モバイルミュージアム 行動する博物館 21世紀の文化経済論 (平凡社新書)

著者 :
  • 平凡社
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本棚登録 : 151
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582856637

作品紹介・あらすじ

来館者の減少、保管維持費の増大、人件費不足-苦境に立つ博物館に未来はあるのか。所蔵品の流動化、企業・学校とのコラボ、海外との連携など、東京大学総合研究博物館が五年以上にわたって取り組んできた新たな事業モデル「モバイルミュージアム」の成果を紹介しつつ、二十一世紀の博物館のあるべき姿を問う。「モノの保管庫」から「文化創造の母胎」へ全国六〇〇〇のミュージアムへの提言。

感想・レビュー・書評

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  • amazonのロングテールを、美術館博物館に転用出来ないか?の議論が面白かった。一過性の強いヒット展示だけじゃなくて、小規模ワークショップや企画展を多く実施して、大型展示に敵わぬまでも、収益の4割を担うような働きをするんじゃないか、みたいな。加えて、モバイル端末で展示物を見れるようにすることでハコモノに封印されたモノを低コストで色々な人に見てもらえるし、フィードバックの集め方次第で一発展示よりもブラッシュアップもしやすいよね、っていうような話でした。面白いです。オススメ!

  • 書いてあることはその通りだと思うんだけど、本としてつまらない、、、。

  • ・リーブルなにわで見て興味を持った。何と言っても僕の社会人生活は博物館の内装屋からスタートしてるのだ。ずっとIT畑で働いてきたが、超低賃金の過酷労働であったにも関わらず仕事の達成感が高かったのはそちらの方。未だ北見の緑のセンターを超える満足感を味わったことがない。

    ・本書はこれからの博物館のあり方への一つの提言と言ってよい内容なのだが、どうも前半はしっくりこない。「博物館かくあるべき」と主張していることがおざなりと言うか紋切り型の陳腐な話にしか感じられなかった。また、経済的な視点について何度も触れている割には、具体的な数字の提示がないのでステレオタイプな印象を持ってしまった。ただし、後半の具体的な話になると少し面白くなってくる。

    ・モバイル・ミュージアムとは収蔵物を可搬モジュールにして、移動巡回展、企業への収蔵物の貸し出しなどを行うことにより博物館の資産である(と著者が主張するところの)収蔵物の活用度を上げて、博物館の社会への寄与、プレゼンスを高めようというもの。読んでみると、どうやらある程度の収蔵物の規模がある中型以上の博物館が主たる対象となりそう。札幌で言えば開拓記念館や青少年科学館辺りということになる。

    ・僕自身が興味があるのは、どちらかと言えば道内市町村の小規模な博物館なので、本書で書かれていることを実践すると言うより、本書でインスピレーションを得たアイディアを実践してみたいと思った。ただ、博物館が提供する最大のものは、通常の空間では不可能なほどの大規模な展示物が包みこんでくれる空間感だと僕は思っているので、それがもっとオープンになればいいのになと思う。大英博物館に行った時、子供から若者達まで、ジーパン姿で展示物の前で座り込み、スケッチしたり宿題をやっているのを見たのが強く印象に残っている。

  • この界隈に疎いのですべて興味深かった。美術館はかなり新しいことをやろうといろいろ動き出していて、その態度こそがアートに携わる人間にふさわしいのだろうと門外漢ながら感じる次第。

  • KITTEのインターメディアテクの存在を知って、予習も兼ねて?読んでみました。一時期かじっていた勉強の内容に絡む部分も多く、聞き慣れない語句に苦しみつつも最後まで興味を持って読み進められました!
    今後の動向も追っていけたらいいなと思うお話しです。

  • ユニバーシティー・ミュージアム、博物館工学に次いで、新たな博物館像:モバイル・ミュージアムを提唱した一冊。最終的には2013年にJPタワー内で開館した「インターメディアテク」の解説に繋がっていくが、長年東大博物館で務めた著者の前衛的かつ実際的な博物館像が大変わかりやすい言葉で端的に述べられている。

  • モバイルミュージアムは、これまでの移動博物館を発展させて、マンスリースイーツのようなシステムによって恒常的に所蔵資料を活用しようとするもの。実際に大学との連携を模索したいと思えるアイディア。

  • モバイル・ミュージアムとは、展示物をユニット化し、展示用の資材とともに貸し出したり、巡回したりするシステムのことであるようだ。
    本書は、このシステムを作った東京大学総合研究博物館の館長によるもの。
    手っ取り早く内容を把握するなら、補遺として収められた講演を原稿化したものを読めばよいようになっている。

    随分以前のこと、名古屋に、独自の収蔵物を持たない「名古屋ボストン美術館」が出来たとき、自分も含め、結構冷笑的に見ている人が多かった気がするけれど・・・
    本書を読んで、(本書では名古屋ボストン美術館はちらりと出てくるだけだが)それがどういう意味があるのか、やっと理解できた。

  • <目次>
    はじめに
    第1章 ミュージアムの現在
         問題の所在/ミュージアムの三様態
    第2章 「モバイルミュージアム」とは
         従来の移動型博物館/「モバイルミュージアム」
    第3章 ミュージアムの経済学
         ミュージアムの「ロングテール」/イベント経営から「総事業価値」の増大へ/マスメディア依存からソーシャルメディア活用へ/公共財の活用における費用対効果の追求
    第4章 進化・成長する展覧会
         リカレント展示/展覧会のアルケオロジー/面白い教科書を目指せ
    第5章 「モバイルミュージアム」の展示コンテンツ
         博物館資料の流動化/モースの参照標本に学ぶ/展示ユニットの循環システム
    第6章 「モバイルミュージアム」の実例
         「オフィス・モバイル」―企業とのコラボレーション/「スクール・モバイル」―複合教育の現場/「海外モバイル」―展示コンテンツの再活用/グローバル・ネットワーク
    おわりに―「モバイルミュージアム」から「インターメディアテク」へ

    [補遺]東京大学総合研究博物館の<現在>―大学の前衛として
    あとがき

    ***

  • 日本全国に有名な作品が巡回する、巡回展示をただ学術標本で行ったってだけなんじゃないの?と私は思ってしまったのですが・・・コスト削減を実現し、社会貢献度が高いというのは評価できるかもしれないけども・・展示から学びを得るという視点はなかったのかしら・・?

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著者プロフィール

東京大学名誉教授/インターメディアテク顧問

「2023年 『ことばとかたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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