- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582834239
作品紹介・あらすじ
父・幸田露伴に暮しかたのすべてを教わった幸田文。大切な心を取り戻す、生きた言葉28篇。
感想・レビュー・書評
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「おばあさん」露伴ほどの頭脳をしても、その母お猷様には敵わずやり込められる微笑ましい情景が浮かび何故か安堵する。お見合いで断られた時の話も成る程露伴らしい。
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背筋が伸びる文章。育ちの良さがかもし出されている。
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お嬢さんである青木玉さん著「小石川の家」もあわせて読むと、親子3代、一つ屋根の下で暮らしていた時のそれぞれの思いがよくわかる。
子が親を仰ぎ見て、大事に思い、敵わないなと思い、自分の至らなさに心を痛めながらも奮闘する。
親の方も、子に生きる力をつけさせたいと、自分のされてきた教育方法でやってみるが思うように上手くいかず、叱ったり呆れたり。
双方の気持ちがわかるためにハラハラし、もっとお互いの想いを話せばいいのにともどかしく思う場面もある。
それでも根底に流れるのは親子の愛情で、深いところで繋がっている関係を羨ましい。 -
いましめになる本
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家帰ってゴロゴロしてるだけではだめだ。
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露伴の母から、露伴に連なり、その娘の幸田文(子)、その娘の青木玉までの心様が見えてくる。
しつけ。
露伴による直々の手ほどき。
それは、空間や振る舞い、人を不快にさせない、傷付けない、驚かせないというものもあれば、人に爽快感を、福を与えるものでもあると。
露伴先生と言葉の烈しさ、気性の激しさ…はわからないけど。それを受けて立つ幸田文の負けん気も面白い。
弱っている時もある。平ったくなっていた時。
家族を病気で何人も亡くし、戦争を経験し、関東大震災も経験している。それらの経験は血肉となり、様々な価値観の基盤に入り込んでいる。そう感じる文言もいくつか出てくる。
読みながら、私自身、おばあちゃんやお母さんから教えてもらった拭き掃除、掃き掃除、障子の貼り替えを思い出したり、親戚宅に行った時の挨拶を思い出す。私もしっかり躾けられてた。
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露伴さん、面白いお父さんだったんだなぁ。文さん呼応するように面白い方だったんだなぁ。と思いました。
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例えば、心の中の蝋燭の火が何と無く頼りなげでいまにも消えそうな時...
まさにそんな時に手にして読んだ。
幸田文、実母に6歳で亡くなられて寂しい、切ない幼少期を過ごしたようである。
その切なさが、私にはこの本の全編にそれとなく滲み出ていて...そして父(幸田露伴)から掃除、障子のはりかえ...などの家事全般...を仕込まれた時の様子、叱られた時の対処法...が描かれている。もちろん大人になってからの回想であるわけで、子供の時の想いと回想、そして親愛なる父への想いが年月を経て深くしみじみとした味わいになっているのが本文からしみじみ伝わる。
哀しくもあり、可笑しくもあり、
そして子としても...哀しくもあり、可笑しくもあり...
何だろう...
切なく...
そして、父親への想い...
そんなことが、じんわりとしみわたる本だった。 -
私は露伴と文の親子関係が好きだ。本人たちはどう感じていたかわからないが、文が露伴を知らずのうちにひたすらに追っているように見える。それがとても心を打つ。ふとした出来事にたびたび父親の立ち居振る舞い、面影を見るのである。
そのさまが私にとってはとても好ましく、自分と重ねてみる。私には二親揃っていたのだが、その心持ちは幾分父親に傾いており、その分、文の想いに通じるところがある。
読んでいて一番好きなのは、掃除を伝授されるものである。親子の様子が目に見えるようで、愛おしいのである。 -
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