- Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582850574
作品紹介・あらすじ
プロレタリア文学といえば、抑圧された民衆の姿を描いたシリアスな文学-というのは常識にすぎない。それはとてつもなく面白く、豊饒な世界なのだ!劇的な時代を生きた平林たい子、葉山嘉樹、中野重治らが自らの生涯や体験を作品に投影することにより、あまたの強烈な表現、奇怪な物語が生み出されていった。ホラー・笑い・エロスが横溢する「忘れられた文学」を現代の眼で新たに読み直す、驚異の文学ガイド。
感想・レビュー・書評
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小林多喜二のゐた会社で働いてゐた著者が、1980年代以降『蟹工船』を読み返し、ソレが良質のホラーであるといふ知見を得て、ざっくりプロレタリア文学を読んだところ、エロはあるは痛快冒険ものはあるはと言ふすごい者であったと言ふ旨が書かれる。
普通二十世紀初頭辺りで、日本だと、娘さんはアジびらをへその辺へやるよな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
新書文庫
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2016年10月11日読了。「蟹工船」に代表される、1920〜30年代に流行した「プロレタリア文学」を「楽しむ」態度で読むことと、そのような面白い文学が現れた背景を解説する本。「労働者を啓蒙する」「面白いだけの文学は人を堕落させる」というお題目があったが故の制約と、より多くの読者を獲得するためにエログロ・どぎつい描写や波乱万丈のストーリーを語らざるをえなかった文学者たちの葛藤が、他に類を見ない強烈な作品群を生み出したということ、現代人である我々は素直にそれを「なんじゃこれ、おもしれー」と読めばいい、という話。何がプロレタリア文学で何がそうじゃないのか?も曖昧だし、とにかくこの時代は混沌としていて人もバタバタ死んでおり、文学が現実を超える面白さを生み出すのは並大抵のことではなかったのだろうなー、と文学者に同情してみたりもする。
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[ 内容 ]
プロレタリア文学といえば、抑圧された民衆の姿を描いたシリアスな文学―というのは常識にすぎない。
それはとてつもなく面白く、豊饒な世界なのだ!
劇的な時代を生きた平林たい子、葉山嘉樹、中野重治らが自らの生涯や体験を作品に投影することにより、あまたの強烈な表現、奇怪な物語が生み出されていった。
ホラー・笑い・エロスが横溢する「忘れられた文学」を現代の眼で新たに読み直す、驚異の文学ガイド。
[ 目次 ]
第1部 プロレタリア文学はおもしろい(疲れることの怖さ―プロレタリア文学はホラー小説である 江戸川乱歩の困惑―プロレタリア文学は探偵小説だった 肉欲と労働者―プロレタリア文学はセックス小説だった メトロポリスの人造人間―プロレタリア文学はSFだった 忍術小説と労働大衆―プロレタリア文学は立川文庫だった)
第2部 プロレタリア文学はものすごい(おもしろすぎる罪(明治の論争から 坪内逍遥もおもしろかった) 肉体の匂いと心の叫び―平林たい子はものすごい ドラマの自演力について―葉山嘉樹もすさまじい 強いぞ、女教師!―女性たちはプロレタリア文学を変えた)
第3部 プロレタリア文学は奥深い(「プロ文」を超える文学―藤村の『夜明け前』 志賀直哉の謎―『暗夜行路』の裏事情 ある失敗企画を追って(各派のはざまで 恋するプロレタリアートの非 海外からの刺激))
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