いろいろな人たち (平凡社ライブラリー)

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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582760903

感想・レビュー・書評

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  • 猫丸さんのお薦め本です。ありがとうございます。

    カレル・チャペックは1890年生まれのチェコの作家。
    プラハのカレル大学で学んだ後、ベルリンとパリに留学。
    帰国後の1916年(26歳)から創作開始。
    1921年に新聞社入社。
    生涯ジャーナリストとして活動。
    この作品はエッセイ集で
    Ⅰ男と女と日常生活
    Ⅱ文化と社会
    Ⅲ政治的動物

    ⅠとⅡは大変面白く読みましたが、Ⅲは私には少々難しかったです。

    Ⅰの男と女と日常生活は軽妙洒脱な男女の違いの妙などユーモアの溢れるエッセイが多く、例えば「毛皮なしのシラミ」では
    「それは豊かな人たちが貧しくなるようにということではなく、豊かな人たちが他人の貧しさのために苦しむように、ということだ。わたしは、人々がまったくお金を持つ必要がない、と猛烈に宣言したいのではなく、ほかの人たちを雨ざらしのトロッコの上に置き去りにしなくてもよいように十分なお金を持つべきだ、と言いたいのだ」と述べられています。

    又、Ⅱの文化と社会では「適時適書」が愉快でした。読書好きの方なら実に楽しい文章です。長いので引用はしませんが。
    日本の関東大震災(1923年)についても触れられています。「物乞いの前での気恥ずかしさ」から引用を少し。
    「非常に素朴な、一般には貧しい人たちだけが、それでも当然なことといして考慮せずにほどこしをすることができる。しかしそうでないわれわれはもはやほどこしによって救われることはない。むしろ困惑させられる。ほどこしをするとしたら、急いでおずおずと、ほとんど臆病者のようにするのである」
    「不幸の中で」で手榴弾について述べている文章も印象的でした。

    • まことさん
      猫丸さん。
      オリンピック秘史ありがとう、ございます。
      明日、パソコンで見てみます。
      今日の大阪などの状況みて、聖火リレーをやっているのは、狂...
      猫丸さん。
      オリンピック秘史ありがとう、ございます。
      明日、パソコンで見てみます。
      今日の大阪などの状況みて、聖火リレーをやっているのは、狂ってます。
      北朝鮮の方が利口だなんて、世の中おかしい!
      2021/04/07
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      まことさん
      早く目覚めよ。ですね、、、
      まことさん
      早く目覚めよ。ですね、、、
      2021/04/07
    • まことさん
      猫丸さん。
      目覚めればいいのですが…。
      猫丸さん。
      目覚めればいいのですが…。
      2021/04/07
  • 此方は今でも入手可能

    いろいろな人たち: たびさき
    http://m-kusunoki.cocolog-nifty.com/blog/2018/10/post-6688.html

    いろいろな人たち - 平凡社
    https://www.heibonsha.co.jp/book/b160282.html

  • 日常のささいなできごとを見守るチャペックは、からかいまじりのユーモアを発揮する。鼻かぜや、女について、男について、家にまつわるあれこれ、買い物について・・・。上機嫌の底にあるのは、それほど偉くも立派でもない、人間に対する愛情だろう。その愛情が政治に向かうと、人間らしい生き方を求めての、熱い呼びかけとなる。チャペックは偏ったものの見方を嫌う。人間をひとつの鋳型に押し込めるのではなく、多様性を認めたうえで、人としての共通項に目を向ける。チャペックは、肯定の人だ。否定を重ねて唯一のものを求めたりはしない。雑然として、非効率かもしれないが、豊かだ。

  • 同じ誕生日の作家ということでたまたま手に取った本。100年近く昔のエッセイなのに、すごく面白い!チャペックの時代から現代まで世の中は全く変わっていないかのようだ。文体の読み易さやユーモアのセンスが個人的にどストライクで、他の作品も読んでみたくなった。

  • いろいろな人たち―チャペック・エッセイ集 (平凡社ライブラリー (90))

  • 「心理学の術語を用いれば、奴隷状態とは欲求不満の状態です。自分の家族に不満であれば人間は家族の奴隷になります。社会の中でうんざりすれば、社会の奴隷です。自分のなすべき仕事に奉仕することが楽しみになりはじめないかぎり、その仕事の奴隷です。奴隷状態を克服する唯一の道は、人類が落ち込む不満の状態を徐々に克服する手段のすべてでしょう。(‪⋯‬)それは宗教、芸術、文化、人生の喜びと美です。人間生活の価値を高めるすべてのものは、それぞれの場所で、不平と痛みかな満ちた奴隷状態の一部を克服してくれるのです」(p.304)

    人間と、人間が営む文化への信頼。観察と思考、作家としての表現力。折に触れて、読み返していきたい本。

    「わたしは、人々がまったくお金を持つ必要がない、と猛烈に宣言したいのではなく、かの人たちを雨ざらしのトロッコの上に置き去りにしなくてもよいように十分なお金を持つべきだ、と言いたいのだ」(p.100)

    「人間は、人間と同じ足を持つであろうような機械を発明しようとはけっして試みなかった。それにたいして自然は、ぐるぐるまわる現実の車輪を発明しようとはけっして試みなかった。(‪⋯‬)もし両足の代わりに車輪を持つなら、人間は技術的により完全になるだろう。しかし一つの可能性を失ってしまうことになる。すなわち、道なき道を歩むことである。この世の発明のすべては、一定の人工的条件、たとえば鉄道の線路とか舗装された幹線道路などには有用である。だが、自然の状態に置かれたなら、人間が発見するのは自分の昔からの原始的な両足である」(p.157-159)

  • いろいろな角度から人を見つめてみる。

  • クリティカルに楽天家でいたい。いつでも当事者と第三者的な立場を往復していられることが強さかな。

  • 「灰色のスーツを白のスーツと黒のスーツの妥協と呼ぶ人たちがいるのだ。一部の人たちにとって音符dはcとeの間の妥協なのである。政治的な中央とは、その人たちにとって狂った革命主義と中世的な反動の妥協なのである。朝はたんに朝ではなくて、真夜中と真昼の間の妥協である。渇きの事実は水と火の間の妥協である。」

    「『われらがため』氏は三回も燃えさかる坑内に足を踏み入れた。そして『われらがため』はこの世を去った。『われらがため』は生き埋めにされた人たちに救助をもたらした。(プロノビス)」

    チャペックは「園芸家12か月」もオススメ。面白いよ。

  • 作家であり、ジャーナリストでもあるチャペック。その真骨頂−エッセイ。
    是非是非、ご一読を。
    ※ネタバレの恐れのため、以下自粛※

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著者プロフィール

一八九〇年、東ボヘミア(現在のチェコ)の小さな町マレー・スヴァトニョヴィツェで生まれる。十五歳頃から散文や詩の創作を発表し、プラハのカレル大学で哲学を学ぶ。一九二一年、「人民新聞」に入社。チェコ「第一共和国」時代の文壇・言論界で活躍した。著書に『ロボット』『山椒魚戦争』『ダーシェンカ』など多数。三八年、プラハで死去。兄ヨゼフは特異な画家・詩人として知られ、カレルの生涯の協力者であった。

「2020年 『ロボット RUR』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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