コルチャック先生 決定版 (平凡社ライブラリー こ 15-1)

著者 :
  • 平凡社
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582765403

作品紹介・あらすじ

一九四二年夏、自らに差し出された救済の手を拒み、子供たちとともにトレブリンカ強制収容所に消えたヤヌシュ・コルチャック。医者にして作家であり、そして教育者であったポーランドのユダヤ人の苛烈な生涯は、戦後六十年を経た現在も、私たちの心を揺さぶる。「子供の権利条約の精神的な父」と讃えられる、その先駆的な人権思想を明かす傑作評伝。

感想・レビュー・書評

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  • 2005年時点では、決定版だったろう。
    それから19年。

    最後の行進については、塚本の論考がある。
    この本に書かれていることは幾分脚色されているのかも知れない。

    そのようないくつかの咎はあるかもしれぬが、批判的に読み解く限り、非常に貴重な本である。

  • コルチャック先生の名前だけは知っていたが、恥ずかしいことに苛酷な事実をまったく知らなかった。
    トレブリンカでもコルチャック先生と200名の子供たちは、どんなにか辛い日々を過ごしたのだろうか。
    日露戦争の影響も興味深い。

  • 第二次世界大戦下のポーランド。
    多くの悲劇の舞台となったトレブリンカ強制収容所。特赦を断り、自らが育てた孤児たちとともにガス室に消えたヤヌシュ・コルチャック先生。医師、作家、教育者。

    以前、赤羽末吉さんの本で、国際コルチャック賞を受賞したときのことに関連して、この人のことを知った。

    恐怖におののきながら、その苛烈な人生を知らねばならぬと思った。

    誰かのために身を捧げるというのは嘘だ、とコルチャック先生は言っていた。
    「トランプに、お金儲けに、女性に、競馬に夢中になる人がいるように、私は子どもを愛する。私は身を捧げるようなことはしていない。子どものためにしているのではなく、自分のためにしているのです。
    「犠牲的行為」という言葉に信をおくべきではありません。それはしらじらしい嘘なのです。」

    旗を立て、子どもたちを率いて、痩せこけた老人を先頭に、整然と“最後の行進”を行い、トレブリンカへ向かう貨車へ去っていったのだと言う…。

    戦後、ドイツのヴァイツゼッカー大統領は「現代の英雄は誰か」とのインタビューの答えて、
    「女性では第二次世界大戦中、そして戦後の苦難の時代を乗り越え、生きてきた母親たちであり、男性ではヤヌシュ・コルチャックである」
    と述べているのだそうだ。

  • コルチャック先生の生い立ちから、作家活動、孤児院での子どもたちとの共同生活、そして教育理念まで、コルチャックを知るための初めの一冊。

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著者プロフィール

早稲田大学文学部助教授。専門はエジプト学。著書に『ものの始まり』(岩波新書)『エジプトの考古学』(同成社)、訳書に『黄金のツタンカーメン』(原書房)『パピルス』(学芸書林)など多数。

「2005年 『古代エジプト文化とヒエログリフ~新装普及版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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