- Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582856149
作品紹介・あらすじ
地震といかに付き合っていくか。これは、日本に暮らすすべての人の課題です。『日本書紀』の昔や、それ以前からの地震を知ること、貞観地震と東日本大震災とを結びつける知識を得ることは、未来に起こるであろう災害に備える力を私たちや、その子供たちが得ることに他なりません。日本人と地震の歴史を知り、経験と知識を「知恵」に変える。
感想・レビュー・書評
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地震のメカニズムはかなり解明されてきたが、今のところその発生を予知するまでには至っていない。昔から行われてきたのが、過去の地震を調べて将来起こりうる地震を予測するという統計的手法である。著者はそのような調査を繰り返すうち、考古学的手法を取り入れた「地震考古学」なる分野を開拓したという。歴史的出来事と地震の関係をみるとそれぞれ面白いことがある。
例えば、秀吉に成敗された佐々成政の後釜に、大河ドラマでは妻の千代が南部駒を買う金をヘソクリから出してもらった山内一豊が長浜城主となる。しかしわずか三カ月後、天正地震のため愛娘を亡くしている。
また、地震の原因はナマズではないかという話は、秀吉から始まったらしいとか。さらに遡ると、京都の祇園祭は9世紀の貞観地震の御霊会が起源だそうだ。知らないことがたくさんあった。
本書を読んでいる最中に長野で震度6弱の地震が発生した。被災した建物など見受けられるが、被害を受けた地域は限定的なようだ。
最後に地震年表があるが、なぜか1994年12月28日の「三陸はるか沖地震」が掲載されていない。他の地震と比べても無視するほど小規模だったわけでもなさそうなのにどうしてだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
地震のメカニズムや地震にともなう災害の種類、過去の巨大地震。地震に関する大まかな知識を得るための入門書です。歴史は同じように繰り返すわけではありませんが、過去を知ることで困難な状況に対する力を得ることができるのも真実だと思います。本書では、過去の地震がもたらした被害とともに、それに立ち向かった(あるいは翻弄された)人々の姿が描かれています。そういった人たちの姿から未来の地震に対処するためのヒントを学べました。
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ここまで科学的な内容だとは思わなかった…。
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小学生ふうに言うと,理科と社会が合体したような学問の本でした。おもしろかったです。
扱っているのは地震考古学という分野。昔の遺跡の発掘から,昔の地震の爪痕を見つけて,それと文献とをつきあわせながら,過去の地震の規模や時期や大きさを推定していくというような仕事です。
液状化現象の記録が縄文・弥生の遺跡の中にもシッカリ残っていることにビックリしました。
私たちは,本物の地震を体験する前に,こうして自分の土地の被害のことを学習することができます。
なんからの形で,子どもたちにも授業してみたいと思いました。 -
帯文:"貞観地震から読んでみる!" "知っておきたい、自分の町の「自身の歴史」。" "地震活動が活発な今こそ、歴史をひもとき、土地のこと、先人の知恵に学ぶときである。"
目次:はじめに、第1章 地震はどうして起きるのか、第2章 地震によるさまざまな災害、第3章 繰り返す海溝型巨大地震―地震考古学で読み解く1、第4章 活断層地震に襲われた人々―地震考古学で読み解く2、終章 地震の過去・現在・未来、おわりに -
文献史学や考古学の研究から、過去の大地震の周期的な発生状況や発生時の被害の大きさなどがかなり詳細に解明されていることがよくわかった。同時に、もう遠くない時期に大津波を伴った南海・東南海・東海の大地震が発生するであろうことが素人目にも認識され、恐怖を覚えた。
日本は地震列島の上に歴史を刻んできた国である。私達の先祖は地震の被害に恐怖し、また現実に大きな被害を受け、家を壊されあるいは家族を亡くしながらも、たくましく生きてきた。そのことは本来は人間の幸福を目指す科学が発達した現代においても何も変わるものではなく、かえって文明が発達し道路や建造物などの構造が高層化・複雑化したからこそより被害も大きなってしまうという矛盾が新たに生まれている。
筆者はこの本を著した目的に減災を挙げている。まさに私たちはこの地震列島日本の災害の歴史を直視し、そこから多くの教訓を学んで、来るべき大地震に備えなければならない。 -
カテゴリ:図書館企画展示
2016年度第9回図書館企画展示
「災害を識る」
展示中の図書は借りることができますので、どうぞお早めにご来館ください。
開催期間:2017年3月1日(水) ~ 2017年4月15日(金)
開催場所:図書館第1ゲート入口すぐ、雑誌閲覧室前の展示スペース -
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