- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582855197
作品紹介・あらすじ
ドイツ帝国建国から、九〇年の再統一までを中心に、ベルリンがくぐり抜けてきたシーンを鮮やかに描く。
感想・レビュー・書評
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ベルリンを舞台にした、19世紀からのドイツ地方の歴史が、各時代の登場人物の伝記を追うように書かれていて、現在のドイツのみならず、フランス・イギリス・オーストリア・ロシアとの関係——お互いの猜疑と離合集散——がよく分かる。今、一枚岩と——日本人だけが——思い込んでいる「西ヨーロッパ」にしても危うい綱渡り真っ最中であり、誠に「欧州情勢は複雑怪奇」なのである。
目次から単語を拾うと、「ビスマルク、ドイツ帝国、ワイマール共和国、ナチスヒットラー、ポツダム宣言、ベルリンの壁、壁崩壊と統一ドイツ」など。わずか100年ほどの間にこれだけの変化が起こっていることを考えると、同じ敗戦を経験した日本の変化など「どこ吹く風」と思えてくる。
ベルリンを舞台にしたドイツ100年の歴史を、小さな新書にまとめ上げた手際は素晴らしい。この著者によるドイツ・ヨーロッパからの報告となる他の著書を併せて読むと、今回のウクライナ戦争・天然ガス打ち切り・脱炭素礼賛などの慌てふためきぶりや——これを泥縄という——、日本人ソックりな幼児的天真爛漫ぶりと、強い協調性などの国民性が如何に重大な危機を招くか、高みの見物のようにわかりやすい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ベルリンを中心とした歴史が広く語られていた。
1つの地の歴史として、ここまでドラマチックな歴史はなかなか見つからないのではないのではないかと思う。
戦中史のヒトラーに抵抗したことを記述した話は個人的に非常に興味深かったが、ベルリンの歴史とは少し違うように感じた。
戦後の筆者の実体験などが非常に印象に残り、東西統一後の格差の問題などにも触れられていたのは非常に勉強になった。 -
新書文庫
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ドイツ統一から再統一まで約120年のベルリンの歩み。この都市にはドイツの歴史の壮絶さが詰まっている。特に20世紀の二度の世界大戦と冷戦。後半になるにつれ著者(ドイツ在住)の身近な人の体験談も交えて綴られていく。
悲惨な飢饉が帝国崩壊に直結した一次大戦。体制安定に向けて暗殺を多用したワイマール共和国。深刻なインフレと享楽的雰囲気。ナチスの台頭,開戦,戦線の急拡大,縮小,ヒトラー暗殺計画,ベルリン陥落。連合軍による分割統治,ベルリン封鎖,壁の建設。まさに激動の時代を人々は生き抜いてきた。ドイツ近現代史の流れをコンパクトに追える本として良くできていると思う。
一点。ポツダム会談のくだりで,トルーマンが原爆完成を待つために故意に開催を遅らせたという話が出てくるが,これはどうも胡散臭い。巻末参考文献の受け売りのようだが,これが気になって本全体についてもディテールに一抹の不安感が残ってしまったのは残念。 -
[ 内容 ]
ドイツ帝国建国から、九〇年の再統一までを中心に、ベルリンがくぐり抜けてきたシーンを鮮やかに描く。
[ 目次 ]
第1章 ビスマルクとドイツ帝国―ドイツ統一まで
第2章 チェツィリエンホーフ―ドイツ帝国の時代
第3章 黄金の二〇年代―ワイマール共和国の時代
第4章 帝国議事堂―ヒトラーの台頭
第5章 シュタウフェンベルク―ナチへの抵抗の時代
第6章 ベルリン崩壊―ポツダム会議と原爆
第7章 ベルリン封鎖と壁の建設
第8章 壁の生活―冷戦の時代
第9章 ブランデンブルク門―統一ドイツの時代
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[ 参考となる書評 ] -
ベルリン、という一都市をメインにしたものではありますが
ビスマルクから東西統一までのドイツ史をさらっと学ぶには文章も硬くなくて読みやすい。
本当ならもっと悲惨に書けるであろうところも、敢えてそう書いていない感じは受けるけれど、新書という媒体上致し方ないですね。