評論家入門: 清貧でもいいから物書きになりたい人に (平凡社新書 247)

著者 :
  • 平凡社
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本棚登録 : 161
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582852479

作品紹介・あらすじ

ものを書く仕事がしたいという人が増えている。しかし、物書きは儲からない。本を出したって、売れやしない。批判されれば胃が痛み、論争をすれば神経がすり減る。それでも「書いて生きていきたい」と言うのなら、本書を読んで、活字の世界に浮上せよ!評論とは何か、その読み方、評論を書くにあたっての基本的な事柄を示し、物書きという仕事の苦しみと愉しみを説く。"有名評論採点"付き。

感想・レビュー・書評

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  •  評論家になりたい読者を対象とする入門書。評論は金になるなら文章なら何でもいいとはいえ、学問的な手続きは大切だと説く。また、言葉の定義は正確に表す必要がある。そして、何よりも大事なのが読書である。作家なら読書嫌いでもかまわないが、評論家である以上、大量の読書が絶対である。それがたとえ内容が陳腐でつまらないとしても、飛ばし読みでもいいので、最後まで読み通すべきである。そのため、読む前の段階で、その本が読むに値するかどうか見極める目も必要とする。

  • この人の持ち芸の著名人への絡みとルサンチマンが出ている。
    題名の評論家入門とはかけ離れているが、文壇事情や売れたい物書きの心情を知りたければいいかも。
    しかし、この人はどこにでも喧嘩を売るなあ。
    見ている分には面白いが、絡まれる人は堪らないでしょう。

  • 著者のコンプレックスは文学で浄化されるべきであったが、そうならずに膨大な読書に裏打ちされた「正しさ」を恃みとして自らの矜持を保ったということなのだろう。文学に正しさもへったくれもあるか、あほたれが。

  •  図書館より。
     タイトルから評論するときの視点の話とか、書き方の話などを期待したのですが、そういう話はほとんどなく著者の苦労話と近代評論のレビューが中心でした。

     入門書と謳ってるのに他の評論のレビューをされても……というのが正直なところです。著者にとっては有名どころを評しているつもりだとは思いますが、こっちはかろうじて小林秀雄だとか柄谷行人の名前が分かる程度、その評論の内容はほとんど知らないので不親切だな、と思いました。そのレビューもある程度の知識がないと分からないと思うので、どの点が見習うべきポイントなのかも判断しきれません。

     著者の方の屈折した感情が伝わってきたのは、ある意味面白かったですが、そういうものを求めていたわけではないので、正直評価はしきれないです。

  • 「入門」なんて書いてありますが、あんまり実用的な役には立ちません。つーか、小谷野敦ですから。まともに「どうやったら評論家になれますか」なんてこと書いてあると期待するほうが間違いでしょ。『もてない男』のあふれるルサンチマンがここでもちゃんと炸裂してるので、あの鬱屈芸が楽しめる人にとっては買い。
     評論家というのは、どうにもあんまりおいしい仕事じゃないらしい、ってことはわかります。「清貧でもいいからもの書きになりたい人に」とか「儲からなくても、論争で神経が参っても、『書いて生きていきたい』人へ!」とか、本書の帯にもエクスキューズがいっぱいです。それは小谷野さん、あなたのことですね、とズバリ指摘しても、その通りですと開き直られてしまうのでやめましょう。言い訳多い人生を、楽しむための「ひねくれ方」を学ぶべきです。
     ファンにとっては、気持ちの良い一冊です。

  • 評論家になるためのマニュアル本というスタイルで、著者の評論理解が語られています。

    歴史的実証的なアカデミズムの手法によるところが8割、そこからはみ出したひらめきによる部分が2割というバランスが、評論のあるべき姿だと著者は考えています。つまり、学術論文としては実証性や厳密性に欠けるところがあるけれども、著者の洞察によって論理的に展開される書き方がなされており、学問的・実証的に明らかに間違っているような議論を排除していればよいとのことです。

    そのほか、有名評論家の本の採点をおこなったり、柄谷行人の代表作である『日本近代文学の起源』の評論としての出来映えを著者自身の基準によって検証したり、また評論家として一人立ちするまでの著者の苦労が語られていたりと、おもしろく読める内容になっています。

  • 不安定な身分(東大だけど非常勤)の著者が抱く「売れる」「儲かる」とは?

    とりあえずこの本は:
    ・評論の歴史、修行の苦しみ、など
    ・著者の小林秀雄(高校の国語の教科書に必ず乗っている評論家)ギライ
    ・本を1、2冊出せても、あとはゼンゼン食っていけない作家がたんといる(北方謙三とかもそうだったらし)

    でもなんかこの人ゲリラ的でさ。
    俺は○○したんだ、そうしたら××が、「~~~」とか言ってたらしい。この野郎。みたいな内容が随所に見られ、気分が悪くなります。
    この人のブログも読んだけど、カゲキストだ。あまり仲間はいない模様。
    皆から悪く言われても書き続けることこそ、というかこの著者の行き様こそが、評論家の仕事を体現しているのかも。

    あまりおもしろくなかった。

  • この手の類書はあまり見ないなと思う。日本近代評論史のとっかかりとして読んでも面白い。

  • [ 内容 ]
    ものを書く仕事がしたいという人が増えている。
    しかし、物書きは儲からない。
    本を出したって、売れやしない。
    批判されれば胃が痛み、論争をすれば神経がすり減る。
    それでも「書いて生きていきたい」と言うのなら、本書を読んで、活字の世界に浮上せよ!
    評論とは何か、その読み方、評論を書くにあたっての基本的な事柄を示し、物書きという仕事の苦しみと愉しみを説く。
    “有名評論採点”付き。

    [ 目次 ]
    第1章 評論とは何か―「学問」との違い
    第2章 基本的な事柄とよくある過ち
    第3章 評論をどう読むか
    第4章 『日本近代文学の起源』を読む
    第5章 評論家修行
    第6章 論争の愉しみと苦しみ
    第7章 エッセイストのすすめ、清貧のすすめ

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 学問=研究だが、評論家は学術研究ではない。
    学者というのはオーソドックスなもので地味に事実を研究する。
    評論文において、言葉の定義というのは重要である。損会じれをないがしろにしている評論文も多い。研究でなく評論だからいいだろう、というのはプロフェッショナルではない。
    文系の学問というものは、理系のように緻密な証明の体系がないから、あひどいのかひどくないのかあいまいであることも多い。
    アカデミズムはもっと寛大になって、マスコミ系学者はもうちょっと真面目に書いた方がよい。
    評論家を目指すのであれば、とにかく読書が好きでなければならない。

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著者プロフィール

小谷野 敦(こやの・あつし):1962年茨城県生まれ。東京大学文学部大学院比較文学比較文化専攻博士課程修了、学術博士。大阪大学助教授、東大非常勤講師などを経て、作家、文筆家。著書に『もてない男』『宗教に関心がなければいけないのか』『大相撲40年史』(ちくま新書)、『聖母のいない国』(河出文庫、サントリー学芸賞受賞)、『現代文学論争』(筑摩選書)、『谷崎潤一郎伝』『里見弴伝』『久米正雄伝』『川端康成伝』(以上、中央公論新社)ほか多数。小説に『悲望』(幻冬舎文庫)、『母子寮前』(文藝春秋)など。

「2023年 『直木賞をとれなかった名作たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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