- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582767636
作品紹介・あらすじ
たとえば、番匠と鍛冶、壁塗と桧皮葺、あるいは医師と陰陽師、巫女と博打…、道々の者らが番(つがい)となって、歌を作り、その優劣を競い合う-日本の中世には、そんな趣向で、絵をもそなえた、数種の「職人歌合」がある。乏しい史料のうちに非農業民の世界を掘り出しながら、稲作・農業偏重の日本史像を根底からとらえなおした網野史学のエッセンスが、この特異な史料を中心軸に、平易に語りだされる。新鮮な問いにあふれた中世世界。
感想・レビュー・書評
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中世の庶民の職業にどのようなものがあったか。歌合の記録から探ります。ドイツのマイスタージンガーと同じような系譜ですが、日本の場合には貴族が職人に仮託して作歌した。そしてそれは貴族層の職能民に対する強い関心から来ているとのこと。日本の当時の社会構造を深く読み解いていく著者の視点はいつも素晴らしいです。遊女がかつては落としめられた存在ではなく、14世紀頃までは宮廷とも近く、文化の担い手だった!日本の女性が文字を読み書きしたという世界でも特筆すべきレベルの知性であっただけでなく、自立性を備え、財産権まで持っており、高い社会位置にあったということは驚きでした。確かに枕草子は社会的な目をしっかり持っていた女性の書いたものです。百姓の中にかなり多数の非農民がいたという主張はいろいろな書物の中で繰り返されてきたものです。
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積読消化。
岩波市民セミナーの講演に手を入れて収めたもの。そのせいか読みづらく、おそらく読みづらいことを分かった上で紙面上部に小さい見出しをつける工夫はしてあるけど、追うのに難渋した。 -
141108 中央図書館
職人歌合というのは、知らなかった。中世以降、分化が進んだ様々な職能をもつ「職能民」についての講演記録。「道々の者」が、社会の中でけっして小さな役割に過ぎないなんてことはなかった。ビビッドなLIFEがそこにあったということだ。 -
百人一首がやりたくなりました。