ナ-ジャの村

著者 :
  • 平凡社
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  • / ISBN・EAN: 9784582740141

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  •  アレクセイの村に来た司祭は、そこを困難な場所と呼んだ。ナージャの村は悲しみの大地と呼ばれている。
     強制移住地区。放射能に汚染された土地。困難な場所。悲しみの大地。誰かのふるさと。誰かの祖先が積み重ねてきた生き方を、もう受け継ぐことのできない大地。未来が閉ざされた場所。人間が汚した土地。そこから逃げて、一体どこへ行けるのだろう。

     フェリーニの「道」で、シスターが言ってたことを思い出した。「大地への愛は神への愛に勝る」

     大人になったナージャは、今はどうしているのかな。強制移住地区から町へ引っ越した人たちは、チェルノブイリの話題が出た時、どう振る舞うのだろう。全く無関係だという顔をしてみせるのか、肩身が狭い気持ちになるのか…。結婚や就職が不利だったりするのだろうか?強制移住地区出身の人は、強制移住地区出身の人としか結婚できなかったりする?
     祖先から受け継いだふるさとのために、未来が奪われるということは、現在ここにいる自分が否定されること、過去を失うことだ。それは、怖ろしいことだ。

     本橋成一の目を通すと、ただ存在することが、どんなに豊かで美しいことなのかがわかる。

    霧氷 むひょう 氷の花のこと。冬になると、北海道で氷の花が咲いたってニュースになる。樹氷は霧氷の一種。

    サマゴン 自家製ウォッカ ロシアでは個人がお酒を造るのは合法。売ったら違法。売るには、専用の許可とかがいるのかな。ジャムと水とイーストが材料で、途中、よくわからない機械を使う。原材料はジャムでなくても良いらしい。砂糖?

    バーニャ ロシアのサウナ風呂 蒸気風呂 『死の家の記録』でドストエフスキーが入ってた奴か。あれは地獄絵図だったけど。写真で見ると、もっと素敵に見える。蒸気の多いサウナ?フィンランドのサウナよりは温度が低いみたい。湖に飛び込まなくてもよさそう。

    エセーニン 20世紀ロシアで最も有名で、最も人気な詩人。

  • 写真集。福島原発のことが頭をよぎりながら眺めた。人はこんなにも平穏に暮らせるのに...

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著者プロフィール

東京生まれ。1968年「炭鉱〈ヤマ〉」で第5回太陽賞受賞。1995年 写真集「無限抱擁」で日本写真協会賞年度賞、写真の会賞を受賞。1998年「ナージャの村」で第17回土門拳賞受賞。同名の初監督ドキュメンタリー映画作品は文化庁優秀映画作品賞を受賞したのをはじめ、海外でも高い評価を受ける。2002年映画2作目の「アレクセイと泉」で第52回ベルリン国際映画祭ベルリナー新聞賞及び国際シネクラブ賞ほか受賞。2013年写真集「屠場〈とば〉」「上野駅の幕間(新装改訂版)」で日本写真協会賞年度賞を受賞。主な写真集に「サーカスの時間」(河出書房新社)、「上野駅の幕間」(平凡社)「無限抱擁」(リトル・モア)、「ナージャの村」(冬青社)、「アレクセイと泉」(小学館)、「バオバブの記憶」(平凡社)、「昭和藝能東西」(オフィスエム)、「屠場〈とば〉」(平凡社)などがある。

「2015年 『炭鉱』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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