高校生からの古典読本 (平凡社ライブラリー)

制作 : 岡崎 真紀子  千本 英史  前田 雅之  土方 洋一 
  • 平凡社
3.88
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本棚登録 : 57
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582767766

作品紹介・あらすじ

古事記や源氏、平家や太平記、芭蕉、西鶴の有名どころから、教科書に載らないちょっと変なもの、また近代の透谷や小波、子規、朔太郎まで、36の古典の最良部分を原文で読んでみる。嫉妬で指が蛇になる女の哀しみを、貴人の前で排便する高僧のヲコな気高さを、作品の深みをとらえてみせる独自な読み方を提示して、古文読みの楽しさを伝授する、日本古典への最良の手引き。

感想・レビュー・書評

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  • 『源氏』や『枕』、『蜻蛉』に『平家』『雨月』といった、有名な作品とともに、増基法師の手記『いぬほし』とか、説経節のテクストの『さんせう太夫』など、珍しいものもある。
    散文だけでなく、韻文も。
    時代は古代(古事記)から、正岡子規までと幅広い。
    いずれも公刊されているテキストから採られているので、読もうと思えば自分で探して全編を読むことができる。
    そういうものを特に選んだのだろうと思う。
    作品解説、原文、そして編者たちの解説・解読と、最後に現代語訳という構成。
    全てのコーナー合わせても、一つの作品につき、10ページ弱といったところ。
    あとちょっと読みたいなあ、というところで終わる。
    場面の選び方と、絶妙な長さがいいのかもしれない。

    一度読んだはずなのに、『雨月物語』の青頭巾の最後の場面などは、やっぱり引き込まれた。

    ただ・・・自分でその作品全編を読めるかと言ったら・・・やはりまだ尻込みしてしまう気持ちはぬぐえないなあ。

  • 大学生にも役立つ,教科書に掲載されていない作品がのっていたことも良かった。解説がおもしろい

  • 古典はゆっくり読まないと飲まれてしまいます。古典となるような作品には、良し悪し抜きに魔性を帯びていると思います。魔力とでも言うのか。
    本著は四人の国文学者が、様々な日本の古典作品の原文をひっぱり、現代語訳はせずに、解説をくわえて、原文に挑戦する気持ちで古典に触れてもらうことを目的とした入門書です。
    現代語訳を載せず、原文と解説を組み合わせて出来ています。訳ではなく、原文にあたることで、空気感や読むことについての面白さや難しさ、原文だからこそ見つけられる発見に気付いて欲しいということでしょうか。
    高校生からの、というタイトルですが、高校生レベルというのは私にとってはまだまだ敷居が高いです。かろうじて手が届くぐらいです。なので、十分読み応えがありました。
    この中で取り上げられた中で一番良いのは荻生徂徠の「徂徠先生答問書」です。
    徂徠の、歴史への姿勢、儒教のとらえ方、政治への応用にいたる部分がまとめて述べられています。「魔性を帯びた言葉」と、徂徠を担当した前田雅之は言ってますが、確かに読んでいて引き込まれます。
    「仏者の輩釈迦の説をば用いずして、深く法然・日蓮を信ずるごとくに候」はわかりやすいので、うわっと引っ張り込まれます。
    徂徠は、学問は文章であるといいます。いまの学問は、釈迦を学ぼうとせず、その後代にあらわれた日蓮なんかを学んでいて、みなそれは純粋ではなく、間違っている。釈迦の教えをまなぶのならば、できるだけ釈迦の原点に近いテキストをえらび、しかもそれを古代の釈迦の国の発音で読んで勉強をする。それが大事だと徂徠はいいます。
    また儒教は天下国家を安定させるためのもの、つまりは制度に過ぎないといいます。これは儒学を真理であり道徳であると信じていた時代では非常に驚きをもってして迎えられた言葉でしょう。儒教をとりあえず使えるツールとして捉えるということです。
    聖人がいたころ、天下は治まっていた。その聖人について孔子が語った。その「孔子の向こう側」にある聖人システムこそ良い物であり大変参考になる。そのシステムはどこにでもあてはまる普遍的力であり昔であろうが今であろうが関係ない。その力を学ぶために、聖人の言語(中国語など)をまなび、原典をその言語で読み、そこにあらわれた具体的わざを実践して世を統治していこう。これが、徂徠の政治学の視座でしょう。

    起源のものが絶対であり普遍的であるというのは、前近代では均しく共有されていたものだったといいます。
    この徂徠の発想を日本にあてはめて、日本の古代にも聖なる道があるとしたのが、やまとごころを問うた宣長でしょう。
    しかし、どんどんどんどん遡りすぎると、結局は、日本人はシュメール人だったとか、よくわからないところまで行き着く気がしました。
    気のせいか。

  • 紀貫之が記した仮名序は和歌の本質を述べた文章として歴史を通じて高評価をされてきた。評価というよりも若の本質に関する至高の規範、権威として君臨していた。
    若とは何か、歴史的かつ本質的に確定した起源的書物、聖典だったのが、紀貫之。
    和歌は人の心の言語化であり、普遍的であり超自然的存在かつ他者の心をも揺るがせてしまうほどの力があるもの。

  • 気軽に楽しく古典にふれよう。高校生と銘打ってあるけど大学生も大人も楽しめる。

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