日本の森はなぜ危機なのか: 環境と経済の新林業レポート (平凡社新書 133)

著者 :
  • 平凡社
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  • Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582851335

感想・レビュー・書評

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  • 2002年刊行。景観保全だけでない。林業の経済的側面だけでなく、環境保全・生態系保全だけでもない。さらには過疎地域の問題だけでもない。日本の林業を多面的に解読し、かつ森林保全に関する一般の通念を打破し、新たに試みられている実例(速水林業が既読済み情報か)のみらず、科学的知見を基に国内の森林業の立て直しを目指す研究者の来し方も粗描する。注目すべき視座は①森林業は木材売却だけが利益を生むものではない(間伐材利用、観光、畜産、国内の焼畑農業との関連性)、②①は歴史的なもので、1950年代に囚われるべきではない。
    ③自生する種がその山に適した種であり、人手を余りかけずに人工林を形成できる、④③のような実例を基礎づける、科学的知見・データの重視は重要、⑤国内の木材自体は高くなく、問題は加工・販売のルート。そして、木材及び森林を経済的財として、効率を高める方法論も検討課題。等々、非常に興味深い一書。特に日本的な焼畑は科学的知見と細やかな配慮に彩られている点は、全く未知の情報。

  • どうして日本の林業が衰退してしまうのか、わかりやすくまとめてあり、勉強になる。

    国産資材は高価だと思い込んでたけど、実際はそうじゃなく、システムさえ再構築されれば、国材をコストをかけずに国材を使えるのだ。そして林業の衰退が日本の森林を荒らしてるという意味がわかった。

  • この方のブログをたまに覗いてます。

  • [ 内容 ]
    伐って儲けて、育てて守る―。
    日本の森を元気にするために今、新たな林業が模索されている。
    育林、加工、流通の見直しから、都市と山村の新たなネットワークまで、ユニークな森づくりの試みに迫る。
    森を救うのは、人である!目からウロコの新・林業論。

    [ 目次 ]
    はじめに―森林と林家のためにできること
    第1部 森林危機の本当の姿(森林危機には二種類ある
    木を売らなかった林業 ほか)
    第2部  林業を環境産業に変える(間伐しなくても森は育つ
    植えなくても木は生える ほか)
    第3部 日本が変われば森も変わる(山村ファンをつくるシステム
    長期伐採権制度で森林経営を ほか)

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • amazonで買う。
    林業を調べるため。

  • 「間伐などの手入れがされず森が危機に瀕している」というのは有名な話。この本ではさらに一歩踏み込んで、斬新な提案がなされている。

  • 「森林ボランティアは森を救えない」というのが印象に残りました。
     森林保護に関心があるのはいいこと。でもボランティアでやる程度じゃ、森は変わらない…
    それならば、人の使い方を工夫すればいいと思う。好き勝手来るのを受け入れるんじゃなくて、草刈り十字軍のように人を集めて、みんなでやり遂げようとする。できるところまで楽しみでやるんじゃなくて、やるからにはやりきる。そういう姿勢で。
     後ろのほうに書いてあった、ボランティアじゃなくて経済的な面から都市の人が森林を守るというのは、今まで考えたことのない発想でした。

    紙から木が作れると知ってびっくりしました。
    でも、古紙を木材にするだけのリグニンを作るためには、きっとたくさんの木材が必要になる。
    捨てられて利用されていない木材で賄い切れるのかな、と疑問に思いました。

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。静岡大学農学部を卒業後、出版社、新聞社等を経て、フリーの森林ジャーナリストに。森と人の関係をテーマに執筆活動を続けている。主な著作に『虚構の森』『絶望の林業』『森は怪しいワンダーランド』(新泉社)、『獣害列島 増えすぎた日本の野生動物たち』 (イースト新書)、『森林異変』『森と日本人の1500年』(平凡社新書)、『樹木葬という選択』『鹿と日本人―野生との共生1000年の知恵』(築地書館)、『ゴルフ場に自然はあるか? つくられた「里山」の真実』(ごきげんビジネス出版・電子書籍)など多数。ほかに監訳書『フィンランド 虚像の森』(新泉社)がある。

「2023年 『山林王』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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