昆虫食入門 (平凡社新書)

著者 :
  • 平凡社
3.57
  • (6)
  • (24)
  • (22)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 205
感想 : 33
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582856354

作品紹介・あらすじ

人類にとって究極の伝統食材、それが昆虫。世界の昆虫食の現状を紹介するほか、嫌いな人の心理や食料としての可能性、さらには食育まで、昆虫食のあらゆることを深く楽しく追究する!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ゲテモノとしての昆虫食紹介ではなく、かなり真面目な昆虫食考が読める本。昆虫の歴史、栄養、環境問題、食育と多岐のアプローチがどれも興味深い。
    小学校に入る前、祖父が捕ってきたイナゴやハチの子の味はかなり遠い記憶になった。本の中でも書かれているが、元来人間の食べ物はその人間の近くに生息する動植物であるはずだったのが、近代化によりどこかで作られ店頭に並んでいるものになっている。そういった社会の仕組みを考える意味でも、身近な資源の活用を考えるうえでも良い示唆を与えてくれる本だった。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「祖父が捕ってきたイナゴやハチの子」
      「坊ちゃん」を読んでイナゴって食べられるんだ知りましたが、機会なく歳をとりました。ハチの子は珍味と聞い...
      「祖父が捕ってきたイナゴやハチの子」
      「坊ちゃん」を読んでイナゴって食べられるんだ知りましたが、機会なく歳をとりました。ハチの子は珍味と聞いて興味大。長野に行く機会があれば是非試してみたいと思っています。。。
      何でも食べられるが、生き残るために必要になってくるだろうなぁ~と漠然と思う今日この頃でした。。。
      2012/07/07
  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB99406976

  • 図書館の電子書籍で。
    昆虫食業界の第一人者の著者。
    タイトル通りに昆虫食の概論。食べなくなってきたので昆虫食が奇異に感じられるだけで,食材の1つとしての位置づけ。食文化の変容。社会状況の変化によって,現在の食文化を維持できなくなれば昆虫が食材として注目されるようになる。2020年代はその幕開けか?

  • ちゃんとしてる。
    想像以上にちゃんとした本。

  • コンセプトコーナー2012年 8月「アンケートリクエスト企画 自然から学ぶ医療知識」の選書です。

  • 新しい世界へ

  • (01)
    多種な昆虫のなかで、食用としての可能性のあるいくつかの種(*02)について、世界的規模での過去の事例や習慣から、生産管理による人間の栄養源としての可能性まで探っている。
    昆虫側の事情もあるにはあるが、多くは人間側の事情が昆虫食にはつきまとっていることがわかる。味の分析も興味深いが、昆虫にまつわる心理や文化、そして食へむかうための教育など社会がどのように昆虫を受容できるかについても具体的に示されている。

    (02)
    イナゴやカイコなど、むしろ人間とともに繁殖、管理されてきた種については地域によって食文化が既に営まれているが、そのほかにも現代の身近な昆虫たち、セミ、カマキリ、カメムシ、ゴキブリ、シロアリなどが、世界の事例も参考に、試食されている。
    おそらく昆虫食が劇的に食文化を変えることはないであろうが、本書をはじめとする取り組みによって見直される時代にきていることは確かであろう。

  • コガネムシはゴキブリのこと。
    害虫としての認識は国家が作った虚構
    アリストテレスはセミは孵化の直前が美味しいと記載。
    食品に必要なのは、清潔ではなく、清潔らしさ。人間は脳でたべている。伏木亨
    アメリカの食品衛生局は昆虫などの混入の許容レベルを定める。これは殺虫剤を多用するよりも無害な自然物の混入の方が良いから。
    関心は4つのグループに分けられる。1つは狩猟採集活動として、古来からあった自然な行為。2つはグルメとして、おいしさを追求。3つはエンターテイメント、珍奇性を楽しむもの。4つは科学として有効性を提示したい。
    セミはミネラルが豊富なのでミネラルセミ茶もあるのではないか。
    飼料要求率とは、正体1グラムを増やすために餌が何グラム必要かを見るもの。カイコは4.22、牛は10〜15。
    エネルギー変換効率は、生体1キロカロリーの体組織を作るためになんカロリーの餌が必要かを示すもの。
    カイコは3.2、ブロイラーは2.05。ブロイラーの方が効率的。
    1平米あたり何キロの肉を生産できるかは、カイコは221キロに対して、ブロイラーは105キロ。
    可食部は、肉は43パーセントたが、カイコは100パーセント。昆虫は一般的に成虫は80〜90パーセント、幼虫は100パーセント。
    変温動物は、基礎代謝が低く、エネルギーが消費されにくい。
    日本のフードマイレージは総量でも一人当たりでも世界一。
    韓国やアメリカの3倍。イギリスやドイツの5倍。

  • 伝統食でありながらゲテモノ食とも思われてしまっている昆虫食。この本の著者の内山先生を招いた勉強会が社内で開かれたこともあり、勉強会後に読んでみました。

    冒頭のカラーページに掲載されている各種の昆虫料理の絵ヅラは破壊力満点ですが、中身は至ってマジメ。
    昆虫食の歴史、食べられる虫の説明(味や食べ応えについても細かく書かれてます)、社会や地域によって「昆虫を食べる」という行為の受容性が異なるのはなぜなのか、といったあたりが網羅的に説明されています。細かい部分はあまり追及されておらず総論的な内容となってますが、これは新書という性質上、仕方ないでしょう。

    個人的な気づきとしては、まず昆虫食は「他の蛋白質豊富な食品が手に入らない地域で仕方なく食べられていたもの」ではない、ということ。たとえば長野で食べられているザザムシについては、それが捕れる場所は即ち川魚が捕れる場所なので、「あえて好んで」ザザムシを捕って食べていたのだ、と著者は述べています。

    また、「虫は不衛生である」という論に対しては、明治以降に不衛生な環境と虫とを結びつけて考える風潮が醸成され、それによって虫が汚いものとされてしまったと述べたうえで、「食べないからこそ汚いものであるという意識が生まれる」のだと説明しています。そういう考え方もあるのか、と気づかされるポイントでした。
    実際、イナゴやハチノコを食べる文化圏の人は、虫を汚いものや気持ち悪いものと認識することは少ないのではないでしょうか。

    一方で、この本からは「昆虫を食料として安定供給する」にあたっての課題も見えてきます。
    個人的に一番気になったのが、陸上の畜産物や魚に比べ、「育った環境や採集された場所により、栄養価や摂取できるカロリーにバラツキが大きいのではないか?」ということ。どんな食材でも栄養価はバラつくと思いますが、昆虫はその程度が大きいのではないかと思われます。
    さらに、人が必要とする栄養価やカロリー量を満たすためには相当な量の虫を食べる必要があり、それだけの量を安定的に供給できるか(=養殖できるか)も課題でしょう。趣味の範囲で佃煮などにするために捕獲するならまだしも、本気で食材として供給するには養殖は必須。その辺をどうするかは課題になりそうです。

    ただ、本書によれば昆虫は「食料が人間の食べる食材と競合しない」ため生産しやすく、「変温動物のため体温維持にカロリーを消費せず、溜め込んだエネルギーをそのまま食料カロリーとして提供できる」ため栄養効率も高い、とのこと。
    あとは、食べ慣れておらず生理的抵抗感が強い、というポイントがかなり高いハードルになると思われるので、そこを何とかしないといけないでしょう。

  • 昆虫食興味深し!
    イナゴの佃煮は食べたことがあるがそれ以外にも挑戦してみようかと思えてくる!
    日本では長野が昆虫食で有名だが、東南アジアなどへ行くとなると昆虫食を実践する必要が出てくるかもしれない!
    将来的な食糧難を見越して慣れ親しんでおくべきなのかもしれない!
    もしかしたらビッグビジネスの温床でもあるのでは?

全33件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1950年長野県生まれ。東京都日野市在住。昆虫料理研究家
昆虫料理研究家、昆虫料理研究会代表、NPO法人昆虫食普及ネットワーク理事長、NPO法人食用昆虫科学研究会理事。幼少から昆虫食に親しみ、1999年より本格的に研究活動に入る。どうすれば昆虫をよりおいしく食べられるか、味や食感、栄養をはじめ、あらゆる角度から食材としての可能性を追究する。2013年5月、国連食糧農業機関(FAO)昆虫食を推奨する報告書を発表して以降、世界中で昆虫食に注目が集まるなか、普及活動の輪を大きく広げている。
主な著書に、『楽しい昆虫料理』(ビジネス社)、『昆虫食入門』(平凡社新書)、共著に『人生が変わる! 特選 昆虫料理50』(山と渓谷社)、監修に『食べられる虫ハンドブック』(自由国民社)等がある。

「2022年 『めちゃうま!? 昆虫食事典』 で使われていた紹介文から引用しています。」

内山昭一の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×