- Amazon.co.jp ・本 (201ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582851724
感想・レビュー・書評
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これでもイギリスが好きですか?
はい。好きです。
イギリスが今も厳然たる階級社会であることは知っています。
イギリスは紳士の国でありますが、労働者の国でもあります。
ジェントルマンであることは、イギリスの文化や社会形式の中でのジェントルマンということであって、日本人からみたら、紳士的ではないこともあるでしょう。
でも、子どもの頃から読み親しんできたイギリス文学がやっぱり好きなのよ。
ディケンズ、オースティン、ブロンテ姉妹、コナン・ドイルにアガサクリスティー。
音楽だってイギリスさ。
ベイ・シティ・ローラーズもビートルズも〈普通は順序逆に書くと思うけど、許してね〉イギリスだもの。
映画も「小さな恋のメロディー」とか「モンティ・パイソン」とかね。
どれもこれも好き。
だからこの本の最初の方、イギリスってこんなところの羅列はちょっとつまらなかった。
どんなことでも良い面悪い面はあるもので、悪くとろうと思うといくらでも悪口は書ける。
わかりやすいイメージという配慮なのかもしれないけれど、著者の個人的なエピソードが多く書かれているのも、却って趣旨がわかりにくくなっていたように思う。
でも、日本とイギリスの、近代からの関わり方について書かれた後半は面白かった。
明治維新のあと、イギリスを手本に近代化を進めた日本。
そして第一次大戦の時には日英同盟を結ぶまでに信頼を得る事になった…と思っていた。
けれどそれは信頼というよりも、遅れてきたドイツの帝国主義に対抗させるべく日本と手を組んだだけだ、と。なるほど。
だから、第一次大戦のとき、日本もヨーロッパに派兵して闘えと要請した。
「断る」
だって日本にメリットないじゃん。
メリットないのに血を流すわけないじゃん。
その代わり、アジア周辺の戦いはまかせろ。
「そんなことは頼んでない」
双方の思惑が食い違った結果、大戦後、日本は孤立する。
日本は当然中国支配を強めたいところだったが、アメリカをはじめとする「民族自決主義」が大勢を占めたから。
約束が違うじゃ~んって思ったのは、やはりイギリスによって大戦に巻きこまれたイタリアも一緒。
勝った暁にはダルマチア地方をあげるからさあ、とイギリスに言われて参戦したのに、終わってみたらユーゴスラビア独立してんじゃん。
かくて、イギリスにいいようにやられた日本とイタリア、そしてヨーロッパ各国から寄ってたかって叩かれたドイツが三国同盟を結んでしまった。
で、第二次大戦へ…。
第一次大戦によって4つの帝国が崩壊した。
ドイツ帝国、ロシア帝国、オーストリア・ハンガリー二重帝国、オスマン・トルコ帝国
オスマン・トルコ帝国の崩壊の裏にもイギリスの影。
アラブの独立を約束して、アラビアのロレンスを送りこんだのは有名な話。
そして第二次大戦のあと、イスラエル建国でアラブの独立は踏みにじられ、今の中東の情勢へと続くのである。
インドとパキスタンも、イギリスがインドを制圧する際に、ヒンズー教徒とイスラム教徒をいいように使い分けて煽り立て、今でも核でけん制し合う両国を作ってしまった。
イギリスにスポットを当てて世界史を振り返ればそういうところなのだろう。
けれど世界の情勢は、ただ一国の思惑だけで動くものではないと思うから、これも一つのものの見方として、覚えておく程度でいいと思う。
イギリスは帝国の宗主国からアメリカのパートナーへ、最近はアメリカ主導の政策に振りまわされているようにも見えるくらい、かつての偉容は見る影もなくなってしまった。
EUの中で一人勝ちしているドイツに対するわだかまりもあるだろう。
歴史を知って、現在を見て、これからのイギリスを見ていこう。
だって、それでもイギリスが好きだもの。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
イギリスは階級社会。
イギリスは差別社会。
イギリスは英国と呼ぶべき。
イギリスは過去に酷いことをしまくった。
イギリスは植民地から奪った富で肥えた。
イギリスはそれらについて謝罪していない。
これらがよく分かる。
ときどき出てくる脱線した話は面白くない。はずしてる。
やや左寄り
読了45分 -
ボーア戦争
労働者階級の貧困 -
実態を知らないイギリス礼賛への警鐘本。
帝国主義時代のイギリスが世界的に様々災いのもとを作ってきた事実や日英同盟の裏側がわかって興味深い。
インドとの関係も記されていてインドの近代史を学んでみたくなった。 -
イギリス=紳士の国だと思っている私のような人が読むと、何故日本人はそのように思うのか、実際にはイギリスがどのようなことをこれまでしてきたか、これら津々浦々な話がデラックスフルコースで用意されており大変楽しめました。著者の語り口が気に入ったので、別の本も探してみたいと思います。
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この本は、イギリスを語るに足るだけの狡猾さとウィットを持ち合わせていない。
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[ 内容 ]
いわく、「イギリスはゆとりの国」「大人の国」…。
そんなイギリス礼賛の風潮はまだまだあるが、ちょっと待った。
こういうのは、階級社会の「いいトコ」の不当な一般化にすぎない。
「ゆとり」にしても、むしろ「あきらめ」の果ての境地というべきだ。
歴史をひもとけば、ざくざく出てくる身勝手な悪行。
なんで日本人はイギリスがそんなに好きなのか?
好きならちゃんと現実から見習うべき。
愛するがゆえのダメ出し、イギリス一刀両断。
[ 目次 ]
第1章 さまざまな顔を持つイギリス人
第2章 イギリスびいきは「片思い」
第3章 「ゆとり」の正体
第4章 なんたる身勝手な「同盟国」
第5章 テロの遠因・大英帝国
第6章 少しは反省したらどうだ
第7章 英語ペラペラは偉いのか
第8章 好きならちゃんと見習うべき
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
イギリスって言うても、イギリス人というのはいない。
身分社会制度が今でも残っている。
電車でも三等車には一流の人は乗らない。労働者はお金を持っていても一等車には乗らない。
収容所を最初に作ったのは南アフリカでのイギリスが最初。
英語が世界を制している間はイギリスの地位は安泰だろうか。 -
前半は面白いが、後半は退屈。