ぼくの道具

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著者 : 石川直樹
  • 平凡社 (2016年1月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582836974

ぼくの道具の感想・レビュー・書評

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  • ヒマラヤの8000m級等を登っている冒険写真家?の筆者が、K2挑戦時を中心に道具を紹介。 Black DiamandとNorth Faceを中心とした装備。
    道具に対する筆者なりの見解や、ベースキャンプでのすごし方や排泄の事等登頂記では触れない事柄が面白い。極限環境での写真が写ルンですとは、実践的。
    テント自体に触れてないのは、登山隊が用意し自分で選ばないからか?

  • 使い捨てカイロというのがある。ごぞんじ、中につめた鉄粉が空気にふれることで科学反応をおこし、発熱するカイロである。
    このエッセイを読んでいるあいだ、たえずこの使い捨てカイロのことが頭に浮かんでいた。読むとなにか脳内が触媒にふれたように化学反応がおき、文章を書きたくなるからだ。

    北極、南極、チョモランマなど極限の環境で活動する写真家が自分の命をまもっている道具について書いた本といえば、ストイックといえば聞こえはいいが、飾りもなければおもしろみもない文章か、たんなる商品の宣伝コピーになりそうなものだ。

    だがそんな予想は「まえがき」から裏切られる。使い込んだ道具、かっこいい「ぼくの道具」に固執せず、基本的には最新の技術がつかわれた製品がいのちを守るためには向いていることがいきなり説明されるのだ。だからといってお高いギアの宣伝コピーにもなっていない。犬ぞりとスノーモービルの喩えをひいて「最新がベストとはかぎらないこともある」から「その場その場でいちばん適切なものを選べ」と諭してくれる。

    つづいて作中紹介される製品も冒頭での説明のとおり、最新と使い古しが混在したじつに愉快な内容だ。アパレルは特定企業のものが多いが、宣伝のためではなく「極限環境でいのちを守る」という経験から信頼するメイカーがしぜん収束した結果であろうし、古くから繰り返し使っている古道具についていえば、子供のころのエピソードを交えて紹介されるようなもうどこでも売っていない年季物だったりする。たとえば一足10万円の最新登山靴を紹介するかとおもえば、レンズフードのひしゃげた、失礼ながら聞いたこともないようなメイカーの古いフィルムカメラと「写ルンです」で撮影していることを職業・写真家が明かしたりもするのだ (信じられますか、写真家が「写ルンです」で撮影している、ですぞ?)。
    そこには名だたる一眼レフメーカーの宣伝をして稼ごう、といういやらしさがまったくない。「新旧ごちゃまぜ」「適材適所」の実践がじつに「ぼくの道具」としてリアルにつたわってくる。読者はこれらの道具とそれについてかいたユーモラスな文章を触媒として極限環境に冒険にでかけたかのような発熱 (あるいはその不在) をおすそ分けしてもらい、「ああなんだかこれを読んでいると文章を書きたくなってきたぞ」という化学反応を起こしてしまうことになるのである。

    私はこの本を読んだ直後、作中で紹介されていたポメラがほしくてしかたがなくなり、秋葉原にいってどれどれと触ってきてしまった。PC も買えるその値段をみてその物欲はいったんしぼみはしたものの、ひょっとしてヤフオクを見てみれば古いモデルが二束三文ででているんじゃないか? とまたぞろ悪魔があまくささやいたりしている。極地への冒険旅行にでかける予定などないくせに、である。とはいえ、それがほんとうに使える道具との出会いになるとすれば、勉強してみるのも悪くはないんじゃないか、と思うのだけれども。

  • 極地や高地や僻地で生活するための知恵と
    著者の実体験に基づき
    長年使い込んだ道具や
    新たに導入された道具などが
    K2遠征の記録とともに綴られている。
    富士山にすら登ったことのない私が
    8000m級の山ではこの靴とウェア!と
    紹介されてもなんの役にも立たないかもしれないが
    いつ命を落とすかもしれない高地で
    この道具のこんなところが役に立つ、という
    実体験に基づいた道具の話は
    やっぱり面白い!
    こんなサバイバル感覚、身につけたいなぁ。。

  • 石川直樹の写真は作品ではなく記録だ。美しい写真だが、それは自然の美しさだ。彼はある種機械的にシャッターを切っているだけだ。
    しかし僕に彼の写真はアートに見える。ヒマラヤでの撮影は過酷だ。そこで彼は道具を使う。使うことは彼の独創性を発揮することであり、長年の経験知を披露することだ。そこに「絶対撮りたい」という彼の病的な創作欲が加わって生まれた写真には情念が宿る。「シャッターが凍った」時なんてもはや写真が取れないのに、彼は限界を突破しようと試みる。何と愛おしい、ピュアな想いだろう。撮れなかった写真が背後に生きているから、記録だと言い切れない。かっこいいなぁ。

  • 著者が使った道具から、K2長期遠征の様子がうかがえる。特殊な状況下、限られた持ち物、その中で少しでも快適に、ストレスを減らして過ごす助けとなるモノたち。登山なんて縁がないけれど、モノに纏わる記憶や経験を読むのは、とても面白い。

  • エッセイと「全アイテムの写真」だって。石川直樹の物撮り?楽しみだ。

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