在りし、在らまほしかりし三島由紀夫

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著者 : 高橋睦郎
  • 平凡社 (2016年12月16日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582837469

在りし、在らまほしかりし三島由紀夫の感想・レビュー・書評

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  • 三島由紀夫から詩文を評価され、
    後輩作家として寵愛されながら
    至近距離で晩年の彼を見続けていた、高橋睦郎氏。

    その氏の卓越した語彙力と詩文的表現をもって
    三島由紀夫の内側に迫る評論でした。


    三島由紀夫が考える詩と小説の違いとは、
    詩は中空に浮かび全体像が見えている楼閣であり、
    小説は地上にそびえ立つ緻密な構造の建築物であること。

    平岡少年は幼年期に、
    幼くも詩人として悟りの境地に達してしまい
    作家三島由紀夫としては
    詩という領域から散文で詩文的表現をするという
    境地に至ったこと。

    彼の本には貴種流離譚というストーリーが
    多く含まれていたこと。
    それは人生としても彼が描きたかったものだったのであろう。


    最も興味をそそられたのは
    彼の芸術家として、そして個人として
    集大成である畢生の瞬間へ至る経緯の考察だった。

    著者、高橋氏の考察する三島由紀夫その人の最期は
    彼が超自我的に歳を重ねつつ描いていった構図ではなく、
    アプリオリに彼に内在していた本能的なタナトスの結果である。

    それは思想、イデオロギーに基づく過激行動
    というよりもむしろ、
    自身のエゴイズム、ナルシシズムに基づいた
    至極の自慰行為だったといえよう。

    あくまで彼は愛国心や政治的思想の表現行為で
    自決に走ったのではなかった。
    三島由紀夫的リビドーとタナトスの
    最上級の融合的な完全昇華として
    自決を選ぶことが必然的に決まっていたのであった。

    あらかじめ絵のど真ん中へ描く割腹という題材は
    用意してあった。
    そこに衆目の真っ只中という状況、
    葉隠的な天皇、御国への奉公の死という
    道徳的な背景を後付けで付け足して描いた
    完全無欠な作品が彼の死なのであった。


    また、彼を取り巻く人間関係や
    彼のエピソードが少しずつ織り込まれていた事にも
    興味をそそらた。

    6分遅刻してくる。
    というエピソードには彼のユーモアな一面が知れた。

    神道の虚無性について、
    三島由紀夫に話したところ
    神道を日本という国と同一視して
    国のニヒリズムを彼は語った。


    日本国は古代の頃より
    言語、文化、宗教を、
    そして近現代の産業においても
    加工貿易という外から取り入れる方法を選び続けてきている。
    真のメイドインジャパンの存在しないこの国は
    まさしくニヒリズム大国といえる。

    更にはセンチメンタルでコンプレックスに塗れた
    虚弱な公威少年こと三島由紀夫が
    彼自身をも日本という国と
    同一視していたのも確かであろう。


    手元に本が無い為、
    内容がずれていることもあると思う。
    高橋睦郎氏、三島由紀夫氏の両氏には
    大変な失礼をお詫びいたします。

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