物欲なき世界

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著者 : 菅付雅信
  • 平凡社 (2015年11月4日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582824810

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物欲なき世界の感想・レビュー・書評

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  • 著者の菅付雅信は、雑誌「月刊カドカワ」、「エスクァイア日本版」等の編集部を経て、「コンポジット」、「インビテーション」、「エココロ」の編集長を務めた後、独立し、現在は出版からウェブ、広告、展覧会までを編集するグーテンベルクオーケストラの代表である。
    本書は、著者が「もう欲しいモノは特別ない」と感じる人々が増えているという実感に基づき、自ら世界の実態を確認し、その後に来る世界の在り方を考察したもの。
    前半は、ファッション・ニュース・サイト「MODE PRESS」に2013~14年に連載された「ライフスタイル・フォー・セール」をベースにして、世界の高感度な人々の消費の動向が紹介されている。具体的には以下のようなものである。
    ◆“ライフスタイル”が消費のキーワードとなり、生活や生き方をテーマとしたライフスタイル・マガジンと呼ばれる雑誌やライフスタイル・ショップが急増している。
    ◆大量生産の商品ではなくカスタムメイドの商品が指向され、3Dプリンターなどのデジタル工作機械の急速な普及がそれを加速化している。
    ◆自らが所有するのではなく、他人と共有することを前提とした、ハウス・シェアリングやルーム・シェアリング、カー・シェアリングなどが急速に拡大している。
    ◆それらの結果、消費行動がコミュニティ密着型に移行しつつある。
    そして、後半では、いずれもベストセラーとなったトマ・ピケティの『21世紀の資本』、水野和夫の『資本主義の終焉と歴史の危機』のほか、広井良典の『定常型社会』など、多数の経済学・社会学の書籍を引用して、資本主義の限界とポスト資本主義の社会について考察している。
    即ち、我々が過去数十年に亘って過ごした、資本主義が機能していた社会は、「少数資本家による市場の占拠と彼らの利益の最大化という強欲な利己主義と、最大多数の最大幸福を目指す民主主義の平等主義の、対立するふたつの考えが共存する」社会であったが、その奇跡的な両立を支えていたのは、全体として経済が成長してパイが拡大する世界の存在であった。しかし、今や地球上のどこにもフロンティアは残されておらず、経済全体が拡大しない世界において、資本主義は、限られたパイの奪い合いにより、(若者の)失業率の上昇と格差の拡大を引き起こすという大きな問題に直面している。そして、それらを乗り越えるためには、「脱成長」を前提とした社会、即ち、資本主義を越えた社会を作らなくてはならないというものである。
    そして、その目指すべき社会とは、世界の一部の人々が(「資本主義の限界」をどこまで意識しているかはわからないが)既に指向している、前半に示された“物欲なき世界”そのものであり、「そこにおいて幸福は、より個人的で、かつ普遍的な価値を共有出来るものに向かう。つまり個人の思想・心情が強く含まれているが、他者とも価値観を共有できる「いい物語をもった人生」が最大の幸福になるだろう」と結んでいる。
    もともとはマーケティングの視点から書かれた著作と思われるが、後半の考察は現在の経済学・社会学の最大のテーマに切り込んでおり、タイムリーかつ内容の濃い作品となっている。
    (2015年12月了)

  • 日本の若者が物を買わない、から始まるファッション業界から世界のライフスタイル。
    アメリカと中国の消費行動の変化。
    若い世代のシェア。
    ピケティやケインズなどの資本主義の経済学まで幅広く網羅して、今後の超資本主義予想まで。
    別に物を買わないのは日本の若い世代特有の行動ではなくて、物が飽和した世界のライフスタイルそのものだよ、と言った話。

  • 1,2章ではビームスの創業者や伊勢丹の社長が御託を並べていてどうしようかと思ったが、中盤から題名に近い内容になつていく。最も重要な情報は、物々交換経済の不便さから貨幣経済が生まれたというこれまでの常識が嘘で、物々交換経済などなかったということだ。
    物欲なき世界の概要は、日用品が低価格化し、高級品はさらに高価になり、一部の富裕層しか買わなくなる。そうしたものを時代遅れと見なすようになる。人々は自分の欲望や生き方を再定義しなければならなくなる。市場の価値基準も変わり、新しい、見た目がいい、機能が多い、高級といった価値よりも、関わっている人の顔が見える、信用、信頼できる、長く使える、公益性があるといった価値に重きを置かれるようになる。しかしよくよく考えれば、後者のほうが本質的な消費だとわかる。私たちは自ら欲するモノを買っていたのではなく、本来は欲していないモノを恣意的に買わされていたことにようやく気づいたのである。
    ケインズは1930年の論文で、裕福な階級は時代の前衛であり、後続の人のために行動しているはずだが、それはほとんど失敗だらけだ。

  • 佐々木俊尚おすすめ

  • 大量生産・大量消費の経済が崩壊つつある現代の世の中をどう生き抜くか。
    DIY・シェア・リサイクルなど、ムダな消費を控え今あるものを有効に活用することがそのヒントになる。

  • 色んな人の言葉の引用や、様々な国の状況が細切れに登場して具体例はてんこ盛りだが、筆者が語る言葉が少ないように見えた。そもそもこういったトピックは語り尽くされていて、特に真新しさは感じなかった。雑誌のようにビジュアルとセットならば、響いたのかも。

  • 健康的、幸福、心地よい
    コモディティ化の反動で、個人的に好きなもの、心動かされるものを選ぶ
    何かを買う行為は、その団体や会社を支援すると表明する行為

    成長の限界(資本主義の限界)に突き当たり適応する事に関して先進国でもあると捉える?

  • 「ライフスタイルと欲求の変化」から始まり、「オープン化」「シェアリング・エコノミー」「格差」といったトピックは様々。
    「○○離れ」は悪いことでもなんでもなく、次なる社会や体制に脱皮するためのサインではないかという、なかなか興味深い一冊でした。

  • ↓利用状況はこちらから↓
    http://mlib.nit.ac.jp/webopac/BB00537850

  • 過去の読書会のうちで、評判の良かった課題本なので図書館で借りた。読む前は、ミニマリストについて語っている本かな?と思ったが、ミニマリストについての話というより、そのようなあり方が一種の流行となっている現代において、どういう広告・商品を提供するのがいいのか?これからの日本経済はどういう方向へ向かうか?について論じている本。著者が雑誌の編集長だからなのか、新聞記事みたいな文章で読みづらかったし、主張内容に目新しさは全くなかった。

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