江戸の少年 (平凡社ライブラリー)

著者 :
  • 平凡社
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本棚登録 : 64
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (359ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582760729

作品紹介・あらすじ

八歳の童女による出産、幼児虐待、同性愛、そして頻発する若者仲間の暴動…。時代の危機認識や、社会にわだかまる不満・不安を背景に、華麗かつ残酷な「事件の江戸像」が浮かびあがる。

感想・レビュー・書評

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  • 序盤は,若齢期の出産とかむごたらしい虐待事件とか今も江戸時代もそれほど変わってないなという感じで楽しく読み進められたのだけども,
    途中からは内容的に興味が尽きてしまったのか,それとも,古文がメチャメチャ出てきたり,古典的専門用語とかがいっぱい出てきて,興味と文章の難しさが勝手に天秤にかけられて
    ほとんど頭に入らなかった。

    僕に基本的な教養が欠けていることが,この本の面白みを感じられなかった主な原因と思う。
    もうちょっと,古文とか日本史の知識があったら,きっと面白かっただろうになぁ・・・。

    ちなみに僕は古典が一番嫌いでした。

    そんな僕が何でこの本を読んだのかと言うと,今の子ども達が抱える様々な問題と,昔の子ども達のそれらがどのように違っているのか,あるいは同じなのかを,興味本位で除いてみたかった,ただそれだけなのです。
    なので,そんな半端な興味本意では,この問題を深く知ることができないということなのかもしれない。

  • 読後気分→\(//∇//)\
    江戸における少年たちの世界…。

    まるで万華鏡のような本です。

  • 氏家幹人氏による、江戸時代の、主に少年少女についての考察。
     主に、と書いたのは本著後半、「悪少年の時代」辺りから少年少女というよりもう少し年長の、若者たちについての考察に移り、さらに「制度としての逸脱」に至るやまったくと言っていいほど少年少女の姿は見えないためである。

    「花咲く娘たちの力」の章において、女児たちが芸事に精進し、屋敷奉公を目差すのは《玉の輿》に乗るためであったと氏家氏は云う。(P142)
    しかし後々、芸事は武家の娘にまで広がっていく。
    娘たちは芸を身につけ、武家屋敷に奉公に上がる。そこで礼儀作法を身につけた後、それなりの格のある家に嫁いでいくのである。
     氏家氏は紹介していないが、こうした娘たちの中には、嫁がずに《一生奉公》に就く者もいる。お勤めに精進するうちに婚期を逃してしまうのだ。そうなるとどこかの後添いになるか一生奉公か、二者択一を迫られるのである。

     さて、気になったのはこの章において紹介される、柳沢信鴻家に勤めた娘お捨の事である。
    信鴻の屋敷には様々な娘たちが奉公に上がるべくその芸を武器に面接を受けに来る。それとは別に信鴻の目に止まって屋敷に上がった娘がお捨である。
    お捨は芝居茶屋で見初められた(P159)とあるから、ここの娘かも知れぬ。明らかに武家の娘ではない。
    そしてお捨は屋敷に上がって「伊達吉」と改名し、信鴻のお手つきを経て「都路」とまた名を改める。
    これは他の娘たちの名が「藤」から「勝」へ、あるいは「市」が「石」に改められるのとは明らかに異なる源氏名ではあるまいか。
     氏家氏はこのお捨と、他の武家出身の娘たちを同列に見ておられるのだろうか。
    私にはどうもそうは思えない。芝居茶屋の、恐らく水商売の娘と武家の娘には明らかに越えられぬ一線があろう。馬琴が娘たちに築紫琴は習わせても三味線は断固として反対したというのも(P148)それがためであろう。

     また、お捨に与えられた名がいかにも芸妓ふうであるのも気になる。
    信鴻のお手つき後のお捨がどんな人生を歩いたか氏家氏は記さないが、いちいち「来潮」《初潮》だの「加恩」《お手つき》だの記されていることから、このお捨なる少女は最初からその目的で連れてこられてのではあるまいか。
    お捨にしても、芝居茶屋で複数の相手をするよりもお大尽ひとりの寵愛を受けた方が幸せには違いない。
     だとすると、妾になるために屋敷入りする下層の娘と、行儀見習いのために屋敷勤めをする武家の娘との二重構造があったことになる。

     ともあれ、江戸時代がモースたちの云うように「子供の天国」でなかったことだけは確かである。

     そして私がどうしても気になって仕方がないのは「惜しみない虐待」という章名である。「惜しみない」とは「惜しむべきをあえてそうせずに」の意だと解するのだが、果たして虐待ということは惜しむべきものなのだろうか。「努力」「愛情を注ぐ」などが「惜しみない」に続く言葉だと思うのだが、どうだろう。

  • 江戸時代は、数多な災害があり、いろいろな問題も抱えてはいたが、現代に通じる、「家庭」の観念ができた時期だと思う。浮世絵に描いてある子供らはかわいらしく、似せ絵の少年少女は、美しい。しかして、その裏側は、今と対してかわらず、虐待、児童買春、そんな暗黒もあった。作者は、この手の作が得意でいらっしゃる。
    江戸のアンダーグラウンドをお知りになりたければ、おすすめであります。

    ちょっと、えぐいですが。

  • 暴れる少年素っ頓狂に小さいうちの妊娠3つ子の扱い。。おもしろいですね。。

  • 少年とは時に大人よりも重い。

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著者プロフィール

氏家 幹人(うじいえ・みきと)
1954年福島県生まれ。東京教育大学文学部卒業。歴史学者(日本近世史)。江戸時代の性、老い、家族を中心テーマに、独自の切り口で研究を続けている。著書に『大名家の秘密』(草思社)、『かたき討ち』『江戸人の老い』『江戸人の性』(いずれも草思社文庫)、『増補版 江戸藩邸物語』(角川ソフィア文庫)、『武士道とエロス』(講談社現代新書)、『江戸の少年』『増補 大江戸死体考』(いずれも平凡社ライブラリー)、『不義密通』(洋泉社MC新書)、『サムライとヤクザ』(ちくま文庫)などがある。

「2021年 『文庫 江戸時代の罪と罰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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