フローラ逍遙 (平凡社ライブラリー)

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著者 : 澁澤龍彦
  • 平凡社 (1996年10月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582761665

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フローラ逍遙 (平凡社ライブラリー)の感想・レビュー・書評

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  • 「美しい本は?」と聞かれたら迷わずこの本を挙げます。
    澁澤氏による軽やかな25の随筆と、75点の植物画がオールカラーで同時に楽しめる贅沢な一冊。

    掲載されている図版は東西混合の色彩豊かで精緻に描かれたものばかり。個人的にルドゥーテの描く薔薇が大好きなので掲載されていたことが嬉しく、他にも綿密に描かれた植物画がこんなにもあるのかと思わぬ収穫でした。『澁澤龍彦のフローラ逍遥美術展』なるものが開催されれば間違いなく足を運びます(ぜひ…!)。

    著者最晩年の作品とのこと。植物を優しく愛でる視点は趣きがあり、終始とても心地良いです。一編一編を読み進めるたびに背筋がしゃんと伸びるよう。
    水仙は美少年、梅はテキレキ、スミレは花環、太陽を追うヒマワリ…。澁澤氏の広く豊かな知識と、彼のフィルターを通して見た光景とその表現力をもって品良くまとまったこの本は、読者をどっぷりと世界観に浸からせてくれます。

    心の浄化装置として手元に置いておきたい本。今回は文庫版を読みましたが、初版は函・装丁ともにこだわり抜いている様子。いつか手にできればと思います。

  • 澁澤の生涯の最期を飾る優美にして閑雅な博物誌。東西の植物画75点をオールカラーで楽しむことができます。たとえば、薔薇の章にはルドゥテ『薔薇図譜』が掲げられています。今まで読んできた澁澤の本の中で一二を争う好著。自信をもっておすすめ致します。

  • あとがきで本人がおっしゃっているけれど、「書物の中で出会ったフローラ、記憶の中にゆらめくフローラが、現実のそれよりもさらに現実的に感じられ」ているのがよく伝わってくる。味気ないという意味ではなくて、観念との対面として(本の中の知識と、実地もしくは別の書物などで出くわした、というように)花をみる様子に感じられてなぜかしみじみする、といった具合だ。現実というものの手ざわりも、氏の世界の中で観念的なものに記憶とともに変じ、精神の散歩道、逍遥先になったのかなぁと考えるとなんとなく味わい深い。遊ぶ、ということ、定石を知った上でそのうえに夢想を描くことを思う。知識の中に溶け込んで生きるというのは、ひとつの憧れである、けれども。

  • 文化や歴史、文学に芸術にと、多彩な場所で咲き乱れる花々のエピソードと著者の体験が織り交ぜられた文章の横に差し込まれる美しい植物画。博物誌、エッセイ等単一のジャンルではくくれない本でした。

    1種に対して実質4Pという短文ながらも、感性を刺激される花物語から著者の各分野への造詣の深さが伺える。値段の前に躊躇してしまうものの、1節を読めばもう本棚に戻すことはできない。ちなみに一番のお気に入りは牡丹です。

  • 肩の力が抜けている。
    図版も美しい。
    龍子夫人がお好みなのも肯ける。
    花というのはやはり猥褻な存在だ。

  • 理知的でエロティズム漂う文章、美しい図版、そして装丁のバランスの良さ‥‥
    これは本屋でないと出会えない宝石箱のような本。友達にプレゼントしたくなります。

  • 綺麗。
    たまに読み返したくなる。

  • 角田光代さんオススメ

  • 起きて見んと思ひしほどに枯れにけり露よりけなる朝顔の花
     曽禰好忠

     ガーデニング愛好の方々は、植え付けの準備に追われているころだろうか。

     掲出歌は「新古今和歌集」のもので、「け(異)なる」は、いっそうはなはなだしいという意味。早起きして見ようと思っているうちに、「朝顔の花」はしぼんだのだった。露よりもはかないものだなあ、とため息をつく姿が想像される。

     けれども、作家澁澤龍彦は、作者好忠は「まさか本当に枯れたと思っているわけではないだろう」、かえってそこに「ユーモラスな感じが出ていて、おもしろい」と解釈している。花を愛【め】でる風雅な心こそ、和歌の題材にふさわしかったのだろう。

     そんな、花にまつわる澁澤のエッセーと、古今東西のオールカラーの植物画とを組み合わせた「フローラ逍遙」は、うっとりと見とれてしまう画文集である。

     チューリップ、ライラックなどなじみの花々が、詩や和歌、俳句などをちりばめて華麗に解説され、見ているだけで楽しい。けれども、折々、戦中戦後の実体験が盛り込まれており、はっとさせられる。

     澁澤は、1928年、東京生まれ。戦時下が青春のただ中だった世代である。この「朝顔」の項でも、小学校で「ヒマ」という植物の種をもらい、「飛行機エンジンの潤滑油」にもなる「ヒマシ油」にするため、さかんに増やすことを命じられたと、苦々しく回想している。

     そんな経験があってこそ、純粋に花を愛でる心を歌った掲出歌にひかれていたのかもしれない。澁澤は87年没。享年59。

    (2015年5月3日掲載)

  • 25種の花とその思い出。
    異国の神話から身の回りのお話まで、とても幅広く短く纏められています。花の絵もたくさん載っているので、説明文の通り小さな博物誌です。

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フローラ逍遙 (平凡社ライブラリー)の作品紹介

水仙・椿・薔薇・コスモス…「龍彦の国=ドラコニア」に咲く25の花々を描いた、生涯の最期を飾る優美にして閑雅な博物誌、東西の植物画75点をオールカラーで収録。

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