- Amazon.co.jp ・本 (143ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582635058
感想・レビュー・書評
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茨木のり子さんの献立と日記による私生活の本ですね。
図書館の詩集のコーナーで見つけました。
珍しい名前の詩集だなぁと思ったら、本当に献立帖だったので驚きました。分類はちょっと難しいかな。詩集で無いことは確かです。
この本はでも実に面白いですね。
茨木さんの献立のメモを写真で紹介して、実際に料理を再現しています。
ご主人とのツーショットの写真や、家の中の写真もあり、台所と食堂の様子も紹介するなど盛りだくさんです。
日記抄もあり、茨木さんの暮らしぶりが窺えます。
甥の宮崎治さんのエッセイによると、茨木さんの料理の腕前はプロ並みでこうしるされています。
『 伯母はエッセイのなかで、伯父に「お前のは料理屋風に盛り付けすぎる。もっと家庭料理風に出せ…」とよく言われたという贅沢なエピソードを書き残している。』
茨木さんの家庭生活も活力あるものだったようですね。
意外な事から、思いがけず手にした本でしたが、茨木さんの別の魅力を垣間見ました。
なんだか、エッセイも読みたくなりましたね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
旦那さんへの愛が詰まった一冊。「家のご飯が一番最高だとYが喜んだ。」と事あるごとに書いていて、そんなふうに言ってくれる旦那さんも、それに応えようと一生懸命なのり子さんも、素敵。愛する人と生きられて幸せそうで、可愛らしく、羨ましくて…
詩から芯の強い女性像をイメージしていたけれど、弟を可愛がり、旦那さんを愛し、とても愛らしい方だったんだなと感じた。 -
これまでにプリンだけつくった。両親にとって懐古イズムに憑かれる味だったようだ。なるほど素朴な味わいだが、おいしい。
「倚りかから」ない、地に足ついた暮らし。 -
この方の詩ははっと心に刺さるものが多くて好き。
のり子さんのそのままの日常が垣間見えて嬉しい。
旦那さまのことを愛おしく思ってる様子も伝わってきてほっこりする。
略年譜を見てあれこれ想像するのも楽しかった。
レシピに関しては簡単なものもあるけど、美味しそうと思ったものは手の込んだものなので作ってみるのは断念するだろうな。
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茨木のり子 著「茨木のり子の献立帖」、2017.1発行。著者は1949年(昭和24年)23歳で医師三浦安信(1975年没)と結婚。この本の最初の写真は、1958年に建てた東伏見の台所、素晴らしいです。著者はここで亡くなるまで(2006年没、79歳)暮らしたそうです。本書は詩人ではなく家庭人としての顔が。手書きレシピ、スクラップ帳、日記などを元に、茨木のり子の食卓が再現されています。ローストビーフ、パエリア、ブイヤベース、オマール海老のリゾットなど、粋でおしゃれなメニューが多いです。
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男性が料理すればアートで、女性が料理するのは家事で義務。
茨木のり子の献立帖やセンスのよい台所から、紡ぎ出される言葉の秘密をこっそり見せてもらうような一冊。自筆レシピ、日記は必見だ。いまの時代だからこそ、記録を付けることは大切だと思う。
プリン、ハヤシライス、ビフテキ、グリーンピース、ごはん、玉子焼き、チキンライス、
毎日食べるものだから、素朴で、体のことを考えたものがとても嬉しい。愛していること、愛されていることを伝え合うようで。器へのこだわりも、食器選びから、もう愛がはじまっていることを感じさせる。そこで、どんな会話をし、いくつの物語があったのだろう。毎日の生活にていねいに気を配る姿が想像できる。僕はあなたのような、愛を深く理解している人と出会いたい。 -
献立帖というだけあって、彼女が日記のようにノートに綴ったレシピを編集部が再現。
料理が好きな人だったんだろうなあと思う。
外食して気に入った味を家で再現できる人だったのだという。
全然イメージが違いました。
『自分の感受性くらい』や『倚りかからず』の刺すように強い言葉が使われる詩を書いた人が、こんなに夫を大事にして料理に腕をふるう人だったなんて。
しかも初めての詩を投稿したのは、結婚してからなんだよ。
日記にもその日の献立が書いてあったりして、武田百合子の『富士日記』みたいだと思ったけど、もしかして当時の女性はみんなこうして記録をつけていたのでしょうか。
三年日記も楽しい。
特に毎年の大みそかの過ごし方が、紅白に文句をつけつつ最後まで見ていたりとか。
普通の主婦と、繊細な詩人と、どうやって自分の中で折り合いをつけていたのだろう。
とても不思議。