- Amazon.co.jp ・本 (443ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582760460
作品紹介・あらすじ
漢字はその構造のうちに、古代の人々の思惟や生活の仕方を豊かに伝えている。想像を絶するほど広大な漢字の歴史世界をはるかに見渡し、そこに隠された精神史の諸相を鮮やかに捉えた達意のエッセイ集。
感想・レビュー・書評
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読了。ちびちびと読んだ。難しかったが、面白い。
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左と右、左手と右手を意味しているのは分かりますが、
工と口は何か分かりますか???
工は○○○で、口は○○○を表現したものです(^^)/
気になる方は読んでみてください。
少々読みづらいですが、後半は一気に読めました。 -
白川文字学の大家、白川静の随筆集。つい最近お亡くなりになられた方で、有名な著作に辞書三部作『字統』『字訓』『字通』がある。学生身分では流石にこれらの辞書には手を出せないので、『文字逍遥』はその入門書として考えるとよい。昨年大学のとある教授が力説していたので試しに買って読んでみた。
文字学にはあまり詳しくは無いので、はたして白川氏の説が研究者の間でどこまで認められているかは知らない。例えば手元にある『新漢語林』(鎌田正 米山寅太郎、大修館書店、2005)によれば、「言」の説明は白川氏と同じだが、「曰」は異なっている。おそらくまだ議論の途中なのだと思う。白川さんも亡くなったばかりなので。しかし、おおむね説得力はあるように思える。さらに言えば『説文解字』よりは筋が通っているように思える。それほど強い情熱をこの本から感じ取ることができた。実際あの年齢まで執筆や講演を続けた精力は尊敬に値すると思う。昔の人って凄いよね。
内容に関して、個人的には古代の文化はエロとグロ(もちろん今使われる意味とは違う)に本質があると思うので、かなりの部分共感できた。ただし、如何せん語彙が難解で、字体も様々な上に幅広い古典的知識が要求されるので、読了までおよそ一ヶ月かかった。そしてその一割すら理解することができなかったと思う。分かったことは、この本は電車の中で読む本ではなく、家で辞書とコンピュータを手元に一行一行読んでいく本だということだ。文庫なのに千円以上するので、読むときは覚悟を決めること。いつか必ず再戦を臨みたい。
ところで一つ気になったのは、藤堂氏と一体何があったのだろうか。藤堂氏の話題が出るたびに語調が変化し、非常に攻撃的になっていく。そこが真に面白かった。通説と異なる説を挙げて大変な批判を浴びたことは容易に想像し得るが、相当悔しかったのか、もう少し冷静に対処してもよかったのかなとは思う。
しかしながら、『詩経』は一般教養なのですかね。本文中に引用されている詩を父親に見せたら説明をしてくれました。何よりも先ず、父は偉大です。