ミステリと東京

著者 :
  • 平凡社
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本棚登録 : 28
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582833775

作品紹介・あらすじ

久生十蘭、中井英夫、松本清張から、島田荘司、宮部みゆき、恩田陸まで、東京を舞台とした多彩な人気ミステリ小説を糸口に、巨大な犯罪都市・「東京」を鮮やかに読み解く-。

感想・レビュー・書評

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  • 東京を舞台にしたミステリ(謎)を、東京という都市を描いた小説という切り口で読み解いている。その事により作品は、江戸-東京、山の手-下町、都市部-郊外、首都-地方といった歴史的・地理的断面を表すこととなり、作者の意図通りの、または意図とは異なった観点で再構築されてくる。
    未読の作品も多く、久しぶりにミステリを読んでみたいと思った。
    全編を通読すると、「昭和30年代主義ーもう成長しない日本」に通じる主張、無くなってしまった江戸、戦前の東京の懐かしい風景の憧憬(過去への追憶)が感じられる。

  • ミステリと東京《川本三郎》(平凡社)東京を舞台にしたミステリから「東京」を読み解く評論集。取り上げるのは島田荘司/バリー・アイスラー/宮部みゆき/戸川昌子/佐々木譲/桐野夏生/広瀬正/大沢在昌/小泉喜美子/日影丈吉/長坂秀佳/志水辰夫/乃波アサ/鈴木光司/恩田陸/小杉健治/久生十蘭/海野十三/京極夏彦/藤田宜永/藤原伊織/紀田順一郎/逢坂剛/藤村正太/篠田節子/高村薫/中井英夫/松本清張の28氏52作品。明治大正の東京から現代までの時間軸を縦軸に、上野・浅草・銀座から新宿を経て西東京へ、川を渡って神奈川・千葉・埼玉へと拡大する地域軸を横軸にして東京の姿を三次元的に浮かび上がらせるのが本著。関東大震災・東京大空襲・東京オリンピックそしてバブルを経て拡大し続ける東京は常に「普請中」の街だ。そんな常に変わり続ける街を描いた小説を取り上げることで「当時の東京」を読み取る。ジャンル的に「ミステリ」からは外れるので致し方ないが半村良が零れているのが残念。

  • ミステリの舞台として描かれている下町、山の手、多摩など数々の東京の街。「街」という視点に立ってこれらの小説を読み直してみると、新たな発見がありそうです。

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著者プロフィール

川本 三郎(かわもと・さぶろう):1944年東京生まれ。「週刊朝日」「朝日ジャーナル」記者を経て、評論活動に入る。訳書にカポーティ『夜の樹』『叶えられた祈り』、著書に『映画の木漏れ日』『ひとり遊びぞ我はまされる』などがある。

「2024年 『ザ・ロード アメリカ放浪記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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