呪の思想 (平凡社ライブラリー)

著者 :
  • 平凡社
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  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582767339

作品紹介・あらすじ

三千三百年前、漢字はなぜ生まれたのか。漢字は神への祈りのために生まれた。神へ歌を捧げ、舞を捧げた。その物語が「歌」「舞」という文字に秘められている。白川静をこよなく敬愛する梅原猛が原初の文字に封じこめられた古代人の心について聞き、とことん語り明かす、東洋の精神にせまる巨人対談。

感想・レビュー・書評

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  • 白川静さんの本は何冊か読んだが、その膨大な学識の上澄みの一部を本のちょっぴり教えて戴いたというところ。
    本書は白川先生の教えの理解の整理になった。

    漢字を通じて語る古代中国の国や民俗。殷は酒池肉林とか、羌族を犠牲にしていたとか、悪いイメージが強かったのだが、日本の文化に繋がる処があるなど、意外に思うところが多かった。かえって周は特段の神話を待たず、天命を云いだしたなど、合理的というか変わった民族だった様。

    白川先生が解き明かした、漢字は古代の人と神の交信記録という学説は、あまりに画期的なものだった。そして先生の説いた孔子の実像もまた衝撃的だった。それもこれも深い古代中国への理解と知識に裏打ちされているので、白川以前の漢字や孔子論がすっかり色あせたものになっている。
    孔子と弟子とのやり取り、弟子一人ひとりの人間を見ないと論語は判らないと云う梅原先生の白川孔子学への解説は確かにそうだと納得した。

    最後は、詩経。梅原先生が読者の為に入門的な数編を白川先生にレクチャーして貰うと云う内容。万葉集への言及も多い。
    「明日よりは若菜摘まむと標めし野に昨日も今日も雪は降りつつ」
    春の草摘みがしたいなあ、という明るい歌ではなく、神への誓約が果たせない、という自分の運命に暗澹とする歌だとのこと。こういうことが判ってしまう人なのである。
    詩経も万葉集も大きな社会変化の時代に生まれている。白川先生ならではの指摘。こういうことを言った人がいただろうか。
    今回も白川先生の見識に触れ、たっぷり圧倒された。

  • 歴史・哲学を語らう感じで、白川氏と梅原氏の対談が進んでいく。
    漢字という文字を通して、殷、周及びそれ以降、そして
    日本とそれぞれ側面から習慣が語られ、非常に興味深い。
    2人が話している内容は非常に難しいはずだが、研究し尽くして
    いる2人から出てくる言葉は非常に分かりやすく、古代中国や
    甲骨文字等、あまり詳しくない私でも理解しやすく、真に頭の
    賢い人はバカでも分かるように説明出来るというが、本当に
    その通りだと本筋とは別の所で関心してしまった。
    まぁ、またそれに比べて○○評論家と称してマスコミに出てくる
    方たちの分かりづらい説明は本当に失笑を禁じ得ないと
    若干の皮肉。いやいや自分も社員への指導で、同じことに
    なっていないかと慌てて振り返る。色んな意味で勉強になった。

  • 白川静センセイと、梅原センセイの対談本。この二大巨人の対談というだけでも、萌えますが。歴史のダークサイド、漢字のなりたち、そうして、怨霊系にご興味のある方は、覗いてみてください。それから、いろんなもの手が伸びれば、お二人の術中。さて、あなたのお名前の、漢字の本当の意味は?

  • 対談という形式上、色々なトピックをつまみながらという展開であったが、良く知らなかった孔子の実像の話や、古代中国とアイヌの共通項である縄文文化、その文化が弥生時代になるとなくなる話など大陸から紐解く古代日本の様子が面白かった。中でも、歌はすべからくそれ自体が呪いであり、花が綺麗だ と歌うことで花の美しい生命力を取り入れて病を治癒させる呪術であったことが非常に興味深い。漢詩も韻を踏み始めることによってリズムが生まれ、楽器とともに演奏されていたようだ。逆に押韻前の詩はリズムのない歌唱会のようなスタイルであったという。 これらと青銅器を呪術として山と平地の間に埋めていたことなどなど、境界から色々なものが生み出されていたのは古代から、ということがとても面白かったのでトピックごとに別の本で深掘りしてみたくなる。
    古代中国で神話を持つ殷の国に神話を持たない周の国が勝利したが、神話を正当性の拠り所にできない周は天命を得たと主張した。天命は徳のある者に下る、と。 今も昔も人は自分の正当性が欲しいし、儒教で云う徳を積むことの源流がここにあるのはすごい。日本も儒教思想根深いと思うので。

  • 読み終えた「回思九十年」がブグログに登録されていなかったので、代わりに昔読んだ本書を登録しておきます。

    同じ対談をまとめた本だが、やはり本書の方が3日間ぎっしり対談している分内容の厚みが違う。「回思九十年」は仕方ない事とはいえ、対談集なので内容が被る部分が多い。只、白井晟一を始めとして江藤淳や粟津潔、石牟礼道子と対談しているのは面白かった。

    「回思九十年」はLVDbbooksにて購入。

  • 漢字が生まれた背景には呪術的な社会の共通認識があったと言う。白川静さんのさんの漢字学の根っこに触れることができたような気がする。

  • 這本對談集意外地有趣,主要是論及古代中國也有非合理主義的因素,商的時代正是這樣的時代,而商有很多神話都是綜合其擊敗的族群。周走合理主義路線,這些神話就一一散逸(留在山海經、楚辭裡),周沒有神話只好拿廣義的天命來當自己獲權的根基。殷商是山東龍山文化那邊的民族,是沿海民族所以有紋身的傳統,周人是西邊的遊牧民族內陸沒有紋身的傳統。周之所以打敗商是因為沿海民族叛亂,周趁商去征討時趁虛而入。日後商的後人就是宋人(每次出現蠢事都要是宋國)。商也會祭祀手下敗將的其他神,這個性格和日本是一樣的,日本神社裡面也很多客店客神都是被打敗的神。而裡面提到詩經本來是樂師所唱搭配音樂,其中也具有呪術性質,例如採山菜(祈願心願成就),這點和萬頁集很像。此外梅原也有提到日本自古以來的文學就缺乏政治性和社會性(而他認為其實文學不能脫離這些),不像詩經裡面有碩鼠,十月之交直接針對政治針貶,這也成為日後中國文學的一脈。

    另外比較有趣的是白川的孔子塑形,儒家的儒字本來是人在祈雨,下面的而本來在象形文字中是沒有髮髻的人形(有髮髻的人是夫,有更多髮髻就是妻),儒來就是求雨之人,帶有巫祝性質。此外,禮記裡面有三分之二都是葬禮,所以他提到孔子其實是葬儀屋(所以墨子裡才會提到只要有錢人家辦喪事,儒生就會出現),自小出身微賤(孔子自己也說少時微賤多學鄙事)是不足以綁髮髻的族群,家柄並不好,也沒有爸爸,滿腔改革熱血卻一直失敗有血有肉的人。雖然後人把儒家的合理主義本身放大,但白川主張並不是這樣,就算是子不語怪力亂神,其實背景是孔子生病時子路找了一些巫祝來祈禱,孔子覺得沒必要,說他自己也是這行飯的。此外還有提到孔子的宿敵陽虎(陽貨),他去哪國,孔子就只好閃開那國(陽貨送蒸豬來,孔子還特地挑他不在家的時候去拜謝)。孔子想去晉,陽虎已經先去卡位,所以孔子才會說天命不讓他進去。在他的詮釋下孔子是個血肉之軀,是個因材施教的有趣存在,不擺老師的架子(可以直接唱詩給學生聽...)。而墨家就是受刑的工匠集團,是一群神祕主義集團,也是儒家的死對頭。道家則是提到其實是先莊後老,莊子還停留在很多神話的元素,老子的部分則是有人開始系統性地思辨與整理。

    此外,第一章提到的文字也饒富興味,提到需要統治外族才會需要文字,而文字並不是像現代人想像的是為了人與人的溝通,很多時候是為了和神明溝通而發明出來,埃及金子塔裡的象形文字和埃及人真正在用的契約上的文字也不一樣。談到甲骨文也可以看出古代中國的呪術性質,例如,道這個字其實是拿著頭在走,走出自己的支配圈時的御祓い,邊字古字其實是人體橫躺在台上,很像原住民的骷髏棚,這也是呪術的一種,用敵人的頭顱來魔除け。這些都還留在商人的文化之中,京字其實就是埋屍之處,以前是把異族的屍體全部填入牆內或埋葬來驅邪,將其身首異處以免在叛亂,所以平將門也是頭在京都身體在關東(深田明神似乎是身體明神)。

    一直以為中國都是合理性格,然而發現殷商與日本古代的共同之處,饒富興味。最有趣是白川的孔子像。有機會想要拜讀這本有趣的書。

  • 呪については極めたいと思っている、、、

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    3300年前に生まれた漢字は、人が神の力を持つための手段だった! 白川静をこよなく敬愛する梅原猛が原初の文字に封じこめられた古代人の心について聞く、東洋の精神にせまる巨人対談。
    http://www.heibonsha.co.jp/book/b160924.html

  • 歴史
    哲学

  • 梅原さんが熱心な聞き役として、白川さんのたくさんの引き出しを開けてくださり、テンポよく読める楽しい対談でした。

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