きんぴらふねふね

著者 :
  • 平凡社
3.80
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本棚登録 : 246
感想 : 33
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582834383

作品紹介・あらすじ

ひとり暮らしは、食べたいときに食べたいものを作って四季折々の、身近で大切な、「食」の習慣と記憶たち…最新エッセイ集。

感想・レビュー・書評

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  • とととん、と一口大に
    切りそろえられた文章は
    シャキシャキ食感が小気味良く
    ついつい
    ページを捲る手がとまらなくなってしまう。

    味付けは若干、淡白であるにも関わらず、
    食後(読後!^^;)は
    体中の隅々にまでしっかり滋養が行き渡ったかの様に
    元気になれる、
    千さんのお料理エッセイ。大好き♪

  • やっぱり石田さんの随筆はピカイチだ。
    エッセイではなく随筆といいたい。
    まずお酒が飲みたくなる、友達を誘いだして
    みたくなる、家族を思い出す、遠い記憶を
    思い出す。石田さんの文章を読むと色々な
    気持ちがふわふわっとわいてきて心地良い。

    たとえば人に関する言葉を最小限にとどめているのが
    いい。この人は私とこんな関係でこんな人でねっていう
    つらつらと言葉だけで説明するような描写ではなく、
    簡単な言葉でその人のことを表現しているのが好きだ。
    そしてその人とのエピソードも簡潔ながらとても
    はっきりと表現していて好きだ。胸の内のぐずぐずまで
    こちらに伝わってきて過去にそんな胸の内になったこと
    あるなぁとか思い出したりして読む。

    ほんと好きだな。この人。

  • 石田千さんの本を読むと、心底ほっとひと息つく。
    ぴりぴりいらいらしていた気持ちが、いつのまにか凪いでいる。
    噛んで味わうように本を読むのが、わたしがいちばんくつろぐ大好きなことだ、と思わせてくれる書き手のひとり。ものすごく好きです。
    最初の出会いは朝日新聞のちっちゃいコラムだったと思うから、見逃さなかった自分をほんとにえらい、とほめたいくらい。
    もったいないからちょっとずつ読もうと思うんだけど、秋の夜長はそれを許してくれず、もう終わりが近い。

    読み終わりました。ひとりのごはんも、だれかと食べるごはんも、そろぞれにいろんな思い出があるある。よい時間でした。

  • 変な文体だ。
    「半ズボンで、そうじをしている」
    と来る。誰がそうじをしているのか、どこをそうじしているのか、半ズボンだからなんだというのか、説明しない。?と思っているうちに今度はいきなり「百回素振りをした。」と来る。やっぱりなんだかわからない。不条理を気取っているわけではない。そういう文体らしい。読んでいるうちに慣れてきて、なるほどきっとこういう情景や説明をはしょっているんだな、と深読みするようになる。それはそれで面白い。面白いが、本を読む面白さとは違う。
    というわけで、こういう文体が気にならないひとに。理系あたまで読むとそっちが気になって、本を読むところまで至らない。
    予備知識なしに読み始めて、著者は相当年配のひとか、あるいはだいぶ昔(たとえば昭和初期とか)に書かれた本だな、と途中まで思い込んでいた。

  • 20151110読了。
    そばぼうろをかじるように、少しずつ読み進めていたら
    後半でぐわっと持って行かれて最後はなぜか涙が。
    すごい筆力。

  • 石田千さんの本は、これが2冊目。最初に読んだ「きなりの雲」で、すっかりこの作家さんのファンになってしまった。
    このエッセイも、とても綺麗な言葉とやさしい思いがあふれた本でした。クスッと笑ったり、中には涙したりする短編がつまっていて、ほっこりする本です。
    お料理やお酒、競馬、お花見、飲み屋さん、商店街、仕事でのお付き合い、子供の頃の話などどこにでもあることが書かれているだけなのに、この人の文章を読むと固結びにした心がほどけるよう。

  • はじめての、石田千。

    最初、なんだか、たくさんある食エッセイとくらべても
    とくべつ、ぱっとしないなあ、と思って読んでいたのだけど。

    食の好みが、合うからか・・・

    家の近所にある、常連ばかりの小さな居酒屋で
    ぼんやり飲んでいるような、居心地の良さに、いつしか
    酔っていきました。

    そうなると、
    そっけないみたいな、語り口も、無骨なリズムも、
    すべて好きに思えて、もったいないので、
    ちびちび、ちびちび、読みました。

  • おそらく自分では絶対にそう思わないだろうことを引き寄せてみることができるだけの文章力。
    ぬか漬けの先生の話。こういう知り合いがいるといいだろうなあ。

  • あたたかいんだけど、どこかになんだか、「しん」とした寒さのある1さつ。
    冬の始まりから冬本番にぴったり。
    やっぱり石田千さんのエッセイはいいなぁ。
    何でもないことでも、
    どうしてこんな言葉が出てくるんだろう
    どうしてこんな表現ができるんだろう
    と、いつもうっとりしてしまう。

    2009年5月  平凡社
    装幀:有山達也

  • 石田さんのエッセイ4作目読了しました。
    今回は表題を含めて食に関することが多く書かれています。
    りんご、ドレッシング、きんぴら、トマト…石田さんの
    食べ物に対しての思いがひしひしと伝わってききたなあと
    思いました。
    やさしいクリーム色の表紙も素敵です。

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著者プロフィール

石田千(いしだ・せん)
福島県生まれ、東京都育ち。國學院大學文学部卒業。2001年、『大踏切書店のこと』で第1回古本小説大賞を受賞。「あめりかむら」、「きなりの雲」、「家へ」の各作品で、芥川賞候補。16年、『家へ』(講談社)にて第3回鉄犬ヘテロトピア文学賞受賞。16年より東海大学文学部文芸創作学科教授。著書に『月と菓子パン』(新潮文庫)、『唄めぐり』(新潮社)、『ヲトメノイノリ』(筑摩書房)、『屋上がえり』(ちくま文庫)、『バスを待って』(小学館文庫)、『夜明けのラジオ』(講談社)、『からだとはなす、ことばとおどる』(白水社)、『窓辺のこと』(港の人)他多数があり、牧野伊三夫氏との共著に『月金帳』(港の人)がある。

「2022年 『箸もてば』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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