昭和史を動かしたアメリカ情報機関 (平凡社新書 448)

著者 :
  • 平凡社
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582854480

作品紹介・あらすじ

アメリカ情報機関は昭和史の裏側でどう動いたか-。暗号解読をめぐる日米開戦の謎、知日派グルーの天皇制存置工作、スイスを舞台にした日米双方の終戦工作、日本をポツダム宣言受諾に導いた心理戦など、昭和史の重要局面を「情報」の側面から読み解く。アメリカ公文書館から発掘された新資料を交え、昭和史の知られざる一面に光をあてた意欲作。

感想・レビュー・書評

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  • 【由来】
    ・孫崎享「情報と外交」P222

    【期待したもの】


    【要約】


    【ノート】

  • 2009年刊。著者は早稲田大学社会科学部・大学院社会科学研究科教授。

     米国の新規公開史料を基に、戦後日本に対する米国(特にCIA)の影響を論じてきた著者。本書は従前の論考を纏めたものと言えそう。
     叙述内容は、①CIAの経緯、②太平洋戦争ハワイ奇襲に関するルーズベルト謀略の如何。著者は否定的(日本軍の攻撃可能性の高さは把握していたが攻撃地まで特定できず)。③終戦におけるダレス工作の内幕。④日本における戦後直後の労働運動を破壊し、共産主義との対決姿勢を顕わにした水面下の事情。⑤これらに関係する正力松太郎。彼とCIAとの関係など。

  • 新書文庫

  • アメリカの対日インテリジェンスの変遷を追う。

  • 昭和史、といっても戦争前後と1950年代くらいまで、アメリカの公文書の公開をまって、ある程度裏づけのある「事実」として、対日情報活動を検証している。なので、「見てきたような話」的な面白エピソードはでてこないし、淡々とした記述となっている。それだけに、クールな歴史的叙述としてアメリカによる組織的な日本の操縦ぶりが浮かび上がる。

  •  通常は失敗したとされている日本の終戦工作は、アメリカ側から見れば、必ずしも失敗だった訳では無く、アメリカ情報機関の対日終戦工作から見れば大成功とは言えないが、それなりに意義のあるものだったという話。今までの認識ではアメリカの情報機関が積極的に日本の終戦工作を行なっていたとは認識がなかったので、
     物は見ようと

  • [ 内容 ]
    アメリカ情報機関は昭和史の裏側でどう動いたか-。
    暗号解読をめぐる日米開戦の謎、知日派グルーの天皇制存置工作、スイスを舞台にした日米双方の終戦工作、日本をポツダム宣言受諾に導いた心理戦など、昭和史の重要局面を「情報」の側面から読み解く。
    アメリカ公文書館から発掘された新資料を交え、昭和史の知られざる一面に光をあてた意欲作。

    [ 目次 ]
    序章 アメリカ情報機関の歴史
    第1章 「ルーズヴェルトの陰謀」はあったのか-陸軍・海軍情報局と真珠湾攻撃
    第2章 天皇制はいかに残されたか-戦時情報局とグルーの工作
    第3章 ポツダム宣言受諾に導いた対日心理戦-海軍情報局とザカリアス
    第4章 終戦を早めたダレス工作-戦略情報局とスイスの日本人
    第5章 戦後史の陰の演出者-参謀二部と日本占領
    第6章 テレビはいかにして日本に導入されたのか-心理戦委員会と日本テレビ放送網

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    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
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    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • インテリジェンスとは様々な情報を分析し総合して得られた純度の極めて高い知識と言える。心理戦は基本的に情報発信でインテリジェンス収集を含まないので、この天で情報戦とは違う。
    正力は読売新聞会長だけでなく戦前には警察官僚だった。正力に対する取り調べの目的のひとつはインテリゲンスの収集。戦争中に彼の周囲にいた超国家主義者たちと彼がかつて取り締まった共産主義者たちの情報を得ることができた。正力を無罪にしたのは保安が目的。超国家主義者の動きを抑え日本の共産主義化を防ぐことだった。

  • 不正確な記述が目立つ
    「第一章 ルーズベルトの隠謀はあったのか」の50ページに「アメリカ側は日本がどこを攻撃するか知らなかった」と書かれているが、真珠湾攻撃をアメリカは事前に察知していたが戦争を開始する世論を形成するために先制攻撃させたという事が1999.5.25 アメリカ上院での「真珠湾攻撃によって降格させられたウィリアム・シュート海軍大将とハズバンド・キンメル陸軍中将の名誉回復決議」の根拠になった理由が、ルーズベルト政権の上層部が日本軍の真珠湾攻撃を事前に知りつつ現地軍司令官に「意図的」に連絡しなかったという事が、、『真珠湾の真実 ルーズベルト欺瞞の日々』という本に書かれているが、それが事実で有ったという事は それまで隠蔽されていた公式文書が情報公開法施行で公開され証明 されてる。
    この書籍が証拠となって、軍法会議でも、議会の上院、下院でも 主張を認められ、両氏は名誉回復となった。
    従って著者の主張はおかしい。

    「第二章 天皇制はいかに残されたか」では、昭和天皇が最後まで開戦に反対だった事は昭和16年12月8日に書かれた「開戦の詔勅(しょうちょく)」に「豈(あに)朕ガ志ナラムヤ」と書き入れたことでも明らかなのに、64ページで「昭和天皇は戦争に反対であった。(中略)そう思うようになったのは、かなりの部分までグルーのプロパガンダのためだ」とおかしな事を書いてる。
    「第三章 ポツダム宣言に導いた対日心理戦」では、ポツダム宣言を読めば"日本軍に対してのみ無条件降伏を求めている"のが明白なのに、その記述が全くされて無く、まるで日本国が無条件降伏を受諾したと思わせる書き方に終始していておかしい。

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著者プロフィール

有馬哲夫(ありまてつお)
1953(昭和28)年生まれ。早稲田大学社会科学部・大学院社会科学研究科教授(公文書研究)。早稲田大学第一文学部卒業。東北大学大学院文学研究科博士課程単位取得。2016年オックスフォード大学客員教授。著書に『歴史問題の正解』『原爆 私たちは何も知らなかった』『こうして歴史問題は捏造される』『日本人はなぜ自虐的になったのか』(全て新潮新書)、『NHK解体新書』(ワック新書)など。

「2021年 『一次資料で正す現代史のフェイク』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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