- Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582767087
作品紹介・あらすじ
一九六〇年代以降、物象化論に立つ思想家としてこの国のマルクス主義理論をリードした著者が、『資本論』の示す哲学的新地平を価値論において解く。価値とは人間労働が生産物に凝固したものか?あるいは商品交換のなかで定まる価格同然のものか?この対立を端的に乗り越え、社会的分業の協働連関態こそが、個々の商品を価値として通用させる所以を解き明かす。増補版の待望の再刊。
感想・レビュー・書評
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哲学/認識論系の廣松渉の著作を数冊読んできて、ここでマルクス主義者としての彼の書物に挑戦してみた。
先に読んだアルチュセール『マルクスのために』なんかよりはずっとわかりやすく、興味深かった。
資本論の初版と改版との比較、マルクスをめぐる多数の論者の文章の引用とその批評など、精細をきわめる内容で、マルクス主義に疎い私にはついていきがたい部分もあるものの、著者の行論をたどっていくうちに、マルクスの「価値論」の重たさが、なんとなくわかったような気がする。
引用しておいた文章は、音楽の善し悪しに関する問題にも適用できるように思えて、注意をひいた。が、ここで私は廣松渉氏に完全に同意するものではない。
「総社会」なるものは存在しない、それは「あるかのように言われている幻想」にすぎないのではないか、と私は考える。間主観性が可能になってくるのは、現在では社会の一部をなすコミュニケーション空間、何らかの「枠の内側」にすぎず、全主体の総体などという括りじたいが不可能になっているのではないだろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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