パレード

著者 :
  • 平凡社
3.45
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  • (3)
本棚登録 : 769
感想 : 168
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  • Amazon.co.jp ・本 (84ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582829969

作品紹介・あらすじ

夏の午さがり、ツキコさんがセンセイに物語る、幼い日のできごと…。「センセイの鞄」のふたりが過ごした、遠いこだまのような時間、もうひとつの物語。「センセイの鞄」のサイドストーリー。

感想・レビュー・書評

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  • こんな日があったらなあと思い描くような、
    あったかもしれない、という儚さの中の穏やかな空気にほわっとくる。短い時間、(帯にあるように)遠いこだまを聞くような心地いい気分になれました。
    夏の午さがり、ツキコさんとセンセイが過ごした時間。
    心の傷に触れる昔話は、最も大切な人とだからできると思う。こういう何気ないことがとても幸せなのだろう。
    ツキコの前に現れた赤い天狗とか、あなぐまとか小さなおばあさんとか、それぞれ付いてるものたちは個性でしょうか背負うものでしょうか、面白いです。
    単行本の文中に描かれている赤の天狗やイラスト、文庫のほうはどうなっているのかと思った。

  • ほわっ、ふわっの一冊。

    ページを開いたとたん、ほわっ、ふわっとした空気が流れだす。

    そうめんを茹でて食べる、そんな昼どきのひとときを丁寧に掬って紡がれた物語は二人の幸せな時間が何気ない動作から会話から伝わってくるのがほんとうに心地よい。

    そして「昔の話をしてください」というセンセイの言葉にキュン。
    ここにツキコさんのことをもっともっと知りたい感情が凝縮されているようで。

    「神様」を感じさせる小学生時代のちょっと不思議な話も夢見心地で好き。

    センセイの手がぽんぽんも好き。

    ツキコさんの過去の苦味も優しく包んでくれたよう。

  • 流石川上弘美先生、少ない言葉数で時間の流れを感じ、すっとわたしの感情の中に溶け込みました。あとがきにも在りますが、読み終わった物語は実はまだ、読者の心の中で続いているのだと思います。

  • 先月読んだ
    「センセイの鞄」の
    スピンオフ
    絵本っぽい感じ

    ブックオフ名古屋栄生駅南店にて購入

  • ハードカバーの本は収納の関係でほぼ購入することはないのだけれど。
    あの『センセイの鞄』の物語と聞いて。

    センセイとツキコさんがいた時間の一部の話です。
    スピンオフでもない、その後でもその前でもない、あの流れる生活の一部。
    何とも日常で素敵な!

    こういう本を手に取ると、やはり単行本はいいなぁ!という感想が出る。
    文庫じゃこうはいかないものなぁ。
    イラストといい、上下左右の空白といい、これも含めてのお話なので。

    話自体はとても短いです。
    話だけ追えばものの5分くらい。笑
    作中の時間も食後に少し寝入ってしまって、起きたあとの寝ぼけ眼でうだうだと話をするような。
    あんな雰囲気の話。

    ページ内の上下左右の空白が、昼下がりの寝ぼけ眼ののんびりした時間を感じられます。
    のんびりゆったりとした時間で語られる何気ない話。
    センセイとツキコさんの素敵な関係性がめちゃくちゃ出てる。
    きっと付き合ってからの何気ない日常の一部なんだろうな。



    @手持ち本

  • こちらを先に読んでしまった。なんとも言えない読後感だけど、センセイとツキコの関係性は穏やかでとてもいいなと感じた。

  • センセイの鞄 を読み終えてから数年経ってこの本を読んだのだけど、なんとも言えない2人の、この何気ない会話の艶っぽさ、ずっと聞いていたい優しい時間…改めて特別な本だなぁと思う。
    天狗の話も、ふしぎだけれど、幻でもないような…そんな話をきちんと聞いてくれてツキコさんと一緒にその話の中を歩いてくれる やっぱりいいなぁ。

  • (2019/4/2読了)
    図書館でまだ読んでない川上さんの本を見つけたら、センセイの鞄のサイドストーリーでした。
    前作を読んだのが9年前なので、細かなことは覚えてないけど、ふわっとした優しい空気感は覚えてる。
    《センセイのてのひらが離れて、わたしのてのひらが淋しくなった。》こういう感性が好きなのよね。
    ドラマを観た時も、本を読んだ時も、そこにない部分を想像したり、続編にならないかなと期待したり。
    作者さんでも、ましてや自作でも、そう思うことってあるんだな。

    (内容)
    夏の午さがり、ツキコさんがセンセイに物語る、幼い日のできごと…。「センセイの鞄」のふたりが過ごした、遠いこだまのような時間、もうひとつの物語。「センセイの鞄」のサイドストーリー。

  • センセイとツキコさんが出てきてびっくりした。『センセイの鞄』の、ちいさなスピンオフ作品だったのだな。

    センセイとツキコさんの柔らかな夏の日のくだりも良かったし、ツキコさんの語る子供の頃の不思議な話も好きだった。

    何より、想定と挿絵が素敵で、本としてとても可愛くて良いものだと思った。

  • センセイとツキコさんのあいだの雰囲気がすき。
    ゆう子ちゃんとのこと、心境も少しわかる気がする。

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著者プロフィール

作家。
1958年東京生まれ。1994年「神様」で第1回パスカル短編文学新人賞を受賞しデビュー。この文学賞に応募したパソコン通信仲間に誘われ俳句をつくり始める。句集に『機嫌のいい犬』。小説「蛇を踏む」(芥川賞)『神様』(紫式部文学賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞)『溺レる』(伊藤整文学賞、女流文学賞)『センセイの鞄』(谷崎潤一郎賞)『真鶴』(芸術選奨文部科学大臣賞)『水声』(読売文学賞)『大きな鳥にさらわれないよう』(泉鏡花賞)などのほか著書多数。2019年紫綬褒章を受章。

「2020年 『わたしの好きな季語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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