職人歌合 (平凡社ライブラリー)

著者 :
  • 平凡社
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本棚登録 : 77
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582767636

作品紹介・あらすじ

たとえば、番匠と鍛冶、壁塗と桧皮葺、あるいは医師と陰陽師、巫女と博打…、道々の者らが番(つがい)となって、歌を作り、その優劣を競い合う-日本の中世には、そんな趣向で、絵をもそなえた、数種の「職人歌合」がある。乏しい史料のうちに非農業民の世界を掘り出しながら、稲作・農業偏重の日本史像を根底からとらえなおした網野史学のエッセンスが、この特異な史料を中心軸に、平易に語りだされる。新鮮な問いにあふれた中世世界。

感想・レビュー・書評

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  • 中世の庶民の職業にどのようなものがあったか。歌合の記録から探ります。ドイツのマイスタージンガーと同じような系譜ですが、日本の場合には貴族が職人に仮託して作歌した。そしてそれは貴族層の職能民に対する強い関心から来ているとのこと。日本の当時の社会構造を深く読み解いていく著者の視点はいつも素晴らしいです。遊女がかつては落としめられた存在ではなく、14世紀頃までは宮廷とも近く、文化の担い手だった!日本の女性が文字を読み書きしたという世界でも特筆すべきレベルの知性であっただけでなく、自立性を備え、財産権まで持っており、高い社会位置にあったということは驚きでした。確かに枕草子は社会的な目をしっかり持っていた女性の書いたものです。百姓の中にかなり多数の非農民がいたという主張はいろいろな書物の中で繰り返されてきたものです。

  • 積読消化。
    岩波市民セミナーの講演に手を入れて収めたもの。そのせいか読みづらく、おそらく読みづらいことを分かった上で紙面上部に小さい見出しをつける工夫はしてあるけど、追うのに難渋した。

  • 141108 中央図書館
    職人歌合というのは、知らなかった。中世以降、分化が進んだ様々な職能をもつ「職能民」についての講演記録。「道々の者」が、社会の中でけっして小さな役割に過ぎないなんてことはなかった。ビビッドなLIFEがそこにあったということだ。

  • 百人一首がやりたくなりました。

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著者プロフィール

1928年、山梨県生まれ。1950年、東京大学文学部史学科卒業。日本常民文化研究所研究員、東京都立北園高校教諭、名古屋大学助教授、神奈川大学短期大学部教授を経て、神奈川大学経済学部特任教授。専攻、日本中世史、日本海民史。2004年、死去。主な著書:『中世荘園の様相』(塙書房、1966)、『蒙古襲来』(小学館、1974)、『無縁・公界・楽』(平凡社、1978)、『中世東寺と東寺領荘園』(東京大学出版会、1978)、『日本中世の民衆像』(岩波新書、1980)、『東と西の語る日本の歴史』(そしえて、1982)、『日本中世の非農業民と天皇』(岩波書店、1984)、『中世再考』(日本エディタースクール出版部、1986)、『異形の王権』(平凡社、1986)、『日本論の視座』(小学館、1990)、『日本中世土地制度史の研究』(塙書房、1991)、『日本社会再考』(小学館、1994)、『中世の非人と遊女』(明石書店、1994)。

「2013年 『悪党と海賊 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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