江戸奇人伝―旗本・川路家の人びと (平凡社新書 88)

著者 :
  • 平凡社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (257ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582850888

感想・レビュー・書評

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  • 大学時代、図書館で初出雑誌をちょくちょく見ていて、面白いな~という記憶が残ってた。
    まとめて読めるとホクホク借りた覚えが。
    今でも奥さんの謎の奇病げろげろ(多分偏頭痛持ちだったんだと思う。わかる)とか、奥さんは鯉料理は嫌い、とか、聖護がロシア外交で「うちの妻が」と話をすると受けるとか覚えてるもんな。

    絵 / 土橋 とし子
    装幀 / 菊地 信義
    初出 / 『太陽』1997年1月号から18回連載

  • 読みやすかった。ときどきクスリと笑いながら、すらすら読めた。

    江戸幕末の武士、川路家左衛門尉さんの母上への報告用記録。
    左衛門尉さんは、筆まめ、マザコン、奥さんへの愛あふれる変な人、そして家族も変な人だらけな一家。
    (でも実は左衛門尉さんは幕末の難しい外交を主導した高級官僚。)
    「かはゆきおやじには旅をさせろにはあらぬか」。
    「げろげろ」で「ごろごろ」な妻。
    表現がかわいいし、愛に満ちている。

    歴史の中の人の呼吸が伝わってきた。
    歴史嫌いな人も好きになりそう。
    この人の書いた本、もしくは江戸関連の本をもっと読みたい気持ちになった。

  • 幕末に外交官僚として活躍した川路聖謨(としあきら)の日記に書かれた川路やその家族、家来たちの奇妙なものがたりで、氏家氏はこういうものにかけては、とびきりうまいが、本書はかたりくちもなにか女性のようで、まるで奥様がたに語りかけているかのようである。川路の日記は、母親に向けて書かれたもののようで、身辺のこまごましたことを細大もらさず母親に話しかける。川路の父は、食べるものを惜しんでも子どもの教育費は惜しまなかったようで、そのかいあって、川路は立派な旗本に昇進する。その父への思いもひとしおだが、母親への愛は、いまならマザコンと呼ばれるにふさわしいものである。当時はこれがふつうだったのだ。川路の妻も夫といっしょになって義母のことを心配する。川路は、この妻の変態さや、自分たちの性生活の回数まで書くほどの筆まめで、本書は、プチャーチンとの交渉という大役を務めた幕府官僚の私生活をほうふつさせてくれる。

  • [ 内容 ]
    大人を手玉にとる当意即妙のオシャマ少女、謎の病を抱えながら“現代の紫式部”と称される奇妻、片やスパルタ、片やノーテンキと両極端の持ち味際立つ実父と養父―。
    旗本・川路左衛門尉聖謨家の面々は、いずれ劣らぬ奇人揃い!
    そしてもちろん、左衛門尉さんご本人も…。
    この父にしてこの子あり、この妻にしてこの夫あり。
    江戸人たちの愛すべき個性が炸裂する。

    [ 目次 ]
    『視聴草』の著者は記録マニア
    露姫様は悲劇の天才少女
    超絶オシャマ娘
    抱腹絶倒少女のその後
    天下の奇妻
    「げろげろ」で「ごろごろ」―良妻の一日
    奇妻は夫を活性化する
    江戸で一番長い母への手紙
    少年時代
    江戸の星一徹
    養父は洒脱な極楽とんぼ
    不思議の国、奈良
    宮様と極道
    太郎の幸
    親泣き子泣き
    猫を愛でる奉行
    エピローグ

    [ POP ]


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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • おませな女の子の話まで読んだ。

  • 歴史は平安までが面白い。武士が台頭してからはつまらない。特に江戸なんて全く持って興味もなにも持てない 幕末を除いては…と思っていた。そんな私にとってこれは 江戸時代への興味の扉を開く一冊になった。教科書に出てくるお侍さんだけが江戸時代の人間ではないのだ という当たり前の事実を教えてくれる。いわゆる変わり者、変人を集めた真面目な三面記事のよう。いつの時代も人間それほど変わらないんだよな とつくづく思う。

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著者プロフィール

氏家 幹人(うじいえ・みきと)
1954年福島県生まれ。東京教育大学文学部卒業。歴史学者(日本近世史)。江戸時代の性、老い、家族を中心テーマに、独自の切り口で研究を続けている。著書に『大名家の秘密』(草思社)、『かたき討ち』『江戸人の老い』『江戸人の性』(いずれも草思社文庫)、『増補版 江戸藩邸物語』(角川ソフィア文庫)、『武士道とエロス』(講談社現代新書)、『江戸の少年』『増補 大江戸死体考』(いずれも平凡社ライブラリー)、『不義密通』(洋泉社MC新書)、『サムライとヤクザ』(ちくま文庫)などがある。

「2021年 『文庫 江戸時代の罪と罰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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