- Amazon.co.jp ・本 (473ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582702569
作品紹介・あらすじ
アルチュセールイデオロギー論の全貌!現代の思考に、多方面にわたる巨大な影響を与えつづけてきた論文「イデオロギーと国家のイデオロギー諸装置」。本一冊分の草稿から抜粋してつくりあげられたこの論文は、同時に、長く誤解にさらされてきたものでもある。論文発表後も手を入れられながら生前ついに公刊されなかったその草稿によって、アルチュセールのイデオロギー論、イデオロギー装置論が、再生産論という本来のコンテクストのなかで、いま、ようやく、その十全なる姿を現す。待望の邦訳・決定版。
感想・レビュー・書評
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支配者はその立場を維持するために、民衆に「支配は正当なものだ」と教え込む。コストも安いし、効果的。力でむりやり強制するのもいいが、不安定で長続きしない。支配者に従順な人間に変える方がよい。▼マルクスは文化やイデオロギーは経済によって引き起こされる、としたのと異なり、文化の重要性を強調。▼市民社会は、国家とも市場とも区別される。マルクスは市民社会とはブルジョア社会であり、共産主義革命で克服されるべきと考えた一方、グラムシは市民社会は社会主義革命の基盤になると考えた。アントニオ・グラムシGramsci
政治権力を持つ者が、一般民衆の自発的な服従を効果的に引き出したい。▼家族制度・学校制度・教会・マスメディア・文化情報産業などをつうじて、信念・態度・意見の体系を教え込む。民衆の意識に浸透させる。一貫していて論理的な体系。そうすれば、個々人は自ら進んで服従・自発的に支配される臣民となる(cf. 個々人は自由で主体的=実存主義)。政府・行政・軍隊・警察・裁判所・刑務所など、国家の力による支配は円滑になる。▼個人は金持ちもいれば貧乏人もいて、階級はばらばらだが、自由・平等・博愛など、信念・態度・意見の体系を人々に浸透させることで、現実を覆い隠すことができる。現実を変えたければ、人々に浸透している信念・態度・意見の体系を人々に自覚させ、意識を変えなければならない。ルイ・アルチュセールAlthusser『再生産について』1970
N・プーランツァス。
A・プシェヴォルスキ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
イデオロギーと国家のイデオロギー諸装置についての草稿も含む完訳。大学院生のころにフランス語原書を拾い読みしていた。アルチュセールはレーニンとも似た文体でひきつけられるものがある。