オノマトペがあるから日本語は楽しい: 擬音語・擬態語の豊かな世界 (平凡社新書 474)

著者 :
  • 平凡社
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本棚登録 : 200
感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582854749

作品紹介・あらすじ

もしも、オノマトペ(擬音語・擬態語)がなかったら…ビールの「ぐびぐび」という旨さも、憧れの人に会う「ドキドキ」も、どう表わせばいいのだろうか?生き生きした"感じ"が伝わるオノマトペは、実は『古事記』や『万葉集』にも登場している。オノマトペは日本語の「へそ」、日本人はその達人なのだ。"感じる"言葉を探ってみたら、日本語が、日本人がもっと面白くなる。

感想・レビュー・書評

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  • とっても面白かった!
    オノマトペとは、“てくてく”とか、“がーん”とかの擬音語・擬態語の総称だそうです。知らなかったけど。
    この本はそのオノマトペに焦点を当てて、日本語を研究しているものだけど、小難しくなく、読者に話しかけるような感じで、とても読みやすくなっている。
    ちょっと古いけど、小島よしおの“オッパッピー”をオノマトペとして分析していたりする。分析の結果“オッパッピッ”でも“オッパッピン”でもダメで、“オッパッピー”が実に絶妙なんだそうである。こんな風にしょうもないことを大まじめに分析したりして楽しめる、大学教授っていい職業だなぁ…。つくづく。

    料理本には、“シャキシャキ”とか“こんがり”とか“さくさく”とか、とにかくオノマトペがたくさん出てくる。料理に関するオノマトペについて書かれた章を読んでいて“おお!”と思ったのが、“もったり”という表現。母からケーキの焼き方を伝授されたとき、メレンゲにグラニュー糖を入れて混ぜるとき“もったりなるまで”って母がよく言っていたなぁ…ということを思い出した。
    母から教わった“もったり”の感触は、他の言葉では言い表せないなぁ。

    他にも自分でオノマトペを作っちゃおう!とか、日本最古のオノマトペとは?とか、とても興味深い内容でした。オノマトペは毎日の生活を豊かにします。思えば私もけっこうオノマトペを多用している。何かするときに言っているような気がする。「ぶんぶん」って言いながらマヨネーズのチューブを振り回したり(遠心力で出しやすくするのです)、「むぎゅぅ!」って言いながら固いビンのキャップを開けたり。
    これからも何やかやと言いながら、オリジナルなオノマトペを作って楽しもう^^

  • 本のタイトル「オノマトペがあるから日本語は楽しい」というのはわかる気がします。

    逆に文章や会話の中にオノマトペが一切なくなったら…ちょっと味気ないですね。

    ゴルゴ13の「シュボッ」へのこだわりはとても面白かった。

  • 学術的な観点とエッセイ的な観点が入り混じった内容。
    オノマトペを自作してみるなんてのはエッセイ的、古代の日本語にオノマトペが入り込んだ時期の記述などは学術的な感じ。

  • ゴルゴ13や宮沢賢治、親近感の湧くお話が散りばめられていたので、スッと読めました。

    最後の一節、英語を学ばないと、と旗ふる人に対し、日本語の豊かなコミュニケーションの力が武器という言葉にはっとさせられました。

    英語に気を取られていなかったか...
    言葉の豊かさも言語力。
    グローバルに話をするにも(到底できないが)伝える力も表現の豊かさも必要ですもんね。

  • オノマトペって単語、この本を読むまでは、てっきり著者が自分の名前をもじって創作したんだって思ってた。だって、著者名の小野正弘とオノマまで一緒でしょ?
    実際は、語源は仏語、英語ではonomatopoeia、さかのぼれば古代ギリシア語に行き当たり、名前を造ることという意味だったそうだ。

    著者が生まれて初めてオノマトペって単語を見たとき、どう感じたのだろう? 自分の名前との共通性に気付き、ピーンときたんかな?それとも、ズドーンてな感じ?
    いや意外にもシュボッていうふうに頭の中に明かりが灯るような感じだったかもしれない。
    この「シュボッ」もバカにしてはいけない。この本では豊かで情感あふれる語意をもつオノマトペの代表例として登場する。つまり、ゴルゴ13が葉巻にライターで火をつけるときの音なのだが、それだけではない。機械のように正確なスナイパーのゴルゴの登場シーンには、余計なセリフは不要、シュボッだけで、読者にゴルゴ登場を認識させ、印象づけることができる。さらに著者はそれ以外にもこのシュボッから、ライターの質感や、ゴルゴ特有のダンディズムまで読もうとする。
    面白そうでしょ?「日本語オノマトペ辞典」の編者としての、いわゆる堅い学究的仕事の一方で、こんな柔らかくて、読んで楽しい本を出してくれるなんて。

    あと、私がこの本を読み終えて思いついたオノマトペに、「てふてふ」がある。これは「ちょうちょう」と読む。あの蝶々のこと。「てふてふが一匹韃靼海峡を渡つて行つた」(安西冬衛)の「てふてふ」。昆虫の名前として知られているものが、実は羽根をゆらゆらさせながら飛びまわる様を表したオノマトペが語源なんじゃないの?って思えるようになった。現在の「ちょうちょう」はやや語感が強いけど、「てふてふ」という表記は、まさに蝶の飛ぶ様にぴったり。

    …などなど、身近な日本語を題材に想像力がふくらむし、ウンチク本としてもすごく役立つと思うよ。(さすがにこの蘊蓄はオノマトペじゃないか。語感はそんな感じなんだけどね。)
    (2012/8/31)

  • 01.10.2015 読了

    古事記からゴルゴ13までオノマトペの分析。
    オノマトペの方言も面白い。

    札幌中央図書館

  •  名著である。まさしく、新書に求められている書籍だ。
     新書は学術書ではない。だから、両論併記や正確性を追求した資料分析は、過ぎると読書の邪魔でしかない。また同時に、そのジャンルの初読者がその世界へと入るための入り口として、単純に面白くないといけないし、ある程度の専門性も残す必要がある。
     この本はそれらの要素をすべて兼ね備えている。どのような読者でも読めて、その上で学ぶところの多い書だ。

     前半にキャッチーな内容で引き込みながら、徐々に専門性を高める構成はよくできている。その都度「ここからはかなり専門的だが、それが理解への助けになるはずだ」といった風に注記してある点も、入りやすかった。
     全編を通して良い読書をさせてもらった。今回は図書館で借りたが、いずれ、購入したい。

  • オノマトペについて書かれており、分かりやすく興味をそそる。
    2013/08/02

  • 快な目的:研修でのオノマトペの例題を話し、具体的ネタを言うことによって、スムーズに進行するため。

    目的が明確だと、本の方から話しかけられているようで、著者との会話ができた気分であった。
    知識欲が満たせれる新書である。

  • 日本語の深さを知った。

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著者プロフィール

明大

「2020年 『近世の語彙 身分階層の時代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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