと。

    目から鱗ってこういうこと?

    ひとつの課題なりテーマなりにへとへとになるまで
    エネルギーを使って向き合った学生時代が懐かしい。

  • 豊田市美術館で購入。

    原研哉+武蔵野美術大学原ゼミのプロジェクト。
    めちゃめちゃオモシロイ。

    既知であること、〝そんなの知っているよ〟ということを、『未知』にするのがこのプロジェクトの狙い。
    毎年、テーマを変えているようで、これまでには『四万十川』『RESORT』『植物』というテーマで、制作。

    パンツプロジェクトが面白かった。

    この前、ソラマメの絵を描いていた時に、ピカソの描くコロンとした、豊満な、眠る女の人の身体みたいだと思った。
    同じようなことを考えている!と、思った。

    ピーマン、トマト、フォークにとにかくパンツをはかせてみる。
    すると、セクシーな身体に見えてくる・・・。

    よく秋になると、セクシーな大根が収穫されたとかいうニュースを聞くけど、そういう感じ。

    野菜って、こうやって見ると、セクシーなものに見えてくる。。

  • この本で扱われている「はだか」というフレーズは
    人に対してだけでなく、物や情報にも使われる。

    自分が「知っている」と思い込んでいる既知の情報でも
    改めてその情報が纏っている規制概念や自分の知識という「服」をはぎ取り、情報そのままの「はだか」を目にする事で、自分の未知を知る。
    自分がいかに既成概念にとらわれた考え方をしていたのかを思い知る。
    「はだか」に体するゼミ生の研究結果を写真と共に掲載しており、非常に読みやすかった。
    だが扱っている内容が内容なだけに、読んでいる最中はとても恥ずかしい気持ちになった。
    その気持ちこそが、彼らの目指していたものなのだろう。

    ものを見る目がいつもより少し、変わった。

  • えいっ。はだかになってみろいっ。

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著者プロフィール

グラフィック・デザイナー。1958年岡山市生まれ。武蔵野美術大学教授。日本デザインセンター代表。
文化は本質的にローカルなものととらえつつ、日本を資源に世界の文脈に向き合うデザインを展開している。広告、商品、展覧会、空間など、多様なメディアで活動。
著書は『デザインのデザイン』(岩波書店/サントリー学芸賞受賞)、『白』(中央公論新社)ほか多数。

「2014年 『みつばち鈴木先生』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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