スピノザ (平凡社ライブラリー)

  • 平凡社
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582764406

感想・レビュー・書評

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  • 國分功一郎さんが自身の訳書、クレア・コールブルック『ジル・ドゥルーズ』 (シリーズ現代思想ガイドブック) の解説にて、ドゥルーズ最初の一冊としてお勧めしていた本。

    うろ覚えだが、國分さんはその解説の中で次のようなことを言っておられたと思う。そして、これがこの本の印象にぴったり当てはまる。

    「たとえばドゥルーズがカントの哲学について語るふりをして、自分の思想を語っていたとしたら、そのカント論は不正確なものだといわざるを得ない。しかしドゥルーズの特異なところは、それが優れたカント研究でありながら、同時にドゥルーズの思想としか呼びようのないものを語っていることである・・・」

    ところでドゥルーズは教師としても優れた人だったようで、本書もとても丁寧に書かれている。難解な思想家としてのドゥルーズ、というイメージとは少し違う、堅実な哲学史家としてのドゥルーズ。少なくとも本書では、概念もレトリックも訳わからん、ということにはなりませんでした。

    ちなみに、スピノザに関しては上野修 著『スピノザの哲学』(講談社現代新書)がよかったです。

  • ドゥルーズによるスピノザ入門。ドゥルーズの本は読んだことはないのだが、先入観で難解な哲学者という印象を持っていたので理解できるのかどうか不安ながら読んでみたところ、文章は思いの外、平易だった。生涯の解説ではスピノザの破門についての情報が多く、当時のユダヤ人社会の様子がよく説明されている。領土を持たない民族の難しさはアーレントの本を読んでいるときにもあった問題だ。思想についての解説は倫理と道徳、スピノザにとっての悪についての説明に焦点が当てられていた。第5部でのスピノザの思想の変遷についてが興味深く、なぜ「知性改善論」が未完で終わったのかについての考察にドゥルーズの研究者として側面を見ることができる。第6部では途端に饒舌な文章になり、これが本来のこの人の語り口なのだろうなという片鱗をみた気がする。回りくどい文章ながらもドゥルーズのスピノザに対する愛を感じることができる。本書を通して印象的だったのはニーチェを何度か引き合いにだしていること。「難解な哲学者」という印象は少し和らいだので、別の出版社から出ているドゥルーズのニーチェ解説も読んでみようと思った。
    この本のメインはあくまでも「エチカ」の概念解説だと思うのだが、これについては原文を読みながら改めて時間をかけて取りみたい。

  • 『ミルプラトー』出版直後のドゥルーズのスピノザ解説書。スピノザの生涯、道徳、善悪の前提を下地に、『エチカ』の概念を丹念に解説していく。非常に読みやすく、スピノザ哲学を理解できるほか、それが『アンチオイディプス』によって現代価値に置き換えられていることがわかる。

  • スピノザ―実践の哲学
    (和書)2009年04月30日 21:53
    2002 平凡社 G.ドゥルーズ, 鈴木 雅大


    なかなか読み易かった。頭の中で柄谷行人の書いていたことと照らし合わせて読んでみました。そうするととっても読み易い。まだドゥルーズの作品は少ししか読んでいないから分からないけど、柄谷行人はカント言う啓蒙というものが明確に現れているけど、ドゥルーズはどうなのかなっておもっています。どうなんだろう?捕らえ所が無い感じがするんだよね。わざと書いているんじゃないかと思うぐらいです。それとも僕の勉強不足か。でもこの作品は良かった。

  • 四章は読まなかった
    ドゥルーズという名前だけで恐れてたけども、思ってたより読める
    スピノザの用語はある程度理解しておくべき、というか、そのために四章があるのか

  • 第4章の『エチカ』主要概念集の一部分が難解ではあったが、全体としては具体例や絡まった紐を解くような説明のおかげで掴みやすく感じられた。ボリュームとしては『ニーチェ』よりもあるがその分に十分な解説がなされていて、個人的には、こちらのほうが値段に対し特をした心証。

  • ありてあるものの只中へ、現代性としての文学性の附与、それは倫理か。

    主要概念集もじっくりと向き合えば非常に有用となろう。

  • 資料ID:W0169621
    請求記号: 135.2||D 55
    配架場所: 本館1F電動書架A

  • 本書は、1981年にG.ドゥルーズの著作「Spinoza:Philosophie pratique」の全訳である。

    冒頭、スピノザの著作に出会った男たちの会話から始まる。
    男は言う「あんな思想にぶつかったら、誰だって魔女のほうきに乗っかかったような気になります。」と。
    これは、マラマッドの「修理屋」という小説の引用なのだそうだ。
    上手い。実に上手い導入だと思う。
    スピノザを知る者なら、男の言う言葉の意味を知っていることだろう。
    僅か2頁足らずの引用なのだが、この小説を読んでみたい。そう思ってしまった。

    第一章「スピノザの生涯」で語られるスピノザ像は、嘲笑や軽蔑をもろともせず、自らの信じる道をただひたすらに歩み続ける、孤高の勇者を思わせる。一番最初に私が受けた印象に近いものがあった。

    第二章、第三章は、善悪について。

    第四章は「『エチカ』主要概念集」となっている。これは『エチカ』とともに読み進めるのが正しい使い方なのだろう。最初脈略のない構成に多少困惑してしまったが、途中で50音順だと気づいた。しかもかなり頁を進めてからだった。なんとも恥ずかしい限りだ。

    第五章、第六章、おそらくここが、ドゥルーズが最も語りたかった部分だったのだろうと感じた。だが、私がどれだけ理解できたのか怪しいものだ。まだまだ勉強不足ということだろう。

  • 「様態」という概念。

    第4章、旧版から新版になる際に章として格上げされた第4章「『エチカ主要概念集』」は、拾い読みです。

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著者プロフィール

(Gilles Deleuze)
1925年生まれ。哲学者。主な著書に、『経験論と主体性:ヒュームにおける人間的自然についての試論』『ベルクソニズム』『ニーチェと哲学』『カントの批判哲学』『スピノザと表現の問題』『意味の論理学』『差異と反復』『ザッヘル゠マゾッホ紹介:冷淡なものと残酷なもの』『フーコー』『襞:ライプニッツとバロック』『フランシス・ベーコン:感覚の論理学』『シネマ1・2』『批評と臨床』など。フェリックス・ガタリとの共著に、『アンチ・オイディプス』『カフカ:マイナー文学のために』『千のプラトー』『哲学とは何か』など。1995年死去。

「2021年 『プルーストとシーニュ〈新訳〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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