短歌で読む 昭和感情史 (平凡社新書)

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著者 : 菅野匡夫
  • 平凡社 (2011年12月16日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582856194

短歌で読む 昭和感情史 (平凡社新書)の感想・レビュー・書評

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  • 太平洋戦争を、短歌から描き出していこうという作品である。

  • 大東亜戦争期に詠まれた短歌と共に時代の感情を描こうとするが、著者の意図とは違い、浮き彫りになるのは短歌と言う形式が日記化する過程である。しかし、所々で、人麻呂以来の時代精神の極まりが歌われる詠があった。それは生活詠とは別の次元で歌われた歌である。

  • かぎりなき瓦礫ひろがる焼原のその片空をはける紅【くれない】
       磯江 朝子

     平成生まれの若者たちは、明治・大正・昭和を一括して「昔」と片付けてしまう。やむなきこととはいえ、歴史から〈生〉を学ぶためにも、菅野匡夫「短歌で読む 昭和感情史」の一読を勧めたい。
     著者の菅野は、1979~80年刊のアンソロジー「昭和萬葉集」編纂にあたった詩人。その収録歌も引用しながら、太平洋戦争敗戦までの昭和史を解説した新書だ。
     昭和の幕開けを象徴するのは、芥川龍之介の自死。「ぼんやりした不安」という言葉を最期に残している。

      ワガ門【カド】ノ薄クラガリニ人ノヰテアクビセルニモ恐ルル我ハ 
        芥川龍之介

     昭和という元号は、「書経」の「百姓昭明、協和萬邦」(人々は聡明であり、国々は仲がよい)に拠る。しかし、けっして字義通りの時代だったわけではない。金融恐慌、労働争議、さらに長きに渡った戦争。
     とはいえ、そのなかに生活者一人一人の日々の暮らしがあった。

     葱買ひに行く我が夫よ拇指【おやゆび】の足袋の破れに墨塗りて行け
        平林たい子

     夫の「足袋」がすり切れるほど物資に困窮しているのだが、このプロレタリア作家はユーモアたっぷりに切り返している。
     掲出歌は、空襲に遭った都市の姿だろう。焼夷弾爆撃で街は「瓦礫」ばかりとなった。それを見守るように広がる夕焼け。その「紅」に、ふと顔を上げる人々。新たな明日に向けて紅潮する生活者の感情は、今日の私たちにも共有できるはずだ。

    (2012年2月12日掲載)

  • www.geocities.jp/shaktiyh/kanjo/
    に資料があるとのこと。

    主に写真,新聞の記事で、一部ラジオ放送のファイルへのURLだった。

    昭和の時代の中で,短歌にどう凝集できたかの評価は、
    事後100年くらいしないと分からないかもしれない。

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あの戦争の時代は、短歌の時代でもあった。夫を戦地へ送る"せつなさ"、故郷の妻や子への"いとおしさ"、戦局や生活のなかでの"よろこび"、そして"いかり"-。多くの人々が、心のつぶやきを、叫びを、短歌に託し、現代の私たちに残してくれた。歴史からこぼれ落ちた「感情」が、短歌とともに鮮やかに甦る。

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